中学理科中学2年生物理
電流が磁界から受ける力|向きの決め方とモーターのしくみ【中2理科】
中2理科「磁界の中の電流が受ける力」を図解でやさしく。電流の向きと磁界の向きから力の向きを決める方法、片方だけ逆にすると力も逆・両方逆なら変わらない関係を表で整理し、フレミング左手の法則の使い方、整流子とブラシでモーターが回り続ける理由の記述対策まで解説します。
磁界の中の導線に電流を流すと導線は力を受け、電流・磁界・力はたがいに垂直になります。向きはフレミング左手の法則(中指=電流、人差し指=磁界、親指=力)で決まり、電流か磁界の片方だけを逆にすると力も逆、両方逆にすると力の向きは変わりません。モーターが回り続けるのは、半回転ごとに整流子とブラシが電流の向きを入れかえるからです。
◎このページのゴール
電流の向きと磁界の向きから力の向きを決められるようになり、整流子とブラシによってモーターが回り続けるしくみを説明できるようになる。
磁石のあいだに置いた導線に電流を流したとたん、導線がぴょんと動く。 扇風機も電車もドローンも、この一瞬の動きを回転に変えて走っています。 つまずくのは「力がどっちを向くか」と「モーターはなぜ止まらずに回り続けるのか」の2点なので、そこを図と表でしぼって解きます。 磁界の向きそのものの決まりは電流と磁界(磁力線・右ねじの法則)で先に確認しておきましょう。
どこでつまずいた?
あてはまるものをタップ。そこから読むと近道です。
磁界の中の電流は力を受ける
→やり方
- 磁石がつくる磁界の中に、導線を置く
- 導線に電流を流す
- 導線は磁界から力を受けて動く
- このとき電流・磁界・力の3つは、たがいに垂直になっている
導線が動くのは、電流がつくる磁界と磁石の磁界が重なるからです。 導線の片側では2つの磁界が強め合い、反対側では弱め合います。 その差によって、導線は強いほうから弱いほうへ押し出されます。
図では磁界が右向き、電流が紙面の奥向きなので、導線は下向きの力を受けます。 この3つの向きの関係を、次の節で自由に組みかえられるようにします。
✓理解チェック1
力の向きの決まり方(4パターン)
覚えることは、たった1つのルールです。
| 電流の向き | 磁界の向き | 力の向き |
|---|---|---|
| 基準のまま | 基準のまま | 基準の向き |
| 逆にする | 基準のまま | 逆になる |
| 基準のまま | 逆にする | 逆になる |
| 逆にする | 逆にする | 変わらない |
つまり、逆にした数が1つなら力も逆、2つなら力はもとのまま。 図で4パターンをまとめて見ておきましょう。
④が納得できない! 2つも変えたんだから、もっと大きく変わりそうなのに。
「逆」を2回かけたと考えてみよう。 右に曲がって、もう一度右に曲がると……向きは反対、つまりもとの道の逆向きだよね。 力の向きも同じで、逆の逆はもとにもどる。 だからテストでは「いくつ逆にしたか」を数えるだけで答えが出るんだ。
✓理解チェック2
力を大きくする方法
向きではなく「大きさ」を変えたいときは、次の2方向で考えます。
- 電流を大きくする…電圧を上げる、抵抗を小さくする(オームの法則の通り)
- 磁界を強くする…磁力の強い磁石にかえる、電磁石ならコイルの巻数をふやす
電流を2倍にすれば力もおよそ2倍、3倍にすればおよそ3倍というように、力の大きさは電流の大きさに比例します。 このように「一方が2倍・3倍になると、もう一方も2倍・3倍になる」関係は算数・数学の比例そのもので、グラフにすると原点を通る直線になります。
フレミング左手の法則(覚え方として)
中学校では必ず使わなければならない決まりではありませんが、向きを確かめる道具として便利なのがフレミング左手の法則です。
✓左手の3本指を直角に開く
- 中指 = 電流の向き
- 人差し指 = 磁界(磁場)の向き
- 親指 = 力の向き
