中学理科中学3年生化学

電離とは|電離式の書き方と陽イオン・陰イオン一覧【中3理科】

電離とは、物質が水にとけて陽イオンと陰イオンに分かれることです。中3理科の電解質と非電解質のちがい、覚えるべき陽イオン・陰イオンの一覧表と名前のつけ方、電離式の書き方(CuCl₂→Cu²⁺+2Cl⁻の係数2の決め方)、塩化銅水溶液の電気分解でイオンが動くしくみを、図と練習問題でやさしく解説します。

先に答え

電離とは、物質が水にとけて陽イオンと陰イオンに分かれることです。水にとかすと電流が流れる物質が電解質流れないのが非電解質(砂糖・エタノール)です。電離式は NaClNa++Cl\mathrm{NaCl} \rightarrow \mathrm{Na^+} + \mathrm{Cl^-} のように書き、陰イオンの名前は「〜物イオン」か「〜酸イオン」になります(塩素は塩化物イオン)。両辺で原子の数と電気の総量が合うように係数をつけます。

このページのゴール

電解質と非電解質を見分けられるようになり、おもな陽イオン・陰イオンの名前と式を覚えて、係数まで正しい電離式を書けるようになる。

「イオンの名前が覚えられない」「電離式の 2 がどこから出てくるのかわからない」——中3化学でつまずくのは、たいていこの2か所です。 このページでは、覚えるべきイオンを一覧表にまとめ、係数の決め方を図で見えるようにします。 原子1個の中で何が起きて+・−になるのかは、イオンとは(原子の構造とイオンのでき方)で先に確認しておくとスムーズです。

電離とは——水にとけて+と−に分かれること

電離とは、物質が水にとけて、陽イオン(+)と陰イオン(−)に分かれることです。

やり方

  1. 固体のときは、+と−がぴったりくっついて かたまり になっている。
  2. 水に入れると、そのくっつきがほどけて ばらばらの粒 になる。
  3. ばらけた粒は電気を帯びていて、陽イオン(+)と陰イオン(−) として水の中を自由に動きまわる。
水にとかす前(固体)NaClNaClNaClNaClNa+と−がくっついた結晶動けない水にとける=電離水にとけたあと(水溶液)Na⁺Cl⁻Cl⁻Na⁺Na⁺Cl⁻ばらばらに分かれて水の中を動きまわる電離=水の中で陽イオンと陰イオンに分かれること

大事なのは、電離しても原子の種類は変わらないことです。 ナトリウムはナトリウムのまま、塩素は塩素のまま。 変わるのは「電気を帯びているかどうか」と「くっついているか、ばらけているか」だけです。

理解チェック1

電解質と非電解質——電離するか、しないか

水にとかしたとき、その水溶液に 電流が流れる物質を電解質流れない物質を非電解質 といいます。

同じ装置で食塩水と砂糖水の電気の通りやすさを比べる実験。食塩水では電球が点灯し、拡大図でナトリウムイオンと塩化物イオンに分かれたイオンが動く様子を示す。砂糖水では電球が消灯し、砂糖分子のままで電気を運ぶイオンがないことを示す

ちがいは、水にとけたときに電離するかどうかの1点だけです。

電解質非電解質
水にとけると陽イオンと陰イオンに分かれる(電離する)分子のまま。イオンにならない
電流は流れる流れない
塩化ナトリウム・塩化水素・水酸化ナトリウム・塩化銅・硫酸砂糖・エタノール

覚え方は「砂糖とエタノールだけ仲間はずれ」。 中学で出てくる非電解質は、ほぼこの2つです。

?なぜ、電解質の水溶液には電流が流れるの?

電解質は水にとけると、電離して 電気を帯びたイオン になります。 そのイオンが水溶液の中を 移動する ことで、電気が運ばれるからです。

砂糖は水にとけても砂糖の分子のままなので、電気を帯びた粒がありません。 運び手がいないので、電流は流れないというわけです。

模範解答:「電解質は水にとけて陽イオンと陰イオンに電離し、そのイオンが水溶液中を移動して電気を運ぶから。」

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セナ

砂糖も水にとけたら、目に見えなくなるくらい細かくなるよね? それなのに、どうして電気は通らないの?

