中学理科中学3年生化学

イオンとは|原子の構造と電子の出入りでできるしくみ【中3理科】

イオンとは、原子が電子を失ったり受け取ったりして電気を帯びた粒のことです。中3理科でつまずく「電子(−)を失うとなぜ+になるのか」を、原子核(陽子・中性子)と電子のつくりから図解。原子番号と同位体、Na⁺・Cl⁻・Cu²⁺などイオン式の右上の数字の意味まで、図と例題でわかります。

先に答え

原子は中心の原子核(陽子+と中性子)とまわりの電子(−)でできていて、ふつうは数が同じで電気的に中性です。電子を失うと+が余って陽イオン、電子を受け取ると−が余って陰イオンになります(ナトリウム原子が電子 11 個を失うと Na+\mathrm{Na^+})。原子の種類を決めるのは陽子の数(原子番号)で、中性子の数だけがちがう仲間を同位体といいます。

◎このページのゴール

原子の構造(陽子・中性子・電子)を理解し、電子の出入りで陽イオン・陰イオンができるしくみとイオン式を説明できるようになる。

「電子を失ったのに、どうしてプラスになるの?」——イオンは中3理科でつまずきやすい単元ですが、原子のつくりを図で見れば「+と−のどちらが余るか」を数えるだけだとわかります。 このページでは、原子の中身(陽子・中性子・電子)から、イオンができる瞬間とイオン式の読み方までを整理します。 水にとかしたあとの話——電離・電解質・電離式は、電離とは(電離式の書き方と陽イオン・陰イオン一覧)にまとめています。

原子のつくり——原子核と電子

イオンの話に入る前に、原子の中身を見ておきましょう。 ここがあいまいなままだと、+・−の向きが最後まで定まりません。

原子は、中心にある 原子核 と、そのまわりの 電子 でできています。 原子核は、+の電気をもつ 陽子 と、電気をもたない 中性子 が集まったものです。

+++−−−陽子(+)3個中性子(電気なし)4個電子(−)3個陽子 +3電子 −3合計 ± 0 = 中性原子核

図のように、陽子の+と電子の−は同じ数あります。 だから、ふつうの原子は全体として電気をもちません。 この状態を 電気的に中性 といいます。

原子の種類を決めるのは「陽子の数」

原子の種類(元素)を決めているのは、陽子の数 です。 これを 原子番号 といいます。 水素は陽子1個、炭素は6個、ナトリウムは11個——陽子の数が変われば、別の元素になります。

同位体——中性子の数だけがちがう仲間

同じ元素なのに、中性子の数だけがちがう 原子があります。 これを 同位体 といいます。

炭素12炭素14
陽子の数66
中性子の数68
電子の数66
元素の種類炭素炭素(同じ)
化学的な性質ほぼ同じほぼ同じ

陽子の数が同じなので、どちらも 炭素 です。 化学的な性質もほぼ変わりません。 ちがうのは重さと、炭素14が時間とともに少しずつ別の原子に変わっていく点だけです。

イオンができるしくみ

→やり方

  1. 原子は 原子核(陽子+) と 電子(−) でできていて、ふつうは+と−が 同数=電気的に中性。
  2. 原子が 電子(−)を失う と+が余って 陽イオン(+) になる。
  3. 原子が 電子(−)を受け取る と−が余って 陰イオン(−) になる。

たとえばナトリウム原子が電子を1個失うと ナトリウムイオン Na⁺、塩素原子が電子を1個受け取ると 塩化物イオン Cl⁻ になります。変わるのは電子の数だけで、原子核(陽子)の数は変わりません。

どうして電子を失うと「+」になるの?

原子の中心には 陽子(+の電気) があり、そのまわりを 電子(−の電気) が回っています(中性子は電気をもちません)。ふつうの原子は 陽子の数=電子の数 なので、+と−が打ち消し合って 電気をもたない(中性) 状態です。

ナトリウム原子から塩素原子へ電子が1個移動する図。移動前はNaが2・8・1、Clが2・8・7。移動後はNa⁺が2・8、Cl⁻が2・8・8となり、電子が1個減ったNaはプラス1、増えたClはマイナス1になる

電子(−)を1個失うと、+の陽子のほうが1個多く なります。すると全体として +が1つ分余る ので、原子は +の電気 をもったイオン(陽イオン)になります。逆に電子を受け取ると−が余るので陰イオンです。

つまり 「電子(−)が出ていく → +が余る → 陽イオン」「電子(−)が入ってくる → −が余る → 陰イオン」。出入りするのは軽い電子だけで、原子核(陽子)は動かないのがポイントです。

✓コツ

迷ったら「動くのは電子(−)だけ」と思い出しましょう。+の陽子は出入りしません。電子が出れば+が勝って陽イオン、電子が入れば−が勝って陰イオン。「出る=陽(+)」と覚えると向きを間違えません。

セナちゃんのアイコン
セナ

電子(マイナス)を失ったんだから、マイナスが減って…えっと、マイナスのイオンになるんじゃないの?

