中学理科中学3年生化学
ダニエル電池としくみ|金属のイオン化傾向をやさしく図解【中3理科】
中3理科の「ダニエル電池」を図でやさしく解説します。亜鉛が−極・銅が+極になる理由、金属によってイオンへのなりやすさ(イオン化傾向)がちがうこと、セロハン膜(仕切り)の役割、マグネシウム・亜鉛・銅のイオン化傾向を比べる実験まで、図と例題で整理できます。
ダニエル電池は亜鉛板と硫酸亜鉛水溶液、銅板と硫酸銅水溶液をセロハン膜で仕切ってつないだ電池です。亜鉛は銅よりイオンになりやすいので、亜鉛がとけて電子を放出し−極に、銅イオンが電子を受け取って銅になる銅板が+極になります。セロハン膜は つの水溶液が混ざるのを防ぎつつ、イオンだけを通して電気的なかたよりを打ち消す役割です。
◎このページのゴール
ダニエル電池のしくみ(亜鉛が−極・銅が+極になる理由)を金属のイオン化傾向から説明でき、セロハン膜の役割とイオン化傾向を調べる実験の結果を読み取れるようになる。
電池と電気分解で、電池は「化学変化から電気を取り出す装置」だと学びました。では、なぜ2種類の金属を組み合わせるだけで電気が生まれるのでしょうか。答えは、金属によってイオンになりやすさがちがうことにあります。この考え方を実際の電池のしくみとして完成させたのがダニエル電池です。
どこでつまずいた?
あてはまるものをタップ。そこから読むと近道です。
ダニエル電池とは(まず結論)
→やり方
- 亜鉛板を硫酸亜鉛水溶液に、銅板を硫酸銅水溶液にひたし、セロハン膜で2つの水溶液を仕切る。
- 亜鉛は銅よりイオンになりやすいので、亜鉛がとけて電子を放出し、−極になる。
- 銅板では、水溶液中の銅イオンが電子を受け取って銅になり、+極になる。

つまりダニエル電池は、「亜鉛が銅よりイオンになりやすい」という差を、そのまま電子の流れに変えて取り出す装置です。
どうして亜鉛が−極で、銅が+極なの?
金属は種類によって、**陽イオンになりやすさ(イオン化傾向)**がちがいます。亜鉛は銅よりもイオンになりやすいため、亜鉛板の表面では亜鉛原子が電子を2個放出し、亜鉛イオンとなって水溶液にとけ出します。

放出された電子は、導線を通って銅板へ移動します。銅板では、水溶液中の銅イオンが電子を2個受け取り、銅原子になって銅板に付着します。
電子を放出する亜鉛板が−極、電子を受け取る銅板が+極です。これは電池と電気分解で確認した「イオンになりやすい金属が−極になる」というルールそのもの。時間がたつと、亜鉛板はとけてうすくなり、銅板には銅が付着して赤くなっていきます。
亜鉛も銅も、どちらも金属なのに、どうして片方だけがとけ出すの?
金属によって、イオンになりやすさ(イオン化傾向)に差があるからだよ。亜鉛は銅より「電子を手放してイオンになりたがる」性質が強いんだ。だから亜鉛は電子を渡す側(とけ出す側)、銅は電子を受け取る側(つく側)にまわる。イオンになりやすさの差そのものが、電子を動かすエネルギーの正体なんだ。
✓理解チェック1
✓理解チェック2
セロハン膜(仕切り)は何のため?
?なぜ、2つの水溶液をセロハン膜で仕切るの?