3本をたがいに直角に開き、中指と人差し指を図に合わせると、親指が力の向きを指します。 「中指から順に 電・磁・力」と唱えると並び順を忘れません。 右手ではなく左手である点に注意してください。
まっすぐな導線のまわりの磁界を決める右ねじの法則は右手系、電流が受ける力を決めるフレミングは左手。 使う場面がちがうので、磁界のページと行き来して確認しておくと混乱しません。
モーターが回り続けるしくみ——整流子とブラシ
モーターは、磁石のあいだに置いたコイルに電流を流し、コイルの左右にはたらく逆向きの力で回転をつくる装置です。 ところが、そのまま回すと半回転したところでコイルの左右が入れかわり、力が回転をじゃまする向きになってしまいます。 それを解決しているのが整流子とブラシです。
コイルの両端はつながっておらず、2枚に分かれた整流子になっています。 コイルが半回転すると、ブラシに接する整流子が入れかわり、コイルに流れる電流の向きだけが逆になります。 磁界はそのままなので、力の向きは回転を続ける向きにそろい続けます。
?なぜ、モーターには整流子とブラシが必要なの?
もし電流の向きが変わらないままだと、コイルが半回転した時点で力の向きが回転をじゃまする側になり、そこで止まってしまうからです。 整流子とブラシが半回転ごとに電流の向きを入れかえることで、力の向きをつねに同じ回転方向に保っています。
模範解答:「半回転ごとにコイルに流れる電流の向きを逆にして、力の向きをつねに同じ回転の向きにそろえ、回り続けさせるため。」
✓理解チェック3
モーターと発電機は「逆向きの関係」
同じコイルと磁石を使いながら、はたらきがちょうど反対になるのがモーターと発電機です。
| モーター | 発電機 | |
|---|---|---|
| 入れるもの | 電流 | 回転(動き) |
| 出てくるもの | 回転(動き) | 電流 |
| はたらくしくみ | 電流が磁界から力を受ける | 磁界の変化で電流が生じる |
| エネルギーの変換 | 電気 → 運動 | 運動 → 電気 |
手回し発電機のハンドルを回すと電気ができ、逆に電池をつなぐとハンドルが勝手に回り出すのは、この2つが表と裏の関係だからです。 運動から電気をつくる側のしくみは電磁誘導とは(発電機と交流)でくわしく解説しています。
よくある間違い
✕よくある間違い
電流と磁界を両方とも逆にしたので、力も逆になると答える。 向きを確かめるのに右手を使ってしまう。
逆にした数が2つなら力の向きはもとのまま。 向きの確認は左手(中指=電流・人差し指=磁界・親指=力)。
もう1つは、整流子の役割を「電流を大きくするため」と書いてしまう答案です。 整流子がしているのは向きの切りかえだけで、電流の大きさは変えていません。
やってみよう(練習問題)
やってみよう①(基本:3つの向き)
次の問いに答えましょう。
- 磁界の中の導線に電流を流したとき、電流・磁界・力の3つの向きはどんな関係になっていますか。
- 力の向きを逆にするには、何を1つだけ変えればよいですか。2通り答えましょう。
答えと解説を見る
- たがいに垂直(3つとも直角に交わる関係)。
- 電流の向きを逆にする、または磁界の向き(磁石のN極とS極)を逆にする。どちらか一方だけです。
やってみよう②(標準:力の大小と向き)
導線がある向きに力を受けて動いています。 次のようにしたとき、力の向きと大きさはどうなりますか。
- 電流の大きさだけを2倍にする。
- 電流の向きを逆にし、磁石も裏返してN極とS極を入れかえる。
答えと解説を見る
- 向きは変わらず、大きさがおよそ2倍になります。力の大きさは電流に比例します。
- 向きも大きさも変わりません。逆にした数が2つなので、逆の逆でもとの向きにもどります。
やってみよう③(応用:記述)
モーターについて、次の問いに答えましょう。
- コイルが半回転するたびに、整流子とブラシは何をしていますか。
