中学理科中学3年生物理
エネルギー資源と放射線|発電のしくみとα線β線γ線【中3理科】
中3理科「エネルギー資源と放射線」を図でやさしく。火力・水力・原子力・太陽光がエネルギーをどう移し変えて電気を作るか、化石燃料・核燃料・再生可能エネルギーの長所と短所、放射性物質と放射能と放射線のちがい、α線・β線・γ線の透過力と止めるもの、ベクレルとシーベルトの意味まで、表と図で整理できます。
ほとんどの発電はタービンを回して発電機を回すしくみで、ちがうのは「何でタービンを回すか」だけです(太陽光発電だけはタービンを使わず光エネルギーを直接電気に変えます)。エネルギー資源は化石燃料・核燃料・再生可能エネルギーの つ。放射線はα線・β線・γ線があり、透過力はα線<β線<γ線の順で、α線は紙、β線は薄い金属板、γ線は厚い鉛で止まります。
◎このページのゴール
発電がエネルギーをどう移し変えているかを説明でき、化石燃料・核燃料・再生可能エネルギーの特徴を比べられるようになる。放射性物質・放射能・放射線を区別し、α線・β線・γ線の透過力のちがいを説明できるようになる。
火力・水力・原子力・太陽光——発電の種類は多いのに、覚えることは実はほとんどありません。
なぜなら、ほとんどの発電は同じしくみだからです。
ちがうのは「何でタービンを回すか」だけ。
そして中3理科の最後に出てくる放射線も、コツはたった1つ、「よく似た3つの言葉を区別する」ことに尽きます。
どこでつまずいた?
あてはまるものをタップ。そこから読むと近道です。
発電のしくみは「タービンを回す」で共通
発電所のちがいは、タービン(羽根車)を何で回すかにあります。
回ってしまえば、あとはどれも同じ。
タービンにつながった発電機が回り、電磁誘導によって電気が生まれます。
エネルギーが姿を変えていく道すじで書くと、次のようになります。
(表では「◯◯エネルギー」の「エネルギー」を省いてあります。)
| 発電方式 | エネルギーの移り変わり |
|---|---|
| 火力 | 化学 →〔燃焼〕→ 熱 → 運動 → 電気 |
| 原子力 | 核 →〔核分裂〕→ 熱 → 運動 → 電気 |
| 水力 | 位置 → 運動 → 電気 |
| 風力 | 運動(風)→ 電気 |
| 地熱 | 熱 → 運動 → 電気 |
| 太陽光 | 光 → 電気(タービンなし) |
火力と原子力は、熱で水蒸気を作ってタービンを回すという点でまったく同じ流れです。
ちがうのは、熱を生む方法が「燃やす」か「核分裂」かというところだけ。
原子力発電って、なんだか特別なしくみだと思ってた!
タービンを回すところから先は、火力とまったく同じなんだ。
ちがうのは熱の作り方だけ。火力は化石燃料を燃やして熱を出す。原子力はウランが核分裂するときに出る熱を使う。
だから「少ない燃料でものすごく大きな熱が出せる」かわりに、「使い終わった燃料が放射線を出しつづける」という問題も一緒についてくる。
しくみが同じだからこそ、ちがいがどこにあるかをはっきりさせると整理しやすいよ。
✓理解チェック1
エネルギー資源は3つのグループに分かれる
電気のもとになる資源は、大きく3つに分けられます。
再生可能エネルギーとは、太陽の光や風、水の流れ、地下の熱のように、使ってもくり返し利用できるエネルギーのことです。
二酸化炭素をほとんど出さないのが強みです。
いっぽうで、天気や場所に発電量が左右されるという弱点もあります。
| 発電方式 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|
| 火力 | 発電量を調整しやすい | 二酸化炭素が出る 資源に限りがある |
| 水力 | CO₂を出さない くり返し使える | ダムが自然を 大きく変える |
| 原子力 | 少ない燃料で大量の電気 CO₂をほとんど出さない | 放射性廃棄物の処理 事故のときの影響が大きい |
| 太陽光 | 屋根などどこにでも置ける | 夜と雨の日は 発電できない |
| 風力 | CO₂を出さない | 風まかせで不安定 音の問題 |
| 地熱 | 天候に左右されない | 使える場所が 火山地帯に限られる |
| バイオマス | 資源を育てて再生できる | 集めるのに手間と 広い土地がいる |
✓バイオマス発電が「CO₂を増やさない」といわれる理由
木や作物を燃やせば二酸化炭素は出ます。
でもその植物は、育つあいだに光合成で同じくらいの二酸化炭素を吸収しています。
だから全体で見れば、大気中の二酸化炭素をふやさないと考えられています(カーボンニュートラル)。
✓理解チェック2
放射線・放射能・放射性物質のちがい
ここが放射線の分野でいちばんつまずくところです。
似た3つの言葉は、懐中電灯にたとえるといっぺんに整理できます。