ホクト先生のアイコン
ホクト先生

そこがいちばん間違えやすいところ! 失ったのは −の電子 だよ。−が減ると、残った +の陽子のほうが多くなる。だから全体は+(陽イオン)になるんだ。「減ったほうの反対が残って勝つ」と考えるといいよ。−が減れば+の勝ち、−が増えれば−の勝ち。

✓理解チェック1

ある原子が電子を1個失った。このイオンは何イオン?
答えと解説を見る

答え:陽イオン(+の電気をもつ)

電子(−)を失うと+の陽子のほうが多くなり、+が余ります。だから陽イオン(+)。動くのは電子だけで、陽子の数は変わりません。

イオン式の読み方(右上の数字)

イオンは 元素記号の右上 に、出入りした電子の数と+−の符号を書いて表します。これが イオン式 です。

銅イオン Cu²⁺ の読み方Cu2+2=電子2個ぶん+=陽イオン

数字は 「電子を何個やりとりしたか(電気の量)」、符号は 「電子を失った(+)か受け取った(−)か」 を表します。電子1個ぶんのときは数字を省きます。

「H⁺」は数字なしなので電子1個ぶんの+、「Cu²⁺」は電子2個ぶんの+という意味です。 テストで出るイオンの名前と式は、電離のページの一覧表にまとめてあります。

✓理解チェック2

「Cl⁻」が表しているのは次のうちどれ?
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答え:塩素原子が電子を1個受け取ってできた、−の電気をもつイオン

右上の「−」は電子(−)を受け取って−が余ったしるし、数字がないので電子1個ぶん。だから塩素原子が電子を1個受け取った陰イオンです。

✓理解チェック3

原子の種類(元素)を決めているのは、何の数?
答えと解説を見る

答え:陽子の数

陽子の数=原子番号が元素の種類を決めます。中性子の数がちがっても、陽子が同じなら同じ元素(=同位体)です。

水にとかすと、イオンはどうなる?

ここまでは、原子1個の中で起こることを見てきました。 その原子が集まってできた物質を水にとかすと、+と−のイオンが ばらばらに分かれて水の中を動きはじめます。 これを 電離 といい、電離する物質を 電解質、しない物質を 非電解質 といいます。

覚えるイオンの一覧表、電離式の係数の決め方、電気分解でイオンがどちらの電極へ動くかは、電離とは(電離式の書き方と陽イオン・陰イオン一覧)にまとめています。

よくある間違い

✕よくある間違い

まちがい

電子(−)を失ったから、−が減って陰イオンになる、と考える

正しい

電子(−)を失うと +の陽子のほうが多くなる → 陽イオン(+)

「失った電子の符号」ではなく、「最後にどちらが余ったか」で考えます。電子(−)が出れば+が余って陽イオン、電子(−)が入れば−が余って陰イオン。

もう1つ多いのが、「イオンになると 別の物質に変わってしまう」という思いこみです。 変わるのは 電子の数だけ。 陽子(原子核)は動かないので、ナトリウムはイオンになってもナトリウムのままです。

やってみよう(練習問題)

やってみよう①(基本:陽イオンか陰イオンか)

電子の出入りから、陽イオン・陰イオンのどちらになるか答えましょう。

  1. ナトリウム原子が電子を1個失った。
  2. 酸素原子が電子を2個受け取った。
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  1. 電子(−)を失う → +が余る → 陽イオン(ナトリウムイオン Na⁺)
  2. 電子(−)を受け取る → −が余る → 陰イオン(酸化物イオン O²⁻)

やってみよう②(標準:イオン式を読む)

次のイオン式の意味を答えましょう。

  1. Mg²⁺ は、マグネシウム原子がどうなってできたイオンか。
  2. OH⁻ は陽イオン・陰イオンのどちら?
答えと解説を見る
  1. 右上が「2+」なので、電子を2個失って+の電気をもったイオン(マグネシウムイオン)。
  2. 右上が「−」なので 陰イオン(水酸化物イオン)。

