中学理科中学3年生生物

遺伝子とDNAとは|二重らせん構造と塩基対をやさしく【中3理科】

中3理科の「遺伝子とDNA」を図解します。遺伝子の正体はDNAという物質であること、染色体・DNA・遺伝子の関係、DNAが二重らせん構造でA・T・G・Cの4種類の塩基からなること、A-T・G-Cの決まったペアのおかげで複製が正確に行われるしくみまで、図と例題でやさしくわかります。

先に答え

遺伝子の正体は DNA(デオキシリボ核酸)という物質で、染色体の中にDNAが折りたたまれて入り、その中の意味のある部分が遺伝子としてはたらきます。DNAは 22 本の鎖がらせん状に巻きついた二重らせん構造で、A と T、G と C が決まった組み合わせで対になる(塩基対)ため、鎖を 11 本ずつに分ければ相手側が自動的に決まり、まったく同じDNAが複製できます。

このページのゴール

染色体・DNA・遺伝子の関係を理解し、DNAが二重らせん構造をもち、A-T・G-Cの塩基対によって複製されるしくみを説明できるようになる。

遺伝の規則性では「遺伝子」を A・a という記号で、生殖と細胞分裂では「染色体」を数で追いかけてきました。では、その遺伝子の正体は何でしょうか。答えはDNAという物質です。ここでは、染色体・DNA・遺伝子の関係と、DNAが情報を正確にコピーできるしくみを見ていきます。

遺伝子・DNA・染色体の関係(まず結論)

やり方

  1. DNA(デオキシリボ核酸)という物質が、遺伝子の正体
  2. 染色体の中に、DNAが折りたたまれて入っている。
  3. DNAの中の意味のある部分が、遺伝子としてはたらく。
細胞核の中の染色体、DNAの二重らせん、DNAの一部をハイライトした遺伝子を左から順に示す実写風の教材写真
染色体の中にDNAがあり、DNAの一部が遺伝子としてはたらく。左から「染色体 → DNA → 遺伝子」。

生殖と細胞分裂で見た染色体の中身をズームインしていくと、DNAという長い分子が折りたたまれていて、その一部分だけが遺伝子として意味をもつ——という入れ子の関係になっています。

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セナ

じゃあ「遺伝子」と「DNA」って、同じものを呼び方だけ変えているだけなの?

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ホクト先生

似ているけど、ちょっとちがうよ。DNAは物質そのものの名前(材料)、遺伝子はDNAの中の「意味のある部分」の名前(情報)。たとえるなら、DNAは長い1本のテープ、遺伝子はそのテープの中の「ここからここまでが1つの指令」という区間、というイメージだね。

理解チェック1

DNAの構造——二重らせんと4種類の塩基

DNAは、2本の鎖がらせん状に巻きついた「二重らせん」構造をしています。それぞれの鎖には、A(アデニン)・T(チミン)・G(グアニン)・C(シトシン)という4種類の塩基が、はしごの段のように並んでいます。

DNAをはしご状に広げた実写風の分子模型。赤と青、緑と黄色の塩基が左右で決まったペアをつくっている
模型の色で見る塩基対:赤-青が A-T、緑-黄色が G-C。赤-青は2本、緑-黄色は3本の棒でつながっています。

この図のように、A(アデニン)は必ずT(チミン)とG(グアニン)は必ずC(シトシン)とペアを組みます。これを塩基対といい、この決まった組み合わせのルールを相補性といいます。

コツ

覚え方は「A-T、G-C」の2組だけ。AとGが組んだり、TとCが組んだりすることはありません。A-Tは2本線、G-Cは3本線でつながっている(結びつきの強さがちがう)と図で覚えておくと、構造のイメージがつかみやすくなります。

理解チェック2

どうして、AはT、GはCと決まってペアを組むの?

?どうして?

A・T・G・Cはそれぞれ形がちがう分子で、AとT、GとCの組み合わせだけが、ちょうどぴったりはまる形をしているからです。AとG、TとCのように別の組み合わせにしようとしても、形が合わずうまくつながりません。この「決まった相手としかつながらない」性質を相補性といいます。

模範解答:「A・T・G・Cはそれぞれ形がちがい、AとT、GとCの組み合わせだけが形がぴったり合ってつながることができるから。」

かぎとかぎ穴のように、合う形の相手としかペアを組めない——これがDNAの中でずっと守られているルールです。次の「複製」で、このルールが実際にどう役立つかを見ていきます。

DNAの複製——決まったペアのおかげで正確にコピーされる

細胞分裂の前には、DNAが複製されて2倍になります(体細胞分裂で「染色体が複製される」と学んだ、その中身です)。

DNAの複製を3段階で示す実写風の教材写真。1本のDNAがほどけ、それぞれを型にして新しい鎖ができ、同じDNAが2組になる
①もとのDNAがほどける → ②それぞれの鎖を型にして相手の塩基がつく → ③同じ配列のDNAが2組できる。

やり方

  1. 二重らせんがほどけて、2本の一本鎖に分かれる。
  2. それぞれの鎖を**型(鋳型)**にして、A-T、G-Cのルールにしたがい、新しい相手の鎖がつくられる。
  3. できあがった2組のDNAは、どちらももとの配列と同じになる。

もとの鎖の並び方が「A・T・G」なら、相手の鎖は自動的に「T・A・C」に決まります。塩基のペアのルールが決まっているからこそ、新しい鎖の並び方も1通りに決まり、正確にコピーできるのです。ごくまれにこのコピーで誤りが起きることがあり、これが突然変異とよばれる遺伝子の変化のもとになります。