放射線は、目に見えない小さな粒や電磁波です。
その正体によって、いくつかの種類に分けられます。
| 種類 | 正体 | 透過力 | 止めるもの |
|---|---|---|---|
| α線 | ヘリウムの 原子核 | 弱い | 紙1枚 |
| β線 | 電子 | 中くらい | うすい アルミニウム板 |
| γ線・X線 | 電磁波 (光の仲間) | 強い | 厚い鉛や 鉄の板 |
| 中性子線 | 中性子 | とても強い | 水や コンクリート |
透過力の順番は、α線 < β線 < γ線・X線。
図で覚えるのがいちばん早いところです。
放射線には、共通する2つの性質があります。
① 透過力——物質を通りぬける性質。レントゲンで体の中が写るのはこの性質です。
② 電離作用——通りぬけるときに、物質から電子をはじき出す性質。体に影響が出るのも、利用できるのも、もとはこの性質によります。
✓理解チェック3
単位(Bq・Sv)と身のまわりの放射線
放射線には2つの単位が出てきます。
どちらの立場から見ているかで区別すると、混同しません。
| 単位 | 読み方 | 何を表すか | 立場 |
|---|---|---|---|
| Bq | ベクレル | 放射能の強さ (放射線を出す能力) | 出す側 |
| Sv | シーベルト | 人体が受ける 影響の大きさ | 受ける側 |
✓Bq と Sv の見分け方
Bq は「もの」についている数字です。食品や土から「1kgあたり◯ベクレル」のように測ります。
Sv は「人」についている数字です。「1年間に◯ミリシーベルト受けた」のように使います。
出す側の強さが Bq、受ける側への影響が Sv。この2つを取りちがえないだけで、記述問題は書けるようになります。
放射線は、原子力発電所だけにあるものではありません。
宇宙から、地面から、食べ物から、空気から——わたしたちはふだんから自然の放射線を受けています。
この帯グラフの読み方は、小5算数の帯グラフと円グラフそのものです。
全体を100としたときの割合で比べる、という見方がそのまま使えます。
放射線から身を守る方法も、理科としてはとてもシンプルです。
→やり方
- 距離をとる——放射線源から遠ざかるほど、受ける量は減る。
- 時間を短くする——近くにいる時間が短いほど、受ける量は減る。
- さえぎる(遮へい)——間に鉛やコンクリートを置く。何で止まるかは放射線の種類による。
✓理解チェック4
よくある間違い
✕よくある間違い
「放射能がもれた」「放射能を浴びた」と、放射能と放射性物質・放射線を混ぜて使う
もれるのは放射性物質、浴びるのは放射線。放射能は「放射線を出す能力」
まぎらわしい間違いが、あと3つあります。
① 「放射」と「放射線」を混同する。 熱の伝わり方で習う「放射」は、熱が光のように直接届く現象のこと。放射線とは別のものです。
② 再生可能エネルギーなら無限に発電できると思う。 くり返し使えるだけで、一度に取り出せる量には限りがあり、天気や場所にも左右されます。
③ 太陽光発電もタービンを回していると思う。 太陽光発電はタービンも発電機も使いません。太陽電池で光エネルギーを直接電気に変えています。
やってみよう(練習問題)
やってみよう①(基本:エネルギーの移り変わり)
次の発電で、エネルギーがどのように移り変わるか答えましょう。
- 水力発電
- 火力発電
- 太陽光発電
答えと解説を見る
-
位置エネルギー → 運動エネルギー → 電気エネルギー 高い所の水を落とし、その勢いでタービンを回します。
-
化学エネルギー → 熱エネルギー → 運動エネルギー → 電気エネルギー 化石燃料を燃やした熱で水蒸気を作り、タービンを回します。
-
光エネルギー → 電気エネルギー 太陽電池で直接変えるので、タービンも発電機も使いません。
やってみよう②(標準:放射線の種類)
次の問いに答えましょう。
- 紙1枚で止まる放射線は何か。その正体も答えなさい。
- うすいアルミニウム板で止まる放射線は何か。
- α線・β線・γ線を、透過力の弱い順に並べなさい。
答えと解説を見る
- α線。正体はヘリウムの原子核です。
- β線。正体は電子です。
- α線 < β線 < γ線。γ線を止めるには、厚い鉛や鉄の板が必要です。
やってみよう③(応用:記述で説明する)
次の問いに、文章で答えましょう。
- 「放射線」と「放射能」のちがいを説明しなさい。
- 原子力発電の長所と短所を、それぞれ1つずつ挙げなさい。
- 太陽光発電が、火力発電や原子力発電と決定的にちがう点を1つ説明しなさい。
答えと解説を見る
-
(例)「放射線は放射性物質から出てくる粒や電磁波そのもので、放射能はその放射線を出す能力のことである。」 懐中電灯でいえば、光が放射線、光を出す能力が放射能にあたります。
