中学理科中学3年生物理

仕事と仕事率の求め方(仕事=力×距離)|公式をやさしく【中3理科】

中3理科でつまずきやすい「仕事と仕事率」を図解。仕事(J)=力(N)×力の向きに動いた距離(m)、持ち上げると水平移動のちがい、仕事率(W)=仕事÷時間、道具を使っても仕事は変わらない「仕事の原理」まで、面積図と動滑車の図でやさしくわかります。

先に答え

仕事(J)=力(N)×力の向きに動かした距離(m)仕事率(W)=仕事(J)÷かかった時間(秒)です。2020 N で 33 m 動かせば仕事は 6060 J、それを 55 秒で行えば仕事率は 1212 W になります。

このページのゴール

仕事=力×距離、仕事率=仕事÷時間の意味を理解し、計算ができ、道具を使っても仕事の量は変わらない「仕事の原理」を説明できるようになる。

「重い荷物をじっと支えてるだけなのに、なんで理科では“仕事は 0”なの?」——理科の仕事は、日常の「仕事」とは少しちがいます。でも公式はとてもシンプル。仕事=力×距離の意味を図でつかめば、仕事率や「仕事の原理」まで一気に見えてきます。

計算で確かめる

仕事・仕事率 計算機 で、答え合わせができます。仕事(J)・仕事率(W)・力(N)・距離(m)を、求めたいものを選ぶだけで計算できます。動滑車や斜面で仕事の原理を確かめられるタブつき。

仕事と仕事率の求め方

やり方

  1. 仕事(J)= 力(N)× 力の向きに動かした距離(m)。単位は J(ジュール)
  2. 仕事率(W)= 仕事(J)÷ かかった時間(秒)。単位は W(ワット)
  3. 仕事率は「1秒あたりの仕事の量」=仕事の速さ。算数の単位量あたりと同じ「1あたり」の考え方です。

たとえば、2020 N の力で物体を力の向きに 33 m 動かしたときの仕事は、

20×3=6020 \times 3 = 60

仕事は 60 J。これを 55 秒で行えば、仕事率は 60÷5=1260\div 5=1212 W です。

どうして「力 × 距離」なの?(単位 J)

仕事とは「物体に力を加えて、その力の向きに動かしたときの“効果の大きさ”」のこと。同じ力でも、長く動かすほど効果(仕事)は大きくなります。だから「力」と「距離」のかけ算になります。

実際に押して考えると、式の意味が見える

生徒が青い箱を右向きに押し、床のメジャーに沿って同じ向きへ動かしている実写イメージ
押す力 20 N
力の向きに動いた距離 3 m

仕事 = 20 N × 3 m = 60 J

力と動きが同じ向きだから、この力は物体に仕事をします。

写真のように、箱を 2020 N の力で押し、その力と同じ向きに 33 m 動かすと、仕事は 2020 N × 33 m = 6060 J。同じ力なら、長く動かすほど仕事が大きくなることも実際の動作からわかります。**1 J は「1 N の力で 1 m 動かしたときの仕事」**で、単位 J は「N × m」をまとめた名前です。割る向き・かける向きに迷ったら、**仕事率の単位 W(= J ÷ 秒)**も思い出すと、「1秒あたりの仕事」だとわかります。

コツ

仕事の単位 J(ジュール) = N × m。仕事率の単位 W(ワット) = J ÷ 秒。単位を見れば「何をかける・何で割る」かがわかります。なお 1 W は「1秒あたり 1 J の仕事をする能力」です。

力の向きと、動いた向き

理科の仕事になるのは、力の向きに物体が動いたときだけです。たとえば荷物を持ち上げるときは、上向きの力で物体を上に動かすので仕事をしています。一方、荷物を持って水平に運ぶだけのときは、支える力は上向きなのに動いた向きは横(力と垂直)。この上向きの力は仕事をしていません(0 J)。

「力」と「動く向き」を実際の動作で比べよう

左は生徒が箱を上へ持ち上げ、右は同じ箱を同じ高さのまま右へ運んでいる実写比較 持ち上げる 水平に運ぶ
力  ↑ 動く  ↑

同じ向き 仕事をする

支える力  ↑ 動く  →

直角 この力の仕事は 0 J

疲れるかどうかではなく、物体が「力の向き」に動いたかで判断します。

距離は「力の向きに動かした距離」だけを使います。持ち上げる仕事は、力(重さと同じ大きさ)×持ち上げた高さ\text{力(重さと同じ大きさ)}\times\text{持ち上げた高さ}。水平移動で支えるだけの上向きの力は、動いた向き(横)と垂直なので仕事になりません。

セナちゃんのアイコン
セナ

重い荷物をずっと支えてたら、すごく疲れるよ? なのに仕事が 0 なんておかしくない?