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ホクト先生

いい質問! 「小さくなること」と「電気を帯びること」は別なんだ。 砂糖は 砂糖の分子 という粒のまま、すきまに入りこんでいるだけ。 粒が電気をもっていないから、動いても電気は運べないんだよ。

陽イオン・陰イオンの一覧(ここを覚える)

テストで出るイオンは、そんなに多くありません。 陽イオン8個・陰イオン5個 を、名前・式・価数(+−がいくつぶんか)のセットで覚えてしまいましょう。

陽イオン(+の電気をもつ)

名前イオンの式価数
水素イオンH⁺+1
ナトリウムイオンNa⁺+1
カリウムイオンK⁺+1
アンモニウムイオンNH₄⁺+1
銅イオンCu²⁺+2
亜鉛イオンZn²⁺+2
マグネシウムイオンMg²⁺+2
バリウムイオンBa²⁺+2

陰イオン(−の電気をもつ)

名前イオンの式価数
塩化物イオンCl⁻−1
水酸化物イオンOH⁻−1
硝酸イオンNO₃⁻−1
硫酸イオンSO₄²⁻−2
炭酸イオンCO₃²⁻−2

名前のつけ方には規則がある

丸暗記の前に、名前のルール を知っておくと一気に楽になります。

陽イオン=名前はそのままNaナトリウム電子を1個失うNa⁺ナトリウムイオン元素名+「イオン」でOK銅→銅イオン亜鉛→亜鉛イオン陰イオン=名前が変わるCl塩素電子を1個受け取るCl⁻塩化物イオン「〜物イオン」「〜酸イオン」水酸化物イオン・硫酸イオン「塩素イオン」は×名前が変わるのは陰イオンだけ——ここがテストの狙われどころ
  • 陽イオン … 元素の名前をそのまま使って「〜イオン」。銅→銅イオン、亜鉛→亜鉛イオン。
  • 陰イオン … 「〜イオン」または「〜イオン」。名前が変わります。

とくに 塩素 → 塩化物イオン は要注意です。 「塩素イオン」と書くとバツになります。

NH₄⁺・OH⁻・NO₃⁻・SO₄²⁻・CO₃²⁻ は、いくつかの原子がまとまって1個のイオンとしてふるまう 仲間です。 分解して考えず、この形のまま覚えてしまいましょう。

理解チェック2

電離式の書き方——係数は「+と−の数」で決まる

電離のようすを式で表したものが 電離式 です。 書き方は3ステップです。

やり方

  1. 左に物質の化学式、その右に矢印(→)を書く。
  2. 矢印の右に、分かれてできる陽イオンと陰イオンを書く(一覧表で名前と式を確認)。
  3. +の合計と−の合計が等しくなるように、イオンの前に係数(数字)をつける。

まずは係数のいらない、いちばん簡単な3つから。

NaClNa++Cl\mathrm{NaCl} \rightarrow \mathrm{Na^+} + \mathrm{Cl^-}

HClH++Cl\mathrm{HCl} \rightarrow \mathrm{H^+} + \mathrm{Cl^-}

NaOHNa++OH\mathrm{NaOH} \rightarrow \mathrm{Na^+} + \mathrm{OH^-}

どれも +1 と −1 なので、そのままつり合っています。

つまずきポイント——係数の 2 が必要になる式

問題は、価数が +2 や −2 のイオンが出てくるときです。

CuCl2Cu2++2Cl\mathrm{CuCl_2} \rightarrow \mathrm{Cu^{2+}} + 2\mathrm{Cl^-}

H2SO42H++SO42\mathrm{H_2SO_4} \rightarrow 2\mathrm{H^+} + \mathrm{SO_4^{2-}}

銅イオンは +2 の電気をもっています。 これを打ち消すには、−1 の塩化物イオンが 2個 必要です。 だから Cl⁻ の前に 2 をつけます。

とける前CuCl₂電気は ± 0とけたあと(電離)Cu²⁺2 Cl⁻+2−1 が2個 = −2合計± 0(+2) + (−1) + (−1) = 0+と−が打ち消し合ってゼロ——これが係数を決めるルール

つまり、電離式の係数は「+と−を足すとゼロになる数」 を選べば決まります。 この「+と−の打ち消し合い」は、算数・数学の 正負の数のたし算・ひき算 とまったく同じ計算です。 (+2) + (−1) + (−1) = 0 が言えれば、係数の 2 は自然に出てきます。

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セナ

CuCl₂ の「₂」と、2Cl⁻ の前の「2」って、同じ数字が2回出てくるけど……偶然?

