中学理科中学1年生物質・化学
蒸留とは|エタノールと水を分ける実験と温度計の位置【中1理科】
中1理科の「蒸留」を図解します。液体の混合物を加熱し、沸点のちがいを利用して蒸気を冷やしながら分離する蒸留のしくみ、赤ワインからエタノールを取り出す実験、温度計の球部を枝の高さに合わせる理由、沸騰石を入れる理由まで、装置図と例題でやさしくわかります。
蒸留とは、液体を加熱して沸騰させ、出てきた気体を冷やして再び液体にもどすことで物質を分ける方法です。決め手は沸点のちがいで、水( ℃)とエタノール(約 ℃)の混合物では沸点の低いエタノールから先に多く出てきます。温度計の球部は枝の高さに合わせ(測るのは出ていく蒸気の温度だから)、突沸を防ぐため沸騰石を入れます。
◎このページのゴール
蒸留が沸点のちがいを利用して混合物から物質を分離する方法であることを理解し、実験装置の温度計の位置や沸騰石の役割を説明できるようになる。
赤ワインは、エタノール(お酒の成分)と水がまざった混合物です。この2つを、ろ過やこし取りではなく分けて取り出すにはどうすればよいでしょうか。答えは、状態変化で学んだ沸点のちがいを利用すること。これが蒸留です。
どこでつまずいた?
あてはまるものをタップ。そこから読むと近道です。
蒸留とは(まず結論)
→やり方
- 液体の混合物を加熱して沸騰させる。
- 出てきた気体(蒸気)を冷やして、再び液体にもどす。
- 沸点の低い物質から先に多く出てくるので、混合物を分離できる。
これが蒸留です。ろ過が「とけていないつぶ」を取り除く方法だったのに対し、蒸留は液体どうしがとけ合っている混合物を、沸点のちがいを使って分けるのがポイントです。
どうして沸点のちがいで分けられるの?
エタノールの沸点は約 ℃、水の沸点は ℃です(状態変化で確認したとおり、物質ごとに沸点は決まっています)。赤ワインを加熱すると、沸点の低いエタノールのほうが先に、多く気体になって出ていきます。

装置の流れは、①フラスコで加熱 → ②枝から出た蒸気がガラス管を通る → ③水で冷やされて再び液体にもどる → ④別のビーカーにたまる、という順です。この「気体にして、また液体にもどす」がまさに蒸留の中身です。
グラフのように、加熱を始めると温度は早めに ℃付近まで上がり、そのあたりでしばらく落ち着きます。この間に出てくる液体はエタノールの割合が多い液体です。さらに加熱を続けると、温度はゆるやかに ℃へ近づいていき、出てくる液体は水の割合が多くなっていきます。純粋な水のようにぴったり平らにはならず、少しずつ上がっていくのが混合物の蒸留の特徴です。
沸点が78℃なら、78℃になったとたんに「エタノールだけ」がバーッと出てくるのかと思ってた。
そこがひっかかりやすいところ! 赤ワインは水とエタノールがとけ合った混合物だから、78℃になっても「エタノールだけ」が出てくるわけじゃないんだ。エタノールの割合がいちばん多く出てくる、というのが正確な言い方だよ。加熱を続けるほど、フラスコの中はだんだん水の割合が増えていくから、あとから出てくる液体ほど水っぽくなる。状態変化で見た「決まった温度でぴたっと平ら」になるのは、混じりけのない純粋な物質だけの話なんだ。
✓理解チェック1
温度計の位置と沸騰石——実験の2つの注意点
蒸留の実験装置には、まちがえやすいポイントが2つあります。
?なぜ、温度計の球部は枝の高さに合わせるの?
測りたいのは、これから出ていく蒸気の温度だからです。フラスコの中の液体そのものに球部をひたしてしまうと、液体全体の温度しかわからず、「いま何の蒸気が多く出ているか」を判断できません。枝の高さに球部を合わせることで、通り過ぎていく蒸気の温度=出てくる物質を見分ける手がかりを測れます。
模範解答:「フラスコの中の液体の温度ではなく、これから枝を通って出ていく蒸気の温度を測るため。」
✓コツ
もう1つの注意点は沸騰石です。沸騰石を入れずに加熱すると、液体の中に急に大きな気泡が発生して**液体が飛び散る(突沸)**ことがあり、危険です。沸騰石の小さなすき間から穏やかに気泡が出るようにすることで、突沸を防ぎ、安定したペースで蒸留を進められます。一度使った沸騰石を再利用しないのもポイントで、すき間に液体がしみこんでしまうと効果がなくなるからです。
✓理解チェック2
集めた液体は、燃やして確かめる
蒸留で集めた液体が、本当にエタノールを多くふくんでいるかは、実際に燃やして確かめられます。
→やり方
- 集めた液体を、脱脂綿などにしみこませる。
- 火を近づける。
- よく燃えれば有機物(エタノール)が多い、燃えにくければ水の割合が多い。
これは有機物と無機物で確認した「燃やして確かめる」考え方そのものです。エタノールは炭素をふくむ有機物なので、火を近づけると青い炎を上げてよく燃え、あとに何も残りません。あとのほうで出てくる、水の割合が多い液体は燃えにくくなります。
✓理解チェック3
よくある間違い
✕よくある間違い
温度計の球部を、フラスコの中の液体にひたしてしまう
温度計の球部は枝の高さに合わせる。測るのは出ていく蒸気の温度
