中学理科中学3年生生物
生物の進化と相同器官|相似器官とのちがいをやさしく【中3理科】
中3理科の「生物の進化」を図解します。長い年月をかけて生物の形質が変化する進化のしくみ、見かけの形やはたらきはちがっても骨格の基本のつくりが共通する相同器官(ヒトの腕・クジラのひれ・鳥の翼)が進化の証拠になる理由、はたらきは似ていても起源がちがう相似器官とのちがい、始祖鳥(シソチョウ)の化石が示す進化の証拠まで、図と例題でやさしく解説します。
進化とは、長い年月をかけて世代を重ねるうちに生物の形質が変化していくことです。相同器官は、見かけやはたらきがちがってももとになった基本のつくりが同じ器官(ヒトの腕・クジラの胸びれ・鳥の翼・コウモリの翼)で、共通の祖先から進化した証拠になります。一方相似器官はもとのつくりがちがうのにはたらきが似ているだけ(鳥の翼と昆虫のはねなど)で、進化の証拠にはなりません。
◎このページのゴール
進化の意味を理解し、相同器官が進化の証拠になる理由を説明できるようになる。相同器官と相似器官を見分けられるようになる。
ヒトの腕、クジラの胸びれ、鳥の翼——見た目もはたらきもまったくちがうのに、骨のつくりをくらべると同じ設計図から生まれたように見えます。この一致こそが進化の動かぬ証拠です。遺伝子とDNAで見た「コピーのときにまれに起こる変化」が、長い年月の中でどう積み重なって生物の姿を変えてきたのかを見ていきましょう。
どこでつまずいた?
あてはまるものをタップ。そこから読むと近道です。
進化とは(まず結論)
→やり方
- 進化=長い年月をかけて、世代を重ねるうちに生物の形質が変化していくこと。
- 形もはたらきもちがう生物どうしでも、体のつくりの基本設計が同じ部分(相同器官)があれば、共通の祖先から分かれた証拠になる。
- 化石の記録(中間的な特徴をもつ生物)も、進化を裏づける証拠になる。
進化は、1匹の生物が一生のうちに姿を変えることではありません。親から子、子から孫へと世代を重ねる中で、集団全体の特徴がゆっくり変わっていく現象です。DNAが複製されるときにごくまれに起こる変化(突然変異)が、世代を超えて積み重なることが、進化の材料の1つと考えられています。
相同器官が進化の証拠になるのはなぜ?
見た目もはたらきもちがう生物の前あしを、骨のつくりで比べてみましょう。

ヒトの腕は「ものをつかむ」、クジラの胸びれは「水をかく」、鳥やコウモリの翼は「空を飛ぶ」——はたらきはバラバラです。ところが、骨の並び方をたどると、どれも**「上腕の骨→前腕の骨→手首の骨→指の骨」という同じ基本設計をもっています。このように、見かけの形やはたらきはちがっても、もとになった基本のつくりが同じ器官を相同器官**といいます。
?なぜ、相同器官があると「共通の祖先から進化した」といえるの?