- もし整流子がなく、コイルの両端が電源に固定されていたら、モーターはどうなりますか。理由もあわせて書きましょう。
答えと解説を見る
- コイルに流れる電流の向きを逆にしている。
- 半回転したところで回転が止まってしまう(または行ったり来たりするだけになる)。 理由は「電流の向きが変わらないため、半回転後は力の向きが回転をじゃまする向きになるから」。
家おうちの方へ
この単元でつまずくのは、ほとんどが3次元の向きです。 紙の上だけで考えると混乱するので、実際に左手を開いて中指・人差し指・親指を直角にし、図に合わせる練習をさせてあげてください。 「中指から電・磁・力」と声に出すと定着が早くなります。 もう1つの山場が整流子の役割で、ここは記述で問われます。 「半回転ごとに電流の向きを入れかえて、回り続けさせるため」という一文が書ければ十分です。 使わなくなった乾電池、エナメル線、フェライト磁石があれば簡易モーターは自作できます。 回らないときは、たいていエナメルのはがし方(片側だけはがす)が原因なので、そこも良い考察の材料になります。 土台の確認は電流と磁界、電流の大きさの復習はオームの法則へ。
電流と磁界がそろえば、力の向きは必ず決まる。 そして整流子が向きを切りかえ続けるから、モーターは止まらずに回る——ここまでつかめれば作図問題も記述問題も怖くありません。 次は電磁誘導とは(発電機と交流)で、逆に「動かして電気をつくる」側を見ていきましょう。
📌 1分まとめ(声に出して読もう)
- 磁界の中の導線に電流を流すと、導線は力を受けて動く。電流・磁界・力はたがいに垂直。
- 電流か磁界の片方だけを逆にすると力の向きも逆。両方逆にすると力の向きは変わらない。
- 力を大きくするには電流を大きくするか、磁界を強くする。
- 覚え方はフレミング左手の法則(中指=電流・人差し指=磁界・親指=力)。
- モーターが回り続けるのは、整流子とブラシが半回転ごとに電流の向きを入れかえているから。
よくある質問
磁界の中の導線に電流を流すと、なぜ力がはたらくのですか?
電流が流れる導線のまわりには磁界ができるため、磁石がつくる磁界と重なり合い、片側では磁界が強め合い、反対側では弱め合います。その差によって、導線は磁界が強いほうから弱いほうへ押し出されるように力を受けます。このとき電流の向き・磁界の向き・力の向きは、たがいに垂直の関係になります。
電流が磁界から受ける力の向きは、どうすれば逆になりますか?
電流の向きか磁界の向きの、どちらか一方だけを逆にすると力の向きも逆になります。両方を同時に逆にすると、逆の逆になって力の向きはもとのまま変わりません。向きを変えずに力の大きさだけを変えたいときは、電流を大きくするか、磁界を強くします。
フレミング左手の法則とは何ですか?
左手の中指・人差し指・親指をたがいに垂直に開き、中指を電流の向き、人差し指を磁界の向きに合わせると、親指が力の向きを示すという覚え方です。中学校では必ず使わなければならない決まりではありませんが、作図問題で向きを確かめるときに便利です。左手であることに注意しましょう。
モーターに整流子とブラシがあるのはなぜですか?
コイルが半回転すると、そのままではコイルに流れる電流の向きに対して力の向きが逆になり、回転が止まってしまうからです。整流子とブラシは半回転ごとにコイルに流れる電流の向きを入れかえ、力の向きをつねに同じ回転方向にそろえるはたらきをしています。そのためモーターは同じ向きに回り続けます。
この単元でつまずいたとき、家庭でできること
- 電流と磁界(磁力線・右ねじの法則)に戻るつまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
- 説明役を、外部にまかせる教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。