中学理科中学3年生物理

力の合成と分解|平行四辺形の法則・斜面の力をやさしく【中3理科】

中3理科の「力の合成と分解」を図でやさしく。2つの力を1つにまとめる合力、一直線上の力の和と差、角度がある力を平行四辺形でもとめる方法、1つの力を2方向に分ける分力、斜面上の重力の分解、2力のつり合いまで、作図のしかたを図で身につけられます。

このページのゴール

2つの力の合力を平行四辺形でもとめ、1つの力を2方向に分解できるようになり、斜面上の重力の分解や2力のつり合いを説明できるようになる。

「2人で同じ向きに引けば力は足し算。でも、ななめに引いたらどうなるの?」——その答えが力の合成です。中3理科でつまずきやすい単元ですが、カギは「平行四辺形をかく」というたった1つの作図。これがわかれば、ななめの力も、斜面にはたらく力も、図で求められるようになります。

合力と分力——力をまとめる・分ける

物体に2つの力がはたらくとき、それと同じはたらきをする1つの力にまとめられます。これが合力です。逆に、1つの力を、同じはたらきをする2つの力に分けたものが分力です。

iメモ

  • 合力…2つ(以上)の力を、まとめて1つにした力。
  • 分力…1つの力を、2つの方向に分けた力。
  • 力は大きさと向きをもつので、矢印で表す(長さ=大きさ、向き=力の向き)。

「合成(まとめる)」と「分解(分ける)」は、ちょうど逆の操作です。どちらも矢印を使った作図で求めるのがポイント。たし算・ひき算のように向きをそろえて足すだけ……ではないところ(角度がある場合)が、この単元のヤマです。

理解チェック①

一直線上の力(和と差)

2つの力が同じ直線上にあるときは、かんたんです。

やり方

  1. 同じ向きなら、合力の大きさは2力の。向きはそのまま。
  2. 逆向きなら、合力の大きさは2力の。向きは大きいほうの力の向き。

たとえば、右向き 55 N と右向き 33 N なら合力は右向き 88 N。右向き 55 N と左向き 33 N なら合力は右向き 22 N。綱引きで、両チームの力の差が勝負を決めるのと同じです。

理解チェック②

角度がある力(平行四辺形の法則)

2つの力が角度をもってはたらくときは、たし算ではうまくいきません。そこで使うのが平行四辺形の法則です。

力A力B合力2力を2辺とする平行四辺形の対角線=合力

作図の手順は、①2つの力の矢印を2辺として平行四辺形をかく → ②その対角線が合力。対角線の長さが合力の大きさ、向きが合力の向きです。2力が直角のときは、合力は対角線で、三平方の定理でも長さが出せます。

セナちゃんのアイコン
セナ

なんでたし算じゃダメで、平行四辺形なの?

ホクト先生のアイコン
ホクト先生

力は「大きさ」だけじゃなくて「向き」も持っているからだよ。同じ 33 N でも、ななめだと“効きめ”が一直線のときより小さくなる。平行四辺形は、その「向きのちがい」までちゃんと計算してくれる作図なんだ。だから2力が同じ向きのときは平行四辺形がぺちゃんこになって、ただのたし算(対角線=和)になる。一直線の和・差は、平行四辺形の特別なかたちなんだよ。

理解チェック③

力の分解と斜面の力

分解は合成の逆で、1つの力を2方向に分けます。平行四辺形を逆にかく(分けたい2方向を辺にして、もとの力を対角線にする)と、2つの分力が求められます。

いちばん大事な例が、斜面の上の物体にはたらく重力の分解です。

重力斜面に平行(すべり落とす力)斜面に垂直重力を斜面に平行・垂直な2分力に分ける

真下にはたらく重力を、斜面に平行な分力(物体をすべり落とそうとする力)と、斜面に垂直な分力に分けます。斜面が急になるほど、平行な分力が大きくなり、物体は速くすべり落ちます。坂道で台車が動き出すのは、この平行な分力のためです。

理解チェック④

よくある間違い

よくある間違い

まちがい

角度がある2力の合力を、大きさをそのままたし算してしまう(3+4=73+4=7 など)

正しい

角度があるときは平行四辺形の対角線。たし算になるのは2力が同じ向き(一直線)のときだけ

もう1つは、斜面の分解で重力の向きをまちがえること。重力はつねに真下(鉛直下向き)。それを斜面に平行・垂直に分ける、という順番です。斜面に沿って最初から斜めに引かない点に注意しましょう。

