標本調査(全数調査との違い・無作為抽出・母集団の推定)
中3「標本調査」を図でやさしく解説。全数調査と標本調査の違い、母集団・標本、無作為抽出、標本の割合から母集団の数量を推定する方法(比例式・捕獲再捕獲法)まで、図と例題でわかります。
◎このページのゴール
全数調査と標本調査を使い分け、無作為抽出を理解し、標本から母集団の数量を推定できるようになる。
「全国の中学生の睡眠時間」「工場で作る製品の不良率」「池にいる魚の数」——全部を調べるのは大変、あるいは不可能です。そこで、一部(標本)を調べて全体を推測するのが 標本調査。テレビの視聴率や選挙の出口調査も、この考え方です。統計の総仕上げを攻略しましょう。
どこでつまずいた?
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全数調査と標本調査
調べ方には2種類あります。目的や対象によって使い分けます。
→やり方
- 全数調査 … 対象をすべて調べる。例:国勢調査、学校の健康診断、入学試験。
- 標本調査 … 一部だけを調べて、全体を推測する。例:視聴率、世論調査、製品の品質検査。
全部調べれば正確ですが、時間・費用がかかります。また「電球の寿命検査」「缶詰の中身の検査」のように、調べると商品がこわれてしまう場合は、全数調査はできません。そこで標本調査の出番です。
✓理解チェック①
母集団・標本・無作為抽出
標本調査のことばを整理します。
→やり方
- 母集団 … 調べたい集団の全体。
- 標本 … 母集団から取り出した一部。
- 標本の大きさ … 取り出したデータの個数。
- 無作為抽出 … かたよりなく、でたらめに選ぶこと(くじ引き・乱数表・乱数さい)。
大事なのは 無作為抽出。「運動部だけ」「先に並んだ人だけ」のようにかたよって選ぶと、標本が母集団を正しく代表せず、推測がずれます。全員が同じ確率で選ばれるようにするのがポイントです。
なんで「でたらめ」に選ぶのがいいの? ちゃんと選んだほうがよくない?
「ちゃんと選ぶ」と、知らないうちにかたよりが入るんだ。たとえば校門で朝に聞くと、早く来る人ばかりになる。無作為抽出なら、どんな人も同じ確率で選ばれるから、標本が母集団の縮図になる。だから一部なのに、全体をうまく推測できるんだよ。
母集団の推定(比例式)
標本で調べた割合は、母集団でもほぼ同じとみなして、全体を推定します。比例式(割合)で計算するのが基本です。
例:ある工場の製品10000個から、無作為に500個を取り出して調べたら、不良品が10個あった。不良品は全体でおよそ何個か。
?どうして?
標本での不良品の割合 (2%)。
母集団でも同じ割合とみなすと、不良品はおよそ
(比例式 を解いても 。)
「推定」なので「およそ200個」と表します。標本が大きいほど、推定の精度は上がります。
✓理解チェック②
応用:魚の数の推定(捕獲再捕獲)
池の魚の数のような「数えられない母集団」も、標本調査で推定できます。
→やり方
手順(捕獲再捕獲法)
- 魚を 60匹 つかまえ、印をつけて池にもどす。
- 日をおいて、よく混ざってから 50匹 つかまえる。
- その中に印つきが 5匹 いた。
2回目の標本での「印つきの割合」が、池全体での「印つきの割合」と同じとみなします。印つきは全部で60匹。
池の魚は、およそ 600匹 と推定できます。標本の割合を、全体に広げる考え方です。
✓理解チェック③
やってみよう(練習問題)
✏️ やってみよう①(基本:調査の使い分け)
全数調査・標本調査の、どちらが適していますか。
- ある中学校の3年生全員の進路希望。
- ある県の中学生全体の平均睡眠時間。
答えと解説を見る
- 全数調査(全員を正確に把握する必要がある)
- 標本調査(全員は多すぎる。一部から推測する)
✏️ やってみよう②(標準:割合で推定)
箱の中のねじ3000個から、150個を取り出して調べたら、規格外が6個あった。
- 標本での規格外の割合は?
- 箱全体では、規格外はおよそ何個と推定できる?
答えと解説を見る
- (4%)
- → およそ120個
✏️ やってみよう③(応用:捕獲再捕獲)
ある池で、印をつけた魚 80匹を放した。後日 100匹つかまえたら、印つきが 8匹いた。
- つかまえた中の、印つきの割合は?
- 池の魚はおよそ何匹と推定できる?
答えと解説を見る
- 印つき80匹がこの割合にあたるので → およそ1000匹(比例式 でも )
家おうちの方へ
標本調査は、中学数学のデータ領域の総仕上げです。ねらいは①全数調査と標本調査の使い分け(全部調べられない・調べると壊れる場合は標本調査)、②無作為抽出の意味(かたよりを防ぎ、標本を母集団の縮図にする)、③標本の割合を母集団に広げて推定する(比例式)こと。つまずきは「推定=およその値」という感覚と、捕獲再捕獲の比例式の立て方です。「標本での割合=母集団での割合」とみなす、という1点を押さえれば、不良品も池の魚も同じ式で解けます。視聴率や世論調査など身近な例と結びつけると、学ぶ意味が伝わります。これで中学数学のデータ領域、そして全学年の全単元が完成です。
これで標本調査、そして中学数学のデータの活用が完成しました。一部から全体を推測する力は、統計の核心であり、これからの社会で情報を正しく読み解くための、たしかな土台になります。
📌 1分まとめ(声に出して読もう)
- 全数調査=全部を調べる。標本調査=一部を調べて全体を推測する。
- 調べたい集団全体が母集団、取り出した一部が標本。
- かたよりなく選ぶのが無作為抽出(くじ・乱数)。
- 標本での割合が母集団でも同じとみなし、比例式で全体を推定する。
よくある質問
標本調査とは何ですか?
標本調査とは、調べたい集団の一部(標本)だけを調べて、全体(母集団)のようすを推測する調査のことです。テレビの視聴率や世論調査、製品の品質検査などで使われています。これに対して、対象をすべて調べる調査は「全数調査」といいます。
全数調査と標本調査は、どう使い分けますか?
全員を正確に把握する必要があるものは全数調査、対象が多すぎたり調べると商品がこわれたりするものは標本調査にします。たとえば国勢調査・学校の健康診断・入学試験は全数調査です。電球の寿命検査は、調べると商品がこわれてしまうので標本調査しかできません。
無作為抽出とは何ですか?なぜ必要なのですか?
無作為抽出とは、くじ引きや乱数を使って、かたよりなくでたらめに標本を選ぶことです。「運動部だけ」のようにかたよって選ぶと、標本が母集団を正しく代表せず、推測がずれてしまいます。全員が同じ確率で選ばれるようにすると、標本が母集団の縮図になります。
標本調査で、池の魚の数はどうやって推定するのですか?
まず魚を何匹かつかまえて印をつけ、池にもどします。日をおいてもう一度つかまえ、その中の「印つきの割合」が池全体でも同じとみなして、比例式で全体の数を計算します。たとえば印をつけた60匹を放し、あとで50匹つかまえて印つきが5匹なら、割合は 5÷50=0.1 なので、池全体はおよそ 60÷0.1=600匹と推定できます。