中学理科中学1年生地学

地震の計算(P波・S波と初期微動継続時間)|速さで解く【中1理科】

中1理科でつまずく「地震」を、算数の速さ(道のり÷時間)とつなげて図解。P波とS波のちがい、初期微動継続時間が震源からの距離に比例する理由、走時グラフの読み方、震源までの距離や地震が発生した時刻の求め方まで、例題でやさしく解説します。

このページのゴール

P波・S波のちがいと、初期微動継続時間が震源からの距離に比例することを理解し、速さ(道のり÷時間)を使って震源までの距離や地震が発生した時刻を求められるようになる。

「地震のとき、小さくグラッときたあと、少しおいてグラグラ大きくゆれるのはなぜ?」——その答えがP波とS波です。地震は中1理科でつまずきやすい単元ですが、計算の正体は算数で習った「速さ(道のり÷時間)」そのもの。速さのちがう2つの波が、別々に伝わってくるだけです。図でつかめば、初期微動継続時間も走時グラフも、丸暗記なしでわかります。

P波とS波——速さのちがう2つの波

地震が起こると、ゆれを伝える波が2種類、震源から同時に出発します。速さがちがうので、遠くの観測点には着く時刻がずれて届きます。

やり方

  1. P波(速い波)…先に着く。小さなゆれ=初期微動を起こす。
  2. S波(遅い波)…あとから着く。大きなゆれ=主要動を起こす。
  3. 2つの波の着く時刻の差が、グラッ…からグラグラまでの「間」になる。

P波の「P」は Primary(最初の)、S波の「S」は Secondary(2番目の)。名前のとおり、P波が先・S波があとです。震源では同時に出発しますが、P波のほうが速いので、観測点では必ずP波が先に着きます。

P波が着くS波が着く初期微動主要動

地震計の記録を見ると、はじめに**小さくこまかいゆれ(初期微動)が続き、とちゅうから大きなゆれ(主要動)**に変わります。小さいほうがP波、大きいほうがS波が起こしたゆれです。

理解チェック①

初期微動継続時間の出し方

P波が着いてから、S波が着くまでの「間」を初期微動継続時間といいます。小さくグラッときてから、大きくグラグラするまでの時間のことです。

?どうして?

初期微動継続時間 = S波が着いた時刻 − P波が着いた時刻

たとえば、P波が 1010000505 秒に、S波が 1010002020 秒に着いたなら、初期微動継続時間は 205=1520 - 5 = 15 秒です。「あとに着いたS波 − 先に着いたP波」と覚えておけば、引く向きをまちがえません。

P波 到達S波 到達初期微動継続時間時刻→

理解チェック②

なぜ遠いほど初期微動が長い?

ここが地震のいちばん大事なところ。震源から遠い観測点ほど、初期微動継続時間が長くなります。理由は「速さのちがい」を図にするとすぐわかります。

走時グラフ(時間と距離の関係)距離時間→P波S波近い観測点はすき間が短いP着S着遠い観測点はすき間が長いオレンジのすき間=初期微動継続時間

これは走時グラフといい、横が「地震発生からの時間」、縦が「震源からの距離」です。P波もS波も震源(左下)から同時に出発するので、2本の直線は原点から出ます。速いP波の直線は急で、遅いS波の直線はゆるやか。同じ距離(横の点線)で見たときの2本のすき間が、初期微動継続時間です。

距離が大きいほどすき間が広がるので、遠い観測点ほど初期微動継続時間が長い。しかも、すき間は距離に比例してのびます。これは数学の比例そのもので、「初期微動継続時間が2倍なら、震源までの距離も2倍」と読めます。

セナちゃんのアイコン
セナ

なんで距離に「比例」なの? なんとなく長くなるだけじゃないの?

ホクト先生のアイコン
ホクト先生

いいところに気づいたね。P波もS波も速さは一定だから、22 倍の距離を進むには、どちらも時間が 22 倍かかる。すると2つの時間の差(=初期微動継続時間)も 22 倍になる。だから「距離が 22 倍なら継続時間も 22 倍」と、まっすぐ比例するんだ。だから継続時間を測れば、逆に震源までの距離もわかるんだよ。

理解チェック③

震源までの距離・発生時刻を求める(速さの計算)

ここからは算数の速さの出番です。波が伝わる速さは「速さ = 距離 ÷ 時間」、着くまでの時間は「時間 = 距離 ÷ 速さ」で求められます。

コツ

地震の計算は、3つの式を行き来するだけです。

  • 速さ = 距離 ÷ 時間
  • 距離 = 速さ × 時間
  • 時間 = 距離 ÷ 速さ

たとえば、ある観測点が震源から 120120 km、P波の速さが 88 km/s、S波の速さが 44 km/s だとします。

P波が着くまでの時間=120÷8=15 秒\text{P波が着くまでの時間} = 120 \div 8 = 15 \text{ 秒}

S波が着くまでの時間=120÷4=30 秒\text{S波が着くまでの時間} = 120 \div 4 = 30 \text{ 秒}

初期微動継続時間は 3015=1530 - 15 = 15 秒。逆に、初期微動継続時間がわかれば、距離 = 速さの関係から震源までの距離を求められます。また、「観測点にP波が着いた時刻」から「P波が着くまでにかかった時間(1515 秒)」を引けば、地震が発生した時刻もわかります。

iメモ

地震発生時刻の出し方:P波到達時刻 −(震源距離 ÷ P波の速さ)。たとえばP波が 99001515 秒に着いて、着くまで 1515 秒かかったなら、発生は 99000000 秒。S波で計算しても同じ時刻になります。