まったく別の生物が、たまたま同じ骨の並び方になるとは考えにくいからです。もっとも自然な説明は、これらの生物には共通の祖先がいて、その祖先がもっていた「前あしの基本設計」を受けつぎながら、それぞれの生活場所(陸上・水中・空中)に合わせて形だけが変化してきた、という考え方です。
模範解答:「はたらきがちがう生物どうしで骨格の基本のつくりが共通しているのは、共通の祖先から進化する中で、もとの基本設計を保ったまま、生活環境に合わせて形だけが変化してきたためと考えられるから。」
クジラって魚みたいに泳ぐのに、ひれの中に「手首」や「指」の骨があるってふしぎ……。
そこがまさに進化の証拠なんだ。クジラの祖先は、もともと陸上を歩く4本あしの動物だったと考えられている。海で暮らすようになって、あしの形は水をかくのに都合よく変わっていったけど、骨の基本の並び方(上腕・前腕・手首・指)はそのまま受けつがれたんだよ。だから今のクジラのひれの中にも、指にあたる骨がちゃんと残っているんだ。
✓理解チェック1
相同器官と相似器官——「はたらきが似ている」はワナ
相同器官とよく似た名前で、まったく逆の意味をもつ言葉があります。相似器官です。

- 相同器官:起源(もとのつくり)が同じ。はたらきはちがってもよい(コウモリの翼=ヒトの腕)。
- 相似器官:はたらきは似ているが、起源がちがう(昆虫のはね=体の外側の一部が変化/鳥の翼=前あしが変化)。
昆虫のはねと鳥の翼は、どちらも「飛ぶ」というはたらきをもちますが、もとになったつくりがまったくちがうため、相同器官ではなく相似器官です。「はたらきが似ている=相同器官」ではない点が、いちばんのひっかけどころです。
✓コツ
見分けのコツは1つ。「はたらき」ではなく「もとのつくり(起源)」で比べることです。はたらきが同じでも起源がちがえば相似器官、はたらきがちがっても起源が同じなら相同器官。迷ったら「骨の並び方など、体の内側のつくりまでさかのぼって同じかどうか」で判断しましょう。
✓理解チェック2
化石からわかる進化の証拠——シソチョウ(始祖鳥)
進化の証拠は、今生きている生物の体だけでなく、化石にも残されています。代表例が**シソチョウ(始祖鳥)**です。
iメモ
シソチョウの化石には、次の両方の特徴が見られます。
- は虫類の特徴:歯がある、つめのある指、長い尾の骨。
- 鳥類の特徴:羽毛がある、翼がある。
は虫類と鳥類、2つのグループの特徴をあわせもつ生物が実際にいたという事実は、鳥類がは虫類のなかまから進化してきたと考える強力な証拠になります。もし進化が起きていなければ、は虫類と鳥類の特徴が混ざった生物の化石が見つかること自体、説明がつきません。
✓理解チェック3
よくある間違い
✕よくある間違い
「はたらきが似ている=相同器官」と判断してしまう(昆虫のはねと鳥の翼を相同器官だと思ってしまう)
相同器官は起源(もとのつくり)が同じかどうかで決まる。はたらきが似ているだけなら相似器官
もう1つ多いのが、進化を「1匹の生物が一生の間に姿を変えること」と誤解してしまうことです。進化は世代を重ねる中で、集団の特徴がゆっくり変わっていく現象であり、1個体の成長や変化(例:オタマジャクシがカエルになる)とはまったく別の話です。
やってみよう(練習問題)
やってみよう①(基本:用語の確認)
次の空らんに当てはまる言葉を答えましょう。
- 長い年月をかけて、世代を重ねるうちに生物の形質が変化していくことを( )という。
- 見かけの形やはたらきはちがっても、もとになった基本のつくりが同じ器官を( )という。
答えと解説を見る
- 進化。
- 相同器官。
やってみよう②(標準:相同器官と相似器官の分類)
次の器官の組み合わせを、相同器官・相似器官のどちらかに分類しましょう。
- ヒトの腕とコウモリの翼
- チョウのはねと鳥の翼
答えと解説を見る
- 相同器官(どちらも同じ前あしの骨格が基本になっている)。
- 相似器官(どちらも「飛ぶ」はたらきは同じだが、もとのつくりはまったくちがう)。
やってみよう③(応用:記述で答える)
シソチョウ(始祖鳥)の化石について答えましょう。