もう1つ多いのが、「 ℃になったらエタノールだけが出て、それ以降は水だけが出る」という誤解です。実際は、はじめはエタノールの割合が多く、加熱が進むにつれてしだいに水の割合が増えていくという、なだらかな変化です。混合物には、純粋な物質のような「ぴたっと平らな温度」はありません。
やってみよう(練習問題)
やってみよう①(基本:蒸留のしくみ)
蒸留について答えましょう。
- 蒸留で物質を分けるときの決め手は何ですか。
- 赤ワインを蒸留したとき、はじめに出てくる液体には何が多くふくまれますか。
答えと解説を見る
- 沸点のちがい(沸点の低い物質から先に多く出てくる)。
- エタノール(沸点が水より低いため)。
やってみよう②(標準:実験の注意点)
蒸留の実験装置について答えましょう。
- 温度計の球部を枝の高さに合わせるのはなぜですか。理由を書きなさい。
- 沸騰石を入れる理由を書きなさい。
答えと解説を見る
- フラスコの中の液体ではなく、これから出ていく蒸気の温度を測るため。
- 急な沸騰(突沸)を防ぎ、安全に一定のペースで蒸留を進めるため。
やってみよう③(応用:グラフと確認実験)
赤ワインを蒸留しながら、枝の高さの温度を記録しました。
- 加熱を始めた直後は、温度はどのように変化しますか。
- 蒸留の途中で集めた液体Aと、さらにあとで集めた液体Bを、それぞれ脱脂綿にしみこませて火を近づけました。Aはよく燃え、Bはほとんど燃えませんでした。A・Bどちらにエタノールが多くふくまれていますか。理由もあわせて書きなさい。
答えと解説を見る
- 早めに 78 ℃付近まで上がり、そのあたりでしばらく落ち着いてから、しだいに 100 ℃へ近づいていく。
- 液体Aにエタノールが多い。 エタノールは有機物で燃えやすく、よく燃えたAはエタノールの割合が多い液体だとわかる。ほとんど燃えなかったBは水の割合が多い。
家おうちの方へ
この単元のつまずきは、①温度計の位置の意味を丸暗記してしまうこと、②混合物の沸点を「ぴたっと平ら」だと誤解することの2つです。「測りたいのは、出ていく蒸気の温度」という目的から説明すると、温度計の位置も沸騰石の役割も筋道立てて理解できます。混合物の温度変化は、状態変化で学んだ純粋な物質の「ぴたっと平らなグラフ」とはちがい、なだらかに変わっていく点を対比させると定着しやすいです。集めた液体を燃やして確かめる実験は有機物と無機物の考え方の応用なので、あやふやならそちらに一度戻ってあげてください。
沸点のちがいを利用して、気体にしてからまた液体にもどす——これが蒸留のすべてです。温度計は「出ていく蒸気」を、沸騰石は「安全な沸騰」を見張っている。この2つの役割さえつかめば、蒸留の実験装置はもう迷いません。
📌 1分まとめ(声に出して読もう)
- 蒸留=液体を加熱して沸騰させ、出てきた気体を冷やして再び液体にもどし、物質を分離する方法。
- 決め手は沸点のちがい。沸点の低い物質から先に多く出てくる。
- 温度計の球部は枝の高さに合わせる。測りたいのは出ていく蒸気の温度だから。
- 沸騰石を入れるのは、急な沸騰(突沸)を防ぐため。
- 赤ワイン(エタノールと水の混合物)を蒸留すると、はじめに出てくる液体ほどエタノールの割合が多い(火をつけると燃えやすい)。
よくある質問
蒸留とは何ですか?
蒸留とは、液体の混合物を加熱して沸騰させ、出てきた気体(蒸気)を冷やして再び液体にもどすことで、物質を分離する方法です。沸点のちがいを利用しており、沸点の低い物質ほど先に多く出てきます。赤ワイン(エタノールと水の混合物)を蒸留すると、はじめに出てくる液体はエタノールの割合が多くなります。
蒸留の実験で、温度計の球部を枝の高さに合わせるのはなぜですか?
測りたいのは、これから出ていく蒸気(気体)の温度だからです。フラスコの中の液体そのものの温度ではなく、枝を通って冷却されていく蒸気の温度を測ることで、いま何の蒸気が多く出ているかを判断できます。温度計の球部を液体の中に入れてしまうと、液体全体の温度しかわからず、出てくる物質を見分けられません。
蒸留の実験で、沸騰石を入れるのはなぜですか?
急な沸騰(突沸)を防ぐためです。沸騰石を入れないまま液体を加熱すると、液体の中に急に大きな気泡が発生し、液体が飛び散って危険なことがあります。沸騰石の小さなすき間から穏やかに気泡が出るようにすることで、突沸を防ぎ、安全に一定のペースで蒸留を進められます。
蒸留で最初に出てきた液体が、エタノールを多くふくむとどうやって確かめられますか?
集めた液体を脱脂綿などにしみこませ、火を近づけて燃えるかどうかを確かめます。エタノールは有機物で燃えやすいため、エタノールを多くふくむ液体は青い炎を上げてよく燃え、あとに何も残りません。あとのほうで出てくる水の割合が多い液体は、燃えにくくなります。これは有機物と無機物の見分け方と同じ考え方です。
この単元でつまずいたとき、家庭でできること
- 状態変化とは(融点・沸点)(中1理科)に戻るつまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
- 説明役を、外部にまかせる教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。