中学理科中学2年生物理

電磁誘導とは|誘導電流の向き・直流と交流のちがい・発電機【中2理科】

電磁誘導とは、コイルの中の磁界が変化するとコイルに電流が流れる現象です。中2理科の誘導電流の向きが逆になる条件、磁石を止めると電流が流れない理由の記述対策、直流と交流のちがいと周波数(50Hz・60Hz)、発電機のしくみまで、実験の図と表でやさしく整理します。

先に答え

電磁誘導とは、コイルの中の磁界が変化すると電圧が生じて電流が流れる現象で、このとき流れる電流を誘導電流といいます。コイルの中で磁石を止めると流れません。向きが逆になるのは

  1. 磁石の極を入れかえる
  2. 動かす向きを変える

22 つ、大きさが変わるのは動かす速さ・磁石の強さ・コイルの巻数33 つで、後者では向きは変わりません。

このページのゴール

コイルと磁石の実験から誘導電流の向きと大きさが決まる条件を説明でき、直流と交流のちがいと発電機のしくみを区別できるようになる。

電池をつないでいないコイルに磁石を近づけただけで、検流計の針がぴくりと振れる。 この不思議な現象が電磁誘導で、家庭に届く電気のほとんどはこのしくみでつくられています。 つまずくのは「向きがどっちになるか」と「なぜ止めると流れないのか」の2点なので、そこを実験の図と表で片づけます。 磁界そのものの決まり(磁力線・右ねじの法則)は電流と磁界で先に確認しておくとスムーズです。

電磁誘導とは——磁界の「変化」が電流を生む

やり方

  1. コイルの中の磁界を変化させる(磁石を出し入れする、またはコイルのほうを動かす)
  2. コイルに電圧が生じる
  3. 回路がつながっていれば電流が流れる——この電流が誘導電流
  4. 変化をやめたしゅんかんに、電流は流れなくなる

電磁誘導とは、コイルの中の磁界が変化することでコイルに電圧が生じ、電流が流れる現象のことです。 主役は「磁界があること」ではなく、「磁界が変わること」。 ここが最初の関門なので、実験の図で確かめましょう。

① N極を近づける② N極を遠ざけるSN検流計針は右に振れるコイルを貫く磁界がふえるSN検流計針は左に振れるコイルを貫く磁界がへる

同じN極を使っていても、近づけるか遠ざけるかで針の振れる向きが反対になります。 つまり誘導電流の向きは、「磁界がふえるのか、へるのか」で決まっているということです。

理解チェック1

誘導電流の向きと大きさが変わる条件

テストで問われるのは「向きが変わる操作」と「大きさが変わる操作」の区別です。 2つは別物なので、表で切り分けて覚えます。

操作誘導電流の向き誘導電流の大きさ
N極を近づける(基準)基準の向き基準
N極を遠ざける逆になる変わらない
S極を近づける逆になる変わらない
S極を遠ざける基準と同じ変わらない
磁石を速く動かす変わらない大きくなる
磁力の強い磁石にする変わらない大きくなる
コイルの巻数をふやす変わらない大きくなる

向きを決めているのは「磁石の極」と「動かす向き」の2つだけ。 表の4行目のように、この2つを同時に入れかえると、逆の逆でもとの向きにもどります。

向きが逆になる(2つ)大きさが大きくなる(3つ)NS極を入れかえる入れる/出すを変える片方だけ変える → 逆2つとも変える → もとどおり速く動かす強い磁石にする巻数をふやすこの3つでは向きは変わらない

理解チェック2

磁石を止めると電流は流れない(記述で頻出)

コイルの中に磁石を差し込んだまま手を止めると、検流計の針は0にもどります。 磁石はコイルの中にあるのに、なぜでしょうか。

?なぜ、磁石を止めると誘導電流は流れないの?