もしセロハン膜がなく、2つの水溶液が自由に混ざってしまうと、水溶液中の銅イオンが直接亜鉛板の表面に触れて電子をやりとりしてしまい、電子が導線を通らずにその場で反応が終わってしまいます。これでは電池として電流を取り出せません。
セロハン膜には小さな穴があり、イオンだけがゆっくり通り抜けられます。亜鉛側で増えすぎた亜鉛イオン(+)や、銅側で減っていく銅イオンのかたよりを、この小さな穴を通るイオンの移動で解消しながら、電池を長く働かせ続けられるのです。
模範解答:「セロハン膜がないと銅イオンが直接亜鉛板に触れて電子を渡してしまい、電子が導線を通らず電池として働かなくなる。セロハン膜はイオンだけを少しずつ通すことで、水溶液が大きく混ざるのを防ぎながら電池を長持ちさせている。」
✓コツ
セロハン膜のかわりに、素焼きの板(小さな穴がたくさんあいた陶器)が使われることもあります。どちらも「大きくは混ざらないが、イオンは少しずつ通れる」という役割は同じです。
✓理解チェック3
金属のイオン化傾向を調べる実験
亜鉛が銅よりイオンになりやすいことは、実験で確かめられます。ある金属を、別の金属イオンをふくむ水溶液に入れ、金属が付着するかどうかを見る実験です。
✓コツ
| 入れた金属 \ 水溶液 | 硫酸マグネシウム水溶液 | 硫酸亜鉛水溶液 | 硫酸銅水溶液 |
|---|---|---|---|
| マグネシウム | −(同じ金属) | ○ 亜鉛が付着 | ○ 銅が付着 |
| 亜鉛 | ×(変化なし) | −(同じ金属) | ○ 銅が付着 |
| 銅 | ×(変化なし) | ×(変化なし) | −(同じ金属) |
たとえば硫酸銅水溶液にマグネシウムリボンを入れると、表面に赤色の銅が付着します。これは、マグネシウムが銅よりイオンになりやすく、マグネシウム原子が電子を渡して、水溶液中の銅イオンが銅原子になって付着したためです。逆に、銅を硫酸亜鉛水溶液や硫酸マグネシウム水溶液に入れても、何も起こりません。銅はマグネシウムや亜鉛よりイオンになりにくいからです。
この表の結果を組み合わせると、イオンになりやすい順は「マグネシウム > 亜鉛 > 銅」だと読み取れます。ダニエル電池で亜鉛が−極、銅が+極になるのは、この順番のうち亜鉛と銅を比べた結果にあたります。
✓理解チェック4
よくある間違い
✕よくある間違い
「金属はどれも同じようにイオンになる」と考え、ダニエル電池でどちらが−極かを覚え物として丸暗記してしまう
金属にはイオンへのなりやすさ(イオン化傾向)の差があり、なりやすいほうが電子を放出して−極になる。差の大きさそのものが電池のしくみ
もう1つ多いのが、Zn → Zn²⁺ + 2e⁻ と Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu の矢印の向きを取りちがえるミスです。電子を「放出する」亜鉛側は右向きの矢印、電子を「受け取る」銅側は電子が左から入ってくる矢印——放出か受け取りかで、式の形がちがう点に注意しましょう。
やってみよう(練習問題)
やってみよう①(基本:極と電子の向き)
ダニエル電池について答えましょう。
- −極になる金属と、+極になる金属をそれぞれ答えなさい。
- 電子は、導線をどちら向きに流れますか。
答えと解説を見る
- −極=亜鉛、+極=銅。
- 亜鉛板(−極)から銅板(+極)へ流れる。
やってみよう②(標準:反応式)
ダニエル電池のそれぞれの電極で起きている反応を、反応式で書きましょう。
- 亜鉛板(−極)で起きている反応
- 銅板(+極)で起きている反応
答えと解説を見る
- (亜鉛原子が電子を2個放出してイオンになる)。
- (水溶液中の銅イオンが電子を2個受け取って銅になる)。
やってみよう③(応用:実験結果から順番を判断する)
3種類の金属マグネシウム・亜鉛・銅について、次の実験結果が得られました。
- 硫酸銅水溶液にマグネシウムを入れると、銅が付着した。
- 硫酸銅水溶液に亜鉛を入れると、銅が付着した。
- 硫酸マグネシウム水溶液に亜鉛を入れても、変化はなかった。
- この3種類の金属を、イオンになりやすい順に並べなさい。