理解チェック④

よくある間違い

よくある間違い

まちがい

初期微動継続時間を「P波の時刻 − S波の時刻」と、逆に引いてしまう(答えがマイナスに)

正しい

S波(あと)− P波(先)。あとに着いたほうから、先に着いたほうを引く

ほかにも「P波=大きいゆれ」と覚えちがえる人が多いです。P波は速いけど小さいゆれ(初期微動)/S波は遅いけど大きいゆれ(主要動)。速さと、ゆれの大きさを取りちがえないようにしましょう。速さの計算では、距離 ÷ 速さ = 時間の向きにも注意です。

やってみよう(練習問題)

✏️ やってみよう①(基本:初期微動継続時間)

ある観測点で、P波とS波が次の時刻に着きました。初期微動継続時間を求めましょう。

  1. P波 1010000808 秒、S波 1010002020 秒。
  2. P波 1414335050 秒、S波 1414441010 秒。
答えと解説を見る
  1. 208=1220 - 8 = 1212秒
  2. 441010- 335050=20= 2020秒5050 秒から 1010 秒へは 2020 秒)。

どちらも「S波 − P波」。あとに着いたS波から先のP波を引きます。

✏️ やってみよう②(標準:速さで距離・時間)

P波の速さを秒速 66 km、S波の速さを秒速 44 km とします。

  1. 震源から 4848 km の観測点に、P波が着くまで何秒かかる?
  2. 同じ観測点に、S波が着くまで何秒かかる? また初期微動継続時間は?
答えと解説を見る
  1. 時間 = 距離 ÷ 速さ = 48÷6=848 \div 6 = 88秒
  2. 48÷4=1248 \div 4 = 12S波は12秒。初期微動継続時間 = 128=412 - 8 = 44秒

「時間 = 距離 ÷ 速さ」を2回使い、最後にS波 − P波で引きます。

✏️ やってみよう③(応用:震源距離と発生時刻)

P波の速さは秒速 88 km、S波の速さは秒速 44 km です。ある観測点で、P波が 99002020 秒、S波が 99003030 秒に着きました。

  1. この観測点は、震源から何 km 離れている?
  2. 地震が発生した時刻は?
答えと解説を見る
  1. まず初期微動継続時間 = 3020=1030 - 20 = 10 秒。震源距離を dd km とすると、S波とP波の時間の差が 1010 秒なので、d4d8=10\dfrac{d}{4} - \dfrac{d}{8} = 10。左辺は 2dd8=d8\dfrac{2d - d}{8} = \dfrac{d}{8} なので、d8=10\dfrac{d}{8} = 10 より d=80d = 80 km
  2. P波が着くまでの時間 = 80÷8=1080 \div 8 = 10 秒。発生時刻 = P波到達 99002020- 1010 秒 = 9時0分10秒。(S波で確認:80÷4=2080 \div 4 = 20 秒、303020- 20 秒 = 1010 秒で一致。)

おうちの方へ

地震のつまずきは、多くが「P波・S波の名前と性質の取りちがえ」と「速さの計算の向き」の2つです。**P波=速い・小さいゆれ(初期微動)/S波=遅い・大きいゆれ(主要動)**を、地震計の波形(はじめ小さく、あとで大きく)とセットで覚えると混乱しません。計算でつまずくようなら、小5の速さ・道のり・時間に一度戻ると効果的です。「時間 = 距離 ÷ 速さ」の向きをおさえれば、震源距離も発生時刻も同じ道具で求められます。初期微動継続時間が震源距離に比例することは、走時グラフの2直線のすき間が遠いほど広がる、という図で見せてあげてください。

P波とS波——速さのちがう2つの波が、別々に届く。たったこれだけのことが、初期微動も、走時グラフも、緊急地震速報のしくみも、ぜんぶ同じ1つの考え方で説明できます。

📌 1分まとめ(声に出して読もう)

  • P波は速く伝わり、小さなゆれ(初期微動)を起こす。S波は遅く、大きなゆれ(主要動)を起こす。
  • 初期微動継続時間=S波が着くまでの時間 − P波が着くまでの時間。
  • 初期微動継続時間は、震源からの距離に比例して長くなる(遠いほど長い)。
  • 波の到達時間 = 距離 ÷ 速さ。地震は算数の速さそのもの。
  • 走時グラフは、P波・S波の到達を直線で表したもの。2本の直線のすき間が初期微動継続時間。

よくある質問

P波とS波のちがいは何ですか?

P波は速く伝わる波で、観測点に先に着いて小さなゆれ(初期微動)を起こします。S波は遅い波で、あとから着いて大きなゆれ(主要動)を起こします。どちらも震源から同時に出発しますが、速さがちがうため、観測点には必ずP波が先に届きます。

初期微動継続時間とは何ですか?どうやって求めるの?

初期微動継続時間とは、P波が着いてからS波が着くまでの時間のことです。「S波が着いた時刻−P波が着いた時刻」で求めます。たとえばP波が10時0分5秒、S波が10時0分20秒に着いたなら、20−5=15秒です。

なぜ震源から遠いほど、初期微動継続時間が長くなるの?

P波もS波