電流を生んでいるのは、磁界そのものではなく磁界の変化だからです。 磁石を止めるとコイルを貫く磁界は一定になり、変化がなくなるため電圧が生じません。

模範解答:「コイルの中の磁界が変化しなくなるから。」

セナちゃんのアイコン
セナ

じゃあ、コイルに強い磁石を入れっぱなしにしておけば、ずっと電気が使えるのに……。

ホクト先生のアイコン
ホクト先生

残念ながら、それでは1秒も電気は出ないんだ。 だから発電所では、水や蒸気や風の力でタービンを回し続けている。 「動かし続けないと電気は生まれない」——これが電磁誘導のいちばん大事なところだよ。

直流と交流のちがい

発電機がつくる電気は、乾電池の電気とは性質がちがいます。

直流(DC)交流(AC)
電流の向き一定で変わらない周期的に入れかわる
電流の大きさ一定周期的に変化する
身近な例乾電池、電池式の時計、USB家庭のコンセント、送電線
波形横にまっすぐな線波打つ線
直流(乾電池)交流(コンセント)0向きも大きさも変わらない→ 時間01周期0より下=電流の向きが逆1秒間に何回くり返すか=周波数(Hz)/東日本50Hz・西日本60Hz

交流が1秒間に何回くり返すかを周波数といい、単位は Hz(ヘルツ) です。 日本では東日本が50Hz、西日本が60Hzと分かれています。 「1秒あたり何回」という見方は算数の単位量あたりの大きさと同じ考え方で、そろえて比べるための数え方です。

交流であることは、発光ダイオード(LED)を光らせたまま左右に振ると目で確かめられます。

直流でLEDを振ると交流でLEDを振るととぎれない1本の線とぎれた点線に見えるLEDは決まった向きの電流でしか光らないので、交流では消える時間ができる
セナちゃんのアイコン
セナ

コンセントの電気は1秒に何十回も向きが変わるんでしょ? それなら、部屋の明かりもチカチカしそうなのに。

ホクト先生のアイコン
ホクト先生

いいところに気づいたね。 実際にごく短い時間で明るさは変化しているけれど、目が追いつかない速さなので連続して光って見えるんだ。 その「見えない変化」を見えるようにするのが、さっきのLEDを振る実験だよ。

理解チェック3

発電機のしくみ——回し続けて電気をつくる

発電機は、コイルと磁石を相対的に動かし続ける装置です。 磁石を回してもコイルを回しても、コイルを貫く磁界は増減をくり返すので、電磁誘導によって電流が生まれます。 回転させると磁界の増減が交互に起こるため、生まれる電流は自然と交流になります。

  • 火力・原子力…水を沸かした蒸気でタービンを回す
  • 水力…落ちる水の勢いで水車を回す
  • 風力…風で羽根を回す
  • 自転車のライト…タイヤの回転で小さな発電機(ダイナモ)を回す

どれも「回す」ところが共通です。 自転車を止めるとライトが消えるのは、回転が止まって磁界の変化がなくなるからで、電磁誘導のいちばんわかりやすい実例といえます。

よくある間違い

よくある間違い

まちがい

「コイルの中に磁石があると誘導電流が流れる」と覚える。 速く動かすと向きが変わる、と答える。

正しい

流れるのは磁界が変化しているあいだだけ。 速さ・磁力・巻数は大きさだけを変え、向きは変えない。

もう1つ多いのが、直流と交流の取りちがえです。 乾電池は直流、コンセントは交流。 「発電機がつくるのは交流」「電池は直流」と、つくり方とセットで覚えると混ざりません。

やってみよう(練習問題)

やってみよう①(基本:用語と定義)

次の問いに答えましょう。

  1. コイルの中の磁界を変化させると電流が流れる現象を何といいますか。
  2. そのとき流れる電流を何といいますか。
答えと解説を見る
  1. 電磁誘導
  2. 誘導電流。「磁界の変化 → 電圧が生じる → 電流が流れる」の順で起こります。

やってみよう②(標準:向きと大きさ)

コイルに棒磁石のN極を近づけたところ、検流計の針が右に振れました。 次のそれぞれで、針はどちら向きに、前より大きく振れますか。

  1. 同じN極を、同じ速さで遠ざける。
  2. S極を、前より速く近づける。
答えと解説を見る
  1. 左向きに、同じくらいの大きさ。動かす向きだけを変えたので、向きだけが逆になります。
  2. 左向きに、前より大きく。極を変えたので向きは逆、速くしたので大きさは大きくなります。