やってみよう(練習問題)

✏️ やってみよう①(基本:一直線の合力)

次の合力(大きさと向き)を求めましょう。

  1. 右向き 66 N と右向き 44 N。
  2. 右向き 77 N と左向き 1010 N。
答えと解説を見る
  1. 同じ向きなので和。6+4=106+4=10右向き10N
  2. 逆向きなので差。107=310-7=3、向きは大きいほう。→ 左向き3N

✏️ やってみよう②(標準:平行四辺形)

たがいに直角な2つの力、東向き 33 N と北向き 44 N がはたらいています。

  1. 合力をもとめる作図の方法は?
  2. 合力の大きさは何 N?(直角なので三平方の定理が使えます)
答えと解説を見る
  1. 2力を2辺とする平行四辺形(この場合は長方形)をかき、対角線をとる。
  2. 32+42=25=5\sqrt{3^2+4^2}=\sqrt{25}=55 N(向きは北東より少し東寄り)。

✏️ やってみよう③(応用:斜面)

なめらかな斜面の上に物体を置きました。

  1. 物体にはたらく重力を、どの2方向に分解する?
  2. 斜面の傾きを急にすると、物体をすべり落とそうとする分力はどうなる?
答えと解説を見る
  1. 斜面に平行な方向斜面に垂直な方向
  2. 大きくなる(斜面が急なほど、斜面に平行な分力が大きくなり、速くすべり落ちる)。

おうちの方へ

この単元のつまずきは「角度がある力をたし算してしまう」ことに集中します。同じ向きならたし算でよいのですが、角度があるときは平行四辺形の対角線で求める、という作図がカギです(一直線の和・差は、その特別な場合)。もう1つの山が斜面の力の分解で、ポイントは「重力はつねに真下」。その真下の重力を、斜面に平行(すべり落とす力)と垂直の2方向に分ける、という順番を押さえれば解けます。斜面が急なほど平行な分力が大きい、という結論を、実際に坂道で台車が動くようすと結びつけると納得しやすいです。直角な2力の合力は力の矢印と三平方の定理でも確かめられ、数学とつながります。

角度があれば平行四辺形の対角線、重力は真下を斜面に平行・垂直へ分ける。——この2つの作図さえ身につければ、ななめの力も、坂道の力も、図でスッキリ求められます。

📌 1分まとめ(声に出して読もう)

  • 合力=2つの力を1つにまとめた力。1つの力を分けたものが分力
  • 一直線上の力は、同じ向きは和逆向きは差(大きいほうの向き)。
  • 角度がある2力の合力は、2力を2辺とする平行四辺形の対角線(平行四辺形の法則)。
  • 分解は平行四辺形を逆にかく。斜面上の重力は、斜面に平行な分力と垂直な分力に分けられる。
  • 2力のつり合い=一直線上・大きさが等しい・逆向き(合力が0)。

よくある質問

合力とは何ですか?分力とのちがいは?

合力とは、物体にはたらく2つ(以上)の力を、同じはたらきをする1つの力にまとめたものです。反対に、1つの力を同じはたらきをする2つの方向に分けたものが分力で、合成と分解はちょうど逆の操作です。力は大きさと向きをもつので、どちらも矢印を使った作図で求めます。

平行四辺形の法則とは何ですか?

角度をもってはたらく2つの力の合力は、2力の矢印を2辺とする平行四辺形をかいたときの対角線になる、という法則です。対角線の長さが合力の大きさ、対角線の向きが合力の向きを表します。2力が一直線上にあるときは、同じ向きなら和、逆向きなら差(大きいほうの向き)になります。

なぜ角度がある2つの力は、そのままたし算してはいけないの?

力は大きさだけでなく向きも持っているからです。同じ3N(ニュートン)の力でも、ななめにはたらくと一直線のときより効きめが小さくなります。平行四辺形の作図は、その向きのちがいまで含めて合力を求める方法です。2力が同じ向きのときは平行四辺形がぺちゃんこにつぶれて、対角線=和となり、ただのたし算と一致します。

斜面の上の物体にはたらく重力は、どう分解すればいいですか?

真下(鉛直下向き)にはたらく重力を、斜面に平行な分力(物体をすべり落とそうとする力)と、斜面に垂直な分力の2方向に分けます。重力はつねに真下向きで、最初から斜面に沿ってななめに引かない点に注意しましょう。斜面が急になるほど斜面に平行な分力が大きくなり、物体は速くすべり落ちます。

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