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ホクト先生

偶然じゃないよ。 もとの CuCl₂ に 塩素が2個 ふくまれているから、分かれたあとも 塩化物イオンが2個 出てくるんだ。 だから、迷ったら「もとの化学式に何個入っていた?」を先に数えるといい。 そのあと、+と−の合計がゼロになるかで確かめれば完ぺきだよ。

理解チェック3

イオンはどちらの電極へ動く?(塩化銅水溶液の電気分解)

電離したイオンが本当に動いていることは、電気分解 で目で見て確かめられます。

塩化銅水溶液に電流を流すと、陰極(−)に赤色の銅 がつき、陽極(+)から塩素 が発生します。 塩素は、プールの消毒のような刺激臭があり、色のついたものを 漂白する はたらきをもちます。

直流電源陰極 −陽極 +銅(赤色)塩素(気体)Cu²⁺Cl⁻Cl⁻陽イオンは陰極(−)へ、陰イオンは陽極(+)へ

?なぜ、陽イオンは陰極へ、陰イオンは陽極へ動くの?

電気には「同じ種類どうしは しりぞけ合い、ちがう種類どうしは 引き合う」という性質があります。

陽イオンは+の電気をもっているので、−の電極(陰極)に引かれます。 陰イオンは−の電気をもっているので、+の電極(陽極)に引かれます。

模範解答:「陽イオンは+、陰イオンは−の電気を帯びており、ちがう種類の電気どうしは引き合うため、陽イオンは陰極(−)へ、陰イオンは陽極(+)へ移動するから。」

うすい塩酸を電気分解すると

うすい塩酸(塩化水素の水溶液)も電離しているので、電気分解できます。

HClH++Cl\mathrm{HCl} \rightarrow \mathrm{H^+} + \mathrm{Cl^-}

水素イオン H⁺ が陰極へ、塩化物イオン Cl⁻ が陽極へ動くので、陰極から水素、陽極から塩素 が発生します。

ここで記述問題によく出るのが、集まる量のちがい です。 発生した数は同じはずなのに、陽極に集まる塩素のほうが少なく なります。 理由は、塩素が水にとけやすい から。 発生したそばから水溶液にとけてしまうので、試験管にたまる量が減るのです。

電極でどんな変化が起きているのか、電池との関係までくわしく知りたいときは 電池と電気分解 へ進みましょう。

よくある間違い

よくある間違い

まちがい

CuCl₂ → Cu²⁺ + Cl⁻ と書く(係数の 2 を忘れる)。 塩化物イオンを「塩素イオン」と書く。

正しい

CuCl₂ → Cu²⁺ + 2Cl⁻。 陰イオンは「塩化物イオン」。

もう1つ多いのが、電離と電気分解の取りちがえです。 電離=水にとかしただけで、自然に+と−に分かれること電気分解=そこへ電流を流して、電極に物質を取り出すこと。 電離は電気を流さなくても起こっている、という順番を押さえておきましょう。

やってみよう(練習問題)

やってみよう①(基本:電解質を選ぶ)

次のうち、水にとかしても電流が流れない物質をすべて選びましょう。

ア 塩化ナトリウム イ 砂糖 ウ 水酸化ナトリウム エ エタノール オ 塩化銅

答えと解説を見る

イ と エ(砂糖・エタノール)。

この2つは水にとけても分子のままで、電離しないため電流が流れません(非電解質)。 ア・ウ・オはすべて電離してイオンになるので、電流が流れます(電解質)。

やってみよう②(標準:電離式を書く)

次の物質の電離式を書きましょう。

  1. 塩化水素 HCl
  2. 水酸化ナトリウム NaOH
  3. 塩化銅 CuCl₂
  4. 硫酸 H₂SO₄
答えと解説を見る
  1. HClH++Cl\mathrm{HCl} \rightarrow \mathrm{H^+} + \mathrm{Cl^-}
  2. NaOHNa++OH\mathrm{NaOH} \rightarrow \mathrm{Na^+} + \mathrm{OH^-}
  3. CuCl2Cu2++2Cl\mathrm{CuCl_2} \rightarrow \mathrm{Cu^{2+}} + 2\mathrm{Cl^-}
  4. H2SO42H++SO42\mathrm{H_2SO_4} \rightarrow 2\mathrm{H^+} + \mathrm{SO_4^{2-}}

3と4は係数がポイントです。 3は +2 を打ち消すために −1 のイオンが2個、4は −2 を打ち消すために +1 のイオンが2個。 書き終えたら「+と−を足してゼロか」を必ず確かめましょう。

やってみよう③(応用:記述で答える)