理解チェック3

よくある間違い

よくある間違い

まちがい

「遺伝子」と「DNA」をまったく同じものだと思ってしまう/AとG、TとCのようにペアの組み合わせを取りちがえる

正しい

DNAは物質、遺伝子はDNAの中の意味のある部分。ペアはA-T、G-Cの2組だけ

もう1つ多いのが、「染色体」と「DNA」の大小関係を逆にしてしまうミスです。染色体の中にDNAが入っているのであって、DNAの中に染色体が入っているのではありません。「染色体>DNA>遺伝子」という入れ子の順番を、図といっしょに覚えておきましょう。

やってみよう(練習問題)

やってみよう①(基本:塩基の相手)

DNAの塩基対について答えましょう。

  1. Aとペアを組む塩基は何ですか。
  2. Gとペアを組む塩基は何ですか。
答えと解説を見る
  1. T(チミン)
  2. C(シトシン)。A-T、G-Cの2組だけがペアを組みます。

やってみよう②(標準:相補鎖を書く)

DNAの一方の鎖の塩基配列が、次のようになっていました。

A-T-G-C-A

このとき、もう一方の鎖(相補鎖)の塩基配列を答えましょう。

答えと解説を見る

T-A-C-G-T

Aの相手はT、Tの相手はA、Gの相手はC、Cの相手はG。1つずつ順番に相手を当てはめていきます。

やってみよう③(応用:記述で答える)

DNAが複製されるとき、もとの配列とまったく同じ配列が2組できるのはなぜですか。「塩基対」「決まった組み合わせ」ということばを使って、理由を書きましょう。

答えと解説を見る

(例)DNAはA-T、G-Cという決まった組み合わせで塩基対をつくるため、ほどけた一方の鎖の配列が決まれば、新しくつくられる相手の鎖の配列も自動的に1通りに決まり、もとと同じ配列が正確にコピーされるから。

おうちの方へ

この単元のつまずきは、①**「遺伝子」「DNA」「染色体」の大小関係があいまいなこと**、②塩基のペアの組み合わせを丸暗記できないことの2つです。「染色体の中にDNA、DNAの一部が遺伝子」という入れ子の図を繰り返し確認すると、3つの言葉の関係が定着します。塩基対は「A-T、G-Cの2組だけ」とシンプルに絞り、なぜその組み合わせなのか(形がぴったり合うから=相補性)まで伝えると、丸暗記に頼らずにすみます。遺伝の規則性生殖と細胞分裂で学んだ「遺伝子」「染色体」ということばがあやふやなら、そちらに一度戻ってあげてください。

染色体の中にDNA、DNAの一部が遺伝子。A-T、G-Cという決まったペアのおかげで、DNAは情報を正確にコピーできます。この構造のシンプルさが、生命が世代を超えて情報を伝える土台になっています。

次は生物の進化と相同器官で、この遺伝子の変化が長い年月をかけてどう生物の姿を変えてきたかを見ていきましょう。

📌 1分まとめ(声に出して読もう)

  • 遺伝子の正体はDNA(デオキシリボ核酸)という物質。
  • 染色体の中にDNAが折りたたまれて入っており、DNAの中の意味のある部分が遺伝子としてはたらく。
  • DNAは2本の鎖がらせん状に巻きついた二重らせん構造をしている。
  • DNAはA(アデニン)・T(チミン)・G(グアニン)・C(シトシン)の4種類の塩基からなり、AはTと、GはCと必ずペアを組む。
  • 細胞分裂の前にDNAが複製されるとき、この決まったペア(相補性)のおかげで、同じ配列が正確にコピーされる。

よくある質問

遺伝子とDNAはどうちがいますか?

DNAは物質そのものの名前で、遺伝子はDNAの中で意味のある情報をもつ部分のことです。染色体の中にDNAが折りたたまれて入っており、そのDNAの一部(形質を決める情報をもつ部分)が遺伝子としてはたらきます。「染色体>DNA>遺伝子(DNAの一部)」という階層で整理すると、3つの言葉のちがいがすっきりします。

DNAはどんな構造をしていますか?

DNAは、2本の鎖がらせん状に巻きついた二重らせん構造をしています。それぞれの鎖には、A(アデニン)・T(チミン)・G(グアニン)・C(シトシン)という4種類の塩基が一列に並んでおり、2本の鎖の間で塩基どうしがペアを組んではしごの段のようにつながっています。

なぜAはTと、GはCと決まってペアを組むのですか?

AとT、GとCは、それぞれの塩基の形やつながり方がぴったり合う組み合わせだからです(相補性といいます)。AとG、TとCのように組み合わせが変わると、形が合わずペアを組めません。この決まった組み合わせのルールがあるおかげで、DNAが複製されるときに正しい相手の塩基が選ばれ、もとと同じ配列が正確にコピーされます。

DNAが複製されるとき、なぜ同じ配列を正確にコピーできるのですか?

二重らせんがほどけて2本の鎖に分かれたあと、それぞれの鎖を型(鋳型)にして、A-T、G-Cの決まったペアのルールにしたがって新しい相手の鎖がつくられるからです。もとの鎖の塩基の並び方が決まっていれば、相手の鎖の並び方も自動的に1通りに決まるため、できあがる2組のDNAはどちらももとの配列と同じになります。

この単元でつまずいたとき、家庭でできること

  1. 遺伝の規則性(メンデルの法則)(中3理科)に戻る
    つまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
  2. 説明役を、外部にまかせる
    教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。
#遺伝子#DNA#二重らせん#塩基対#中3理科