ホクト先生のアイコン
ホクト先生

気持ちはすごくわかる! でも理科の「仕事」は“疲れた感じ”じゃなくて、力の向きに物体がどれだけ動いたかで決めるルールなんだ。動いた距離が 0 なら、どんなに力を出しても仕事は ×0=0\text{力}\times 0=0 J。日常の「仕事」とは意味がちがう、と割り切るのがコツだよ。

理解チェック1

理解チェック2

道具を使っても得しない?(仕事の原理)

動滑車やてこ、斜面などの道具を使うと、小さな力で持ち上げられます。でも、そのぶん引く距離は長くなります。結局、仕事の量(力×距離)は道具を使わないときと変わりません。これを 仕事の原理 といいます。

実物で比べると「力は半分・距離は2倍」が見える

左は手で重りを直接持ち上げ、右は固定端から下ろした1本のロープを動滑車の下に回して2本のロープで同じ重りを支える実写比較 直接持ち上げる 動滑車を使う 固定端 手で引く側

右は2本のロープで支える → 1本あたりの力は半分の 50 N

直接

100 N 上げる距離2 m

仕事 200 J

動滑車

引く力(半分)50 N 引く距離(2倍)4 m

仕事 200 J

100 N × 2 m50 N × 4 m= 200 J

楽になるのは「力」。理想的な場合、仕事の量はどちらも同じです。

たとえば 100100 N の物体を 22 m 持ち上げる仕事は 100×2=200100\times 2=200 J。動滑車を使うと力は半分の 5050 N で済みますが、ひもを引く距離は 22 倍の 44 m。仕事は 50×4=20050\times 4=200 J で同じです。道具は「力を小さくする(=楽にする)」けれど、「仕事の総量を減らす」ことはできません。

iメモ

ここでは道具自体の摩擦や重さは考えない理想的な場合です(中学の範囲)。実際には道具の摩擦などで、加える仕事のほうが少しだけ大きくなります。

理解チェック3

よくある間違い

よくある間違い

まちがい

物体を水平に運ぶとき、支える力(上向き)× 運んだ距離(横)で仕事を計算する(50×4=20050\times 4=200 J など)

正しい

使うのは「力の向きに動かした距離」だけ。支える力(上向き)と動いた向き(横)が垂直なので、この力の仕事は 0 J

仕事は「力 × 力の向きに動いた距離」。向きがそろっていない分は使いません。また、仕事(J)と仕事率(W)の取りちがえにも注意。**仕事=力×距離(J)/仕事率=仕事÷時間(W)**と、単位で区別しましょう。

やってみよう(練習問題)

やってみよう①(基本:仕事を求める)

仕事 = 力 × 力の向きに動かした距離 で求めましょう。

  1. 2525 N の力で、力の向きに 44 m 動かした。仕事は?
  2. 1212 N の物体を、まっすぐ上に 1.51.5 m 持ち上げた。仕事は?
答えと解説を見る
  1. 25×4=10025\times 4=100100 J
  2. 12×1.5=1812\times 1.5=1818 J(持ち上げる仕事は「重さ × 高さ」)

やってみよう②(標準:仕事率/水平移動)

公式と「力の向き」に注意して求めましょう。

  1. 9090 J の仕事を 66 秒で行った。仕事率は?
  2. 重さ 4040 N の荷物を、持ち上げず水平に 55 m 運んだ。支える上向きの力がした仕事は?
答えと解説を見る
  1. 仕事率=仕事÷時間 = 90÷6=1590\div 6=1515 W
  2. 0 J。支える力(上向き)と動いた向き(横)が垂直なので、この力は仕事をしていません。