うすい塩酸に炭素棒を2本入れ、電流を流しました。

  1. 陰極・陽極から発生する気体をそれぞれ答えましょう。
  2. 陽極から発生した気体の集まる量が、陰極より少なくなりました。その理由を書きましょう。
  3. 電流を流す前から、うすい塩酸の中でどんなことが起きていますか。「電離」ということばを使って書きましょう。
答えと解説を見る
  1. 陰極 … 水素/陽極 … 塩素
  2. 塩素は水にとけやすいため、発生した分の一部が水溶液にとけてしまうから。
  3. 塩化水素が電離して、水素イオンと塩化物イオンに分かれている。

3がねらいどころです。 電流を流したから分かれるのではなく、とかした時点ですでに電離している。 だから電流が流れる、という順番で書けたら満点です。

おうちの方へ

この単元でお子さんが止まるのは、ほぼ2か所です。 1つ目は イオンの名前。とくに「塩素イオン」と書いてしまうミスが多いので、「陰イオンだけ名前が変わる(〜物イオン・〜酸イオン)」というルールで覚え直させてください。 2つ目は 電離式の係数。ここは化学というより計算で、「+と−を足してゼロにする」だけです。正負の数のたし算・ひき算があやしいと、化学のせいではないのに止まります。 「電離=とかしただけで分かれる」「電気分解=そこへ電流を流す」の区別も、声に出して言わせると定着が早いです。 イオンができるしくみそのものがあいまいなら、イオンとは(原子の構造とイオンのでき方)に一度戻るのが近道です。

イオンの一覧と、+と−を足してゼロにする係数のルール。 この2つがそろえば、電離式はもう手が止まりません。 次は電池と電気分解で、電極でどんな物質ができるのかを確かめにいきましょう。

📌 1分まとめ(声に出して読もう)

  • 電離=物質が水にとけて、陽イオン(+)と陰イオン(−)に分かれること。
  • 水にとかすと電流が流れる物質が電解質、流れないのが非電解質砂糖・エタノール)。
  • 陰イオンの名前は「〜イオン」か「〜イオン」。塩素→塩化物イオンのように名前が変わる。
  • 電離式は+の合計と−の合計が等しくなるように係数をつける。例:CuCl2Cu2++2Cl\mathrm{CuCl_2} \rightarrow \mathrm{Cu^{2+}} + 2\mathrm{Cl^-}
  • 電流を流すと陽イオンは陰極(−)へ、陰イオンは陽極(+)へ動く。ちがう電気どうしは引き合うから。

よくある質問

電離とは何ですか?

電離とは、物質が水にとけて陽イオン(+)と陰イオン(−)に分かれることです。たとえば塩化ナトリウムを水にとかすと、ナトリウムイオンと塩化物イオンに分かれます。電離するのは電解質だけで、砂糖やエタノールのような非電解質は水にとけても分子のままなので電離しません。電離してできたイオンが動いて電気を運ぶため、電解質の水溶液には電流が流れます。

電解質と非電解質のちがいは何ですか?

水にとかしたとき、その水溶液に電流が流れる物質が電解質、流れない物質が非電解質です。電解質は水にとけると陽イオンと陰イオンに電離し、このイオンが電気を運ぶので電流が流れます。塩化ナトリウム・塩化水素・水酸化ナトリウム・塩化銅・硫酸は電解質です。砂糖とエタノールは水にとけても分子のままでイオンにならないため、非電解質になります。

塩化銅の電離式で、なぜ Cl の前に 2 がつくのですか?

+の電気の量と−の電気の量を、左右で等しくするためです。銅イオン Cu2+は+2の電気をもっているので、これを打ち消すには−1の塩化物イオン Cl−が2個必要になります。だから電離式は CuCl2 → Cu2+ + 2Cl− となります。もとの化学式 CuCl2 に Cl が2個ふくまれていることとも一致します。硫酸なら H2SO4 → 2H+ + SO42− です。

陽イオンと陰イオンの名前のつけ方にきまりはありますか?

陽イオンは元素の名前をそのまま使って「〜イオン」と呼びます(ナトリウム→ナトリウムイオン、銅→銅イオン)。陰イオンは「〜物イオン」または「〜酸イオン」となり、名前が変わります。とくに塩素→塩化物イオン、水酸化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオンはテストで狙われます。「塩素イオン」と書くとまちがいなので、「塩化物イオン」と正しく覚えましょう。

この単元でつまずいたとき、家庭でできること

  1. イオンとは(原子の構造とイオンのでき方)に戻る
    つまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
  2. 説明役を、外部にまかせる
    教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。
#電離#電離式#電解質#陽イオンと陰イオン#中3理科