仕事(J)とは——力だけでも距離だけでもない
理科でいう「仕事」は、がんばった気持ちの量ではありません。力を加えて、その向きに物を動かしたときだけ成立します。式は1つだけです。
→仕事の問題(3ステップ)
① 力(N)を確かめる(持ち上げるときは、物体にはたらく重力と同じ大きさ)
② 力の向きに動いた距離(m)だけを使う(横に運んだ分は入れない)
③ かけ算して J をつける。時間があれば ÷時間 で W も出す
力を加えているのに「仕事0」になる場合
ここが仕事のいちばんの落とし穴です。力の向きと動いた向きがそろっていないと、その力は仕事をしていません。
| 場面 | 仕事 | 理由 |
|---|---|---|
| 荷物を持ち上げる | あり | 力は上向き、動きも上向きでそろっている |
| 荷物を持って水平に歩く | 0 J | 力は上向き、動きは横向きで垂直だから |
| 荷物を持ったまま立っている | 0 J | 動いた距離が0mだから |
| 壁を全力で押す(動かない) | 0 J | 力はあるが距離が0mだから |
「疲れたかどうか」と「仕事をしたかどうか」は別物、と割り切るのが理解の近道です。
仕事の原理——道具は力を減らすが、仕事は減らさない
動滑車を使うと、確かに引く力は小さくなります。しかしそのぶんひもを長く引かなければならないので、力×距離=仕事は変わりません。これを仕事の原理といいます。
| 方法 | 必要な力 | 動かす距離 | 仕事 |
|---|---|---|---|
| そのまま持ち上げる | 100 N | 2 m | 200 J |
| 動滑車1個 | 50 N(1/2) | 4 m(2倍) | 200 J |
| 動滑車2個 | 25 N(1/4) | 8 m(4倍) | 200 J |
| 斜面(長さ5m) | 40 N | 5 m | 200 J |
上の「仕事の原理」タブで道具を切り替えると、力と距離が変わっても仕事の数字だけが動かないことを目で確かめられます。
✕ありがちな間違い
時間の単位を「分」のまま計算してしまうのが仕事率で最も多いミスです。仕事率のWは1秒あたりなので、2分なら120秒に直します。
次に多いのが質量(kg)と重力(N)の混同。「10kgの物体」と書かれていたら、はたらく重力はおよそ100N(1kgあたり約10N)に直してから使います。
また、動滑車で力だけ1/2にして距離を2倍にし忘れると、仕事が半分になってしまいます。仕事の原理から、答えは必ず元と同じになると覚えておくと検算になります。
身のまわりの仕事率
体重60kg(約600N)の人が、高さ3mの階段を6秒で駆け上がったとします。仕事は 600 × 3 = 1800J、仕事率は 1800 ÷ 6 = 300W。同じ階段を18秒かけて上れば100Wで、仕事の量は同じでも仕事率は3倍ちがうことがわかります。家電の「600W」の表示も同じ単位で、1秒あたり600Jのエネルギーを使うという意味です。
例題(計算機で検算してみよう)
- 15Nの力で4m動かしたときの仕事は?(答え:60J)
- 80Jの仕事を4秒で行ったときの仕事率は?(答え:20W)
- 200Jの仕事を50Nの力でしたとき、動かした距離は?(答え:4m)
- 重力200Nの物体を高さ3m持ち上げるとき、動滑車1個なら力と距離は?(答え:100N・6m、仕事は600Jで変わらない)
- 重力150Nの物体を、高さ2m・長さ6mの斜面で引き上げるときの力は?(答え:50N)