やってみよう③(応用:原子の構造と同位体)

考えて答えましょう。

  1. 炭素12(陽子6個・中性子6個)と炭素14(陽子6個・中性子8個)は、同じ元素といえますか。理由もあわせて書きなさい。
  2. 陽子11個・電子11個のナトリウム原子が、電子を1個失って Na⁺ になりました。このとき陽子の数はどうなりますか。理由もあわせて答えなさい。
答えと解説を見る
  1. 同じ元素といえる。元素の種類は陽子の数で決まり、どちらも陽子が6個だから。(このような関係を 同位体 といいます)
  2. 11個のまま変わらない。イオンになるときに出入りするのは電子だけで、原子核の中の陽子は動かないから。 (電子は10個に減り、+が1つ余るので Na⁺ になります)

家おうちの方へ

イオンのつまずきの多くは「電子(−)を失ったのにプラスになる」という符号の向きです。 「動くのは電子だけ/減ったほうの反対が残って勝つ」と言いかえると、すっと入ります。 原子のつくり(陽子・中性子・電子)そのものがあいまいなときは、原子と分子(中2理科)まで一度戻ると効果的です。 イオン式の右上の数字は「やりとりした電子の数」、符号は「失った(+)か受け取った(−)か」と整理して伝えてください。 なお、テストで直接問われることが多いのは、このあとの 電離・電解質・電離式 です。原子のつくりが固まったら、電離とは(電離式の書き方と陽イオン・陰イオン一覧)へ進ませてあげてください。

原子の中身と、電子が1個出入りするだけで+・−が決まること。 ここがつかめれば、イオンはもう暗記ではありません。 次は電離とは(電離式の書き方と陽イオン・陰イオン一覧)で、そのイオンが水の中でどう分かれるのかを見ていきましょう。

📌 1分まとめ(声に出して読もう)

  • 原子は中心の原子核(陽子+・中性子)と、まわりの電子(−)でできている。ふつうは+と−が同数で電気的に中性。
  • 原子の種類(元素)を決めるのは陽子の数=原子番号。中性子の数だけがちがう仲間を同位体という。
  • 原子が電子(−)を失うと+が余って 陽イオン(+)、電子を受け取ると−が余って 陰イオン(−)になる。
  • 出入りするのは電子だけ。陽子の数は変わらないので、イオンになっても原子の種類は変わらない。
  • イオン式は記号の右上に電気の量を書く(例:Na⁺、Cl⁻、Cu²⁺)。数字は出入りした電子の数。

よくある質問

イオンとは何ですか?

イオンとは、原子が電子(−)を失ったり受け取ったりして、電気を帯びた粒のことです。ふつうの原子は+の陽子の数と−の電子の数が同じで電気的に中性ですが、電子を失うと+が余って陽イオン(+)、電子を受け取ると−が余って陰イオン(−)になります。たとえばナトリウム原子が電子を1個失うとナトリウムイオン Na+、塩素原子が電子を1個受け取ると塩化物イオン Cl−になります。

原子はどんなつくりになっていますか?

原子は中心にある原子核と、そのまわりの電子でできています。原子核は+の電気をもつ陽子と、電気をもたない中性子が集まったもので、電子は−の電気をもちます。陽子の数と電子の数は同じなので、ふつうの原子は全体として電気を帯びていません(電気的に中性)。原子の種類(元素)を決めているのは陽子の数で、これを原子番号といいます。

なぜ電子(マイナス)を失うと、プラスのイオンになるの?

失ったのは−の電気をもつ電子なので、残った+の陽子のほうが数が多くなり、全体として+が余るからです。原子の中心の陽子(+)は出入りせず、動くのは軽い電子(−)だけです。だから「−が減ると+の勝ち=陽イオン」「−が増えると−の勝ち=陰イオン」と、最後にどちらが余ったかで考えると間違えません。

イオン式の右上の数字と記号は何を表していますか?

右上の数字は「やりとりした電子の数(電気の量)」、+−の符号は「電子を失った(+)か受け取った(−)か」を表します。たとえば銅イオン Cu2+は電子を2個失って+になったイオン、塩化物イオン Cl−は電子を1個受け取って−になったイオンです。電子1個ぶんのときは数字を省いて H+のように書きます。

この単元でつまずいたとき、家庭でできること

  1. 原子と分子(中2理科)に戻る
    つまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
  2. 説明役を、外部にまかせる
    教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。
#イオン#原子の構造#電子#イオン式#中3理科