- シソチョウにみられる、は虫類の特徴を1つ答えなさい。
- シソチョウの化石が進化の証拠とされる理由を、「は虫類」「鳥類」ということばを使って説明しなさい。
答えと解説を見る
- 歯がある/つめのある指がある/長い尾の骨がある、のいずれか。
- (例)は虫類の特徴と鳥類の特徴を両方あわせもつ生物が実際にいたことがわかり、鳥類がは虫類のなかまから進化してきたと考える証拠になるから。
家おうちの方へ
この単元でつまずきやすいのは、①進化を1個体の変化と誤解すること、②相同器官と相似器官を「はたらき」だけで判断してしまうことの2つです。進化は「世代を重ねて集団の特徴が変わっていくこと」だと、成長や変態(オタマジャクシ→カエル)とはっきり区別してあげてください。相同器官・相似器官は、「はたらき」ではなく「もとのつくり(起源)」で見分ける、という1点をくり返し確認すると定着します。遺伝子の変化(突然変異)が進化の材料になるという話は遺伝子とDNAで学んだ複製のしくみとつながっているので、あやふやならそちらに一度戻ってあげてください。
相同器官は「もとのつくりが同じ」、相似器官は「はたらきが似ているだけ」。この1点を区別できれば、進化の証拠は身のまわりの生き物からいくらでも見つけられるようになります。
📌 1分まとめ(声に出して読もう)
- 進化=長い年月をかけて、世代を重ねるうちに生物の形質が変化していくこと。
- 相同器官=見かけの形やはたらきはちがっても、もとになった基本のつくりが同じ器官(例:ヒトの腕・クジラの胸びれ・鳥の翼・コウモリの翼)。
- 相同器官があることは、これらの生物が共通の祖先から進化した証拠になる。
- 相似器官=はたらきは似ていても、もとのつくりがちがう器官(例:昆虫のはねと鳥の翼)。相同器官と混同しやすい。
- シソチョウ(始祖鳥)のように、は虫類と鳥類の両方の特徴をあわせもつ化石も、進化の証拠となる。
よくある質問
進化とは何ですか?
進化とは、長い年月をかけて、世代を重ねるうちに生物の形質(形や性質)が変化していくことです。1個体が一生のうちに姿を変えることではなく、親から子、子から孫へと世代を重ねる中で、集団全体の特徴がゆっくり変わっていく現象を指します。環境に適した形質をもつ個体が生き残りやすく子孫を残しやすいことが、進化が起こる大きな要因の1つと考えられています。
相同器官とは何ですか?なぜ進化の証拠になるのですか?
相同器官とは、見かけの形やはたらきがちがっても、もとになった基本のつくりが同じ器官のことです。たとえばヒトの腕、クジラの胸びれ、鳥の翼、コウモリの翼は、使い方はまったくちがいますが、骨の基本的な並び方(上腕の骨・前腕の骨・手首や指にあたる骨)が共通しています。まったく別の生物なのに骨格の基本設計が同じであることは、これらの生物が共通の祖先から分かれて進化したことを示す強い証拠と考えられています。
相同器官と相似器官のちがいは何ですか?
相同器官はもとのつくりが同じ器官(起源が共通)、相似器官ははたらきは似ていてももとのつくりがちがう器官(起源が別)です。たとえば昆虫のはねと鳥の翼は、どちらも「飛ぶ」というはたらきは似ていますが、昆虫のはねは体の外側にあるつくりが変化したもの、鳥の翼は前あしが変化したものであり、もとのつくりはまったくちがいます。「はたらきが似ている=相同器官」ではない点に注意が必要です。
シソチョウ(始祖鳥)は、なぜ進化の証拠とされるのですか?
シソチョウの化石には、は虫類の特徴(歯がある、つめのある指、長い尾の骨)と、鳥類の特徴(羽毛がある、翼がある)が両方見られるからです。は虫類と鳥類の中間的な特徴をあわせもつ生物が実際にいたことは、鳥類がは虫類のなかまから進化してきたと考える証拠の1つになっています。
この単元でつまずいたとき、家庭でできること
- 遺伝子とDNA(中3理科)に戻るつまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
- 説明役を、外部にまかせる教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。