やってみよう③(応用:仕事の原理と仕事率)

考えて答えましょう(道具の摩擦・重さは考えない)。

  1. 200200 N の物体を動滑車で 33 m 持ち上げる。①引く力 ②ひもを引く距離 ③仕事を求めなさい。
  2. 1の作業を 1010 秒で行ったときの仕事率は?
答えと解説を見る
  1. ①力は半分で 100 N ②距離は2倍で 6 m ③仕事 = 100×6=600100\times 6=600 J。直接だと 200×3=600200\times 3=600 J で、仕事の原理より同じ
  2. 仕事率 = 600÷10=60600\div 10=6060 W。道具で仕事の量は変わらないので、仕事率は「仕事 ÷ 時間」で計算します。

おうちの方へ

仕事のつまずきは、多くが「日常の“仕事”との意味のちがい」にあります。重い物を支え続けても、動いていなければ理科の仕事は 0 J——「力の向きに動いた距離だけを使う」というルールを、まず図で押さえると混乱が減ります。仕事率(W)は「1秒あたりの仕事」で、算数の単位量あたりや「速さ」と同じ“1あたり”の考え方だと言いかえてあげると、すっと入ります。仕事の原理は「力が小さくなったぶん、距離が長くなる(だから得しない)」と、動滑車や坂道の具体例で確認するのがコツ。単位 J(=N×m)と W(=J÷秒)を、計算前に必ず声に出させると、かける・割るの向きをまちがえにくくなります。

仕事がわかると、「楽をする道具がなぜ得をしないのか」「速い機械とは何か」が、ぜんぶ同じ1つの考え方で説明できます。理科の計算も、算数の「1あたり」と「面積(かけ算)」の力がそのまま武器になります。

📌 1分まとめ(声に出して読もう)

  • 仕事(J)= 力(N)× 力の向きに動かした距離(m)。単位は J(ジュール)
  • 力の向き動いた向きが同じときだけ仕事になる(持ち上げる=上向きに動かす)。
  • 力の向きと垂直に動いても(水平に支えて運ぶだけなど)、その力は仕事をしていない(0 J)
  • 仕事率(W)= 仕事(J)÷ かかった時間(秒)。1秒あたりの仕事の量で、仕事の「速さ」を表す。
  • 道具(動滑車など)を使うと力は小さくできるが距離はその分のびて、仕事の量は変わらない(仕事の原理)

よくある質問

理科の仕事とは何ですか?

仕事とは、物体に力を加えて、その力の向きに動かしたときの効果の大きさのことです。仕事(J)=力(N)×力の向きに動かした距離(m)で求め、単位はJ(ジュール)です。たとえば20Nの力で力の向きに3m動かすと、仕事は20×3=60Jになります。

仕事と仕事率の公式は何ですか?

仕事の公式は「仕事(J)=力(N)×力の向きに動かした距離(m)」、仕事率の公式は「仕事率(W)=仕事(J)÷かかった時間(秒)」です。仕事率は1秒あたりの仕事の量で、仕事の速さを表します。たとえば60Jの仕事を5秒で行えば、仕事率は60÷5=12Wです。

なぜ重い荷物をじっと支えているだけだと、仕事は0なのですか?

理科の仕事は「力の向きに物体がどれだけ動いたか」で決めるルールだからです。じっと支えているだけでは動いた距離が0なので、力×0=0Jになります。同じ理由で、荷物を水平に運ぶだけのときも、支える上向きの力と動いた向き(横)が垂直なので、その力は仕事をしていません。

動滑車などの道具を使うと、仕事は少なくてすみますか?

いいえ、道具を使っても仕事の量は変わりません。これを仕事の原理といいます。動滑車を使うと引く力は半分になりますが、ひもを引く距離が2倍になるので、力×距離で計算する仕事は同じです。たとえば100Nの物体を2m持ち上げる仕事は200Jで、動滑車でも50N×4m=200Jになります。

この単元でつまずいたとき、家庭でできること

  1. 単位量あたりの大きさ(小5算数)に戻る
    つまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
  2. 説明役を、外部にまかせる
    教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。
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