- 亜鉛と銅でダニエル電池をつくったとき、+極になるのはどちらですか。理由もあわせて書きなさい。
答えと解説を見る
- マグネシウム > 亜鉛 > 銅(マグネシウム・亜鉛はどちらも銅より先にイオンになる。亜鉛は硫酸マグネシウム水溶液で変化しなかったので、マグネシウムより後)。
- 銅が+極になる。 亜鉛のほうがイオンになりやすく電子を放出して−極になるため、電子を受け取る銅が+極になる。
家おうちの方へ
この単元のつまずきは、①金属ならどれも同じだと思い込むこと、②電子の移動の向きを丸暗記に頼ることの2つです。「イオンになりやすい金属が電子を渡す側(−極)」という1本の理屈で説明すると、亜鉛と銅の役割も、実験結果の見分け方も、同じ考え方でつながります。反応式は、亜鉛(放出)と銅(受け取り)で矢印の向きが逆になる点を、声に出して確認させると定着します。イオン化傾向を比べる実験は、表を丸暗記させるより「イオンになりやすいほうが、なりにくい金属のイオンに電子を渡す」という一言でまとめると応用がききます。電池の基本のしくみがあやふやなら、電池と電気分解に一度戻ってあげてください。
金属によってイオンへのなりやすさがちがう——この1つの事実が、ダニエル電池では「どちらが−極か」を決め、実験では「どの金属に何が付着するか」を決めています。イオン化傾向の差を電子の動きとして追いかけられれば、電池のしくみはもう暗記に頼らずに説明できます。
📌 1分まとめ(声に出して読もう)
- 金属は種類によってイオンになりやすさ(イオン化傾向)がちがう。
- ダニエル電池は亜鉛(硫酸亜鉛水溶液)と銅(硫酸銅水溶液)をセロハン膜で仕切ってつないだ電池。
- 亜鉛は銅よりイオンになりやすいので、亜鉛がとけて電子を放出し−極になる。
- 銅板では、水溶液中の銅イオンが電子を受け取って銅になり、+極になる。
- セロハン膜は、2つの水溶液が大きく混ざるのを防ぎつつ、イオンだけを行き来させて電池を長く働かせる。
よくある質問
ダニエル電池とは何ですか?
ダニエル電池とは、亜鉛板を硫酸亜鉛水溶液に、銅板を硫酸銅水溶液にひたし、2つの水溶液をセロハン膜(素焼き板)で仕切って導線でつないだ電池です。亜鉛は銅よりイオンになりやすいため、亜鉛板がとけて電子を放出する−極に、銅板は水溶液中の銅イオンが電子を受け取って銅になる+極になります。
なぜ亜鉛が−極、銅が+極になるのですか?
金属によってイオンへのなりやすさ(イオン化傾向)がちがい、亜鉛は銅よりイオンになりやすいからです。イオンになりやすい亜鉛は、電子を2個放出して亜鉛イオンとなり水溶液にとけ出します(Zn→Zn2++2e−)。放出された電子は導線を通って銅板へ流れ、銅板では水溶液中の銅イオンが電子を受け取って銅になります(Cu2++2e−→Cu)。電子を放出する側が−極、受け取る側が+極です。
セロハン膜(仕切り)は何のためにありますか?
2つの水溶液が大きく混ざるのを防ぎながら、イオンだけをゆっくり行き来させて、電池を長く働かせ続けるためです。もしセロハン膜がなく水溶液が自由に混ざると、水溶液中の銅イオンが直接亜鉛板の表面に触れて電子をやりとりしてしまい、電子が導線を通らなくなって電池として働かなくなります。セロハン膜の小さな穴をイオンが通ることで、電気的なかたよりを解消しながら電流を流し続けられます。
金属のイオン化傾向は、どうやって実験で確かめられますか?
ある金属を、別の金属イオンをふくむ水溶液に入れて、金属が付着するかどうかを見ます。たとえば硫酸銅水溶液にマグネシウムリボンや亜鉛板を入れると、表面に赤色の銅が付着します。これは、マグネシウムや亜鉛が銅よりイオンになりやすく、銅イオンに電子を渡すからです。逆に銅を硫酸亜鉛水溶液に入れても変化は起きません。この実験を組み合わせると、マグネシウム>亜鉛>銅の順にイオンになりやすいとわかります。
この単元でつまずいたとき、家庭でできること
- 電池と電気分解(中3理科)に戻るつまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
- 説明役を、外部にまかせる教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。