-
(例)長所:少ない量の燃料で大量の電気を作ることができ、発電のときに二酸化炭素をほとんど出さない。/短所:使い終わった燃料が放射線を出しつづけるため、処分が難しい。
-
(例)火力発電や原子力発電はタービンを回して発電機を回すが、太陽光発電はタービンを使わず、太陽電池で光エネルギーを直接電気エネルギーに変えている。
家おうちの方へ
この単元は暗記事項が多く見えますが、覚える中心は2つだけです。
1つめは「ほとんどの発電はタービンを回して発電機を回している」ということ。ここを押さえると、火力・原子力・水力・風力・地熱がすべて1つの型で説明でき、太陽光だけが例外だと整理できます。「何でタービンを回すの?」と聞いてあげるだけで、答えが出てきます。
2つめが「放射線・放射能・放射性物質」の区別です。ここはニュースの言葉づかいが理科と食いちがうため、大人でも混同しがちなところです。懐中電灯(もの)・光る能力・光、という対応で覚えると、記述問題まで書けるようになります。
エネルギー変換という考え方そのものはエネルギーの変換効率と熱の伝わり方、発電機のしくみは電磁誘導と発電(中2理科)が土台です。割合で比べる場面が多いので、グラフや%が苦手なら百分率(小5算数)に戻ると読みやすくなります。
ほとんどの発電は、タービンを回して発電機を回すだけ。
エネルギー資源は「なくなるか、くり返し使えるか」で3つに分かれる。
放射性物質・放射能・放射線は、懐中電灯・光る能力・光の関係。
——この3つの型があれば、エネルギーと放射線の問題は、暗記ではなく理解で解けるようになります。
📌 1分まとめ(声に出して読もう)
- ほとんどの発電はタービンを回して発電機を回す。ちがうのは「何でタービンを回すか」だけ。
- 太陽光発電だけはタービンを使わず、太陽電池で光エネルギーを直接電気に変える。
- エネルギー資源は化石燃料(石油・石炭・天然ガス)・核燃料(ウラン)・再生可能エネルギーの3つ。
- 放射性物質=放射線を出す物質、放射能=放射線を出す能力、放射線=出てくるもの。懐中電灯・光る能力・光の関係。
- 透過力はα線 < β線 < γ線・X線。止めるのは順に紙・うすいアルミ・厚い鉛。
- 単位はBq(ベクレル)=放射能の強さ、Sv(シーベルト)=人体が受ける影響。
よくある質問
火力発電・水力発電・原子力発電に共通しているしくみは何ですか?
どれもタービン(羽根車)を回して発電機を回し、電磁誘導で電気を作っている点が共通しています。ちがうのは、何でタービンを回すかだけです。火力は化石燃料を燃やした熱で水蒸気を作って回し、原子力はウランの核エネルギーで生じた熱で水蒸気を作って回し、水力は高い所から落とした水で直接回します。なお太陽光発電だけは例外で、タービンを使わず、太陽電池で光エネルギーを直接電気エネルギーに変えています。
放射線・放射能・放射性物質のちがいは何ですか?
放射性物質は放射線を出す物質そのもの、放射能は放射線を出す能力、放射線は実際に出てくる粒や電磁波のことです。懐中電灯にたとえると、懐中電灯そのものが放射性物質、光を出す能力が放射能、出てくる光が放射線にあたります。ニュースでよく聞く「放射能がもれる」という言い方は、正確には「放射性物質がもれる」です。
α線・β線・γ線のちがいと、透過力の順番を教えてください。
α線はヘリウムの原子核、β線は電子、γ線とX線は電磁波(光の仲間)です。物質を通りぬける力(透過力)はα線が最も弱く、次にβ線、γ線・X線が最も強くなります。α線は紙1枚で止まり、β線はうすいアルミニウム板で止まり、γ線・X線は厚い鉛や鉄の板でようやく弱められます。さらに透過力が強い中性子線は、水やコンクリートで弱めます。
ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)は何がちがうのですか?
ベクレルは放射能の強さ、つまり放射性物質が放射線を出す能力の大きさを表す単位です。一方シーベルトは、人体が放射線を受けたときの影響の大きさを表す単位です。ベクレルは「出す側」の強さ、シーベルトは「受ける側」への影響、と分けて覚えると混同しません。日本では自然にある放射線から、1年間に平均しておよそ2.1ミリシーベルトを受けています。
この単元でつまずいたとき、家庭でできること
- エネルギーの変換効率と熱の伝わり方(中3理科)に戻るつまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
- 説明役を、外部にまかせる教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。