中3「標本調査」をやさしく攻略
全部は調べきれない大きな集団も、一部(標本)を調べれば全体を推測できます。カギは「かたよりなく選ぶ(無作為抽出)」こと。標本の割合から全体を比例式で推定する——統計の考え方の総仕上げです。
◎この単元のゴール
全数調査と標本調査を使い分け、無作為抽出の意味を理解して、標本の結果から母集団の数量を推定できるようになる。
学ぶ順番(このとおり進めばOK)
つまずき診断:どこで止まっていますか
標本調査は計算そのものはやさしく、つまずきは言葉の意味と比例式の立て方のどちらかに集まります。
- 母集団と標本がどっちだったか混ざる → 調べたい全体が母集団、実際に取り出した一部が標本。「母」は大きいほう、と覚えると迷いません。
- 全数調査と標本調査の使い分けが言えない → 全部調べられて、しかも調べても壊れないなら全数調査。時間・費用がかかりすぎる、あるいは調べると商品が売れなくなる場合は標本調査です。
- 「無作為に抽出」が何のためか分からない → かたよりをなくすためです。仲のいい友達だけに聞くと結果がゆがむ、という感覚がそのまま答えになります。
- 推定の比例式が立てられない → 「標本での割合=全体での割合」とみなすのがすべて。標本調査で式の作り方を確認しましょう。
- 答えを四捨五入するかどうか迷う → 推定値なので「約〜個」と概数で答えるのが基本です。問題文の指示を必ず確認してください。
この単元は、小5の割合がそのまま土台
推定の計算は、じつは小学校で習った割合と比の考え方そのものです。式が立てられないときは、算数まで戻るのがいちばん速い解決になります。
「標本の割合=全体の割合」が推定の中身。ここがあやしいなら最優先で。
小6 比と比の値 →推定は比例式で解きます。比の性質が使えると計算が速くなります。
中1 データの分布 →相対度数=割合の考え方。標本調査の前提になります。
中2 箱ひげ図 →散らばりの見方。標本のかたよりを考えるときの土台です。
よくある質問
全数調査と標本調査は、どうやって見分ける?
「全部調べられるか」と「調べても大丈夫か」の2点で判断します。学校の身体測定や国勢調査は全員を調べる全数調査です。いっぽう電球の寿命検査は、全部調べたら売る商品がなくなってしまうので標本調査にします。テレビの視聴率や世論調査も、全国民に聞くのは現実的でないため標本調査です。
なぜ「無作為に」選ばないといけないの?
選び方にかたよりがあると、標本が全体の姿を映さなくなるからです。たとえば運動部の生徒だけに「運動は好き?」と聞けば、当然「好き」が多くなります。これでは学校全体の傾向は分かりません。くじ引きや乱数を使って、どの人も同じ確率で選ばれるようにすることで、標本の割合を全体の割合とみなせるようになります。
標本の数は多いほうがいいの?
多いほど推定の精度は上がります。ただし増やすほど時間も費用もかかるため、実際には「必要な精度が得られる最小限」を選びます。中学では「標本が大きいほど、母集団の値に近づきやすい」という性質を押さえておけば十分です。
☺おうちの方へ
標本調査は、中学数学の中でもっとも社会につながる単元です。選挙の出口調査、テレビの視聴率、商品のアンケートはすべてこの考え方で動いています。
お子さんが式でつまずいているときは、統計用語ではなく割合の問題として読み替えてあげてください。「袋の中の白玉の割合が全体でも同じだとしたら?」と言い換えるだけで、小5で習った式に戻れます。
つまずいたら、ここに戻ろう
- 割合・比(推定の式そのもの) — 小5「割合」/小6「比」
- 中1 データの分布(相対度数・割合) — 中1「データの分布」へ
- 中2 箱ひげ図(散らばりの比較) — 中2「箱ひげ図」へ
- このあと — 中学3年生の単元一覧へ