やってみよう③(応用:記述と交流)

次の問いに答えましょう。

  1. コイルの中に磁石を入れ、そのまま静止させると電流は流れません。その理由を書きましょう。
  2. 光らせたLEDを暗い部屋で左右にすばやく振ったところ、光の跡が点線に見えました。この電源は直流と交流のどちらですか。理由もあわせて書きましょう。
答えと解説を見る
  1. コイルの中の磁界が変化しなくなるから。(「変化」の一語が採点のポイントです)
  2. 交流。理由は「電流の向きが周期的に入れかわり、LEDが光らない時間ができるから」。直流なら向きが一定なので、とぎれない1本の線に見えます。

おうちの方へ

この単元でお子さんが最も混乱するのは、「磁石があるのに、なぜ電流が流れないの?」という点です。 電流を生むのは磁界そのものではなく磁界の変化だ、という一言に尽きます。 確かめ方はかんたんで、エナメル線を数十回巻いたコイルと発光ダイオード(または検流計)を用意し、磁石をゆっくり/速く出し入れするだけ。 止めた瞬間に反応が消えることを見せると、言葉より早く伝わります。 交流については、自転車のライトを速くこぐと明るくなること、コンセントで動く家電と乾電池で動く機器を見比べることが身近な教材になります。 向きの決まりが苦手なら磁界と磁力線へ、小学校の内容に戻るなら電気の利用(発電・蓄電)が出発点になります。

磁界が変化したときだけ電流が生まれる。 だから発電機は回り続け、コンセントには交流が届く——この流れがつながれば、電磁誘導はもう暗記ではありません。 次は力学的エネルギーの保存で、つくられた電気がどんなエネルギーの姿から来たのかをたどってみましょう。

📌 1分まとめ(声に出して読もう)

  • 電磁誘導とは、コイルの中の磁界が変化すると電圧が生じ、電流が流れる現象。
  • このとき流れる電流が誘導電流。コイルの中で磁石を止めると流れない
  • 向きが逆になるのは①磁石の極を入れかえる ②動かす向き(入れる/出す)を変えるの2つ。
  • 大きさが変わるのは動かす速さ・磁石の強さ・コイルの巻数の3つ。向きは変わらない。
  • 直流=向きが一定(乾電池)。交流=向きと大きさが周期的に変化(コンセント)。1秒間の繰り返し回数が周波数(Hz)

よくある質問

電磁誘導とは何ですか?

電磁誘導とは、コイルの中の磁界が変化したときに、コイルに電圧が生じて電流が流れる現象のことです。コイルに磁石を出し入れしたり、コイルのほうを動かしたりすると、電池をつないでいないのに検流計の針が振れます。このとき流れる電流を誘導電流といい、発電機はこのしくみで電気をつくっています。

誘導電流の向きはどうすれば逆になりますか?

逆になる操作は2つです。1つは磁石の極を入れかえること(N極をS極にする)、もう1つは磁石を動かす向きを変えること(近づけるのを遠ざけるに変える)です。この2つのうち片方だけを変えると電流の向きは逆になり、両方いっしょに変えるともとの向きにもどります。速さや巻数を変えても向きは変わりません。

コイルの中に磁石を入れたまま止めると、なぜ電流が流れないのですか?

電流を生んでいるのは磁界の「変化」であって、磁界がある状態そのものではないからです。磁石を止めるとコイルを貫く磁界が変化しなくなるため、電圧が生じず、誘導電流も流れません。だから発電機は磁石やコイルを回し続ける必要があり、止めると発電も止まります。

直流と交流のちがいは何ですか?

直流は電流の向きが一定で変わらない電気で、乾電池や電池式の機器で使われます。交流は電流の向きと大きさが周期的に入れかわる電気で、家庭のコンセントに届く電気がこれです。1秒間に繰り返す回数を周波数といい、単位はHz(ヘルツ)で、日本では東日本が50Hz、西日本が60Hzです。

この単元でつまずいたとき、家庭でできること

  1. 電流と磁界(磁力線・右ねじの法則)に戻る
    つまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
  2. 説明役を、外部にまかせる
    教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。
#電磁誘導#誘導電流#直流と交流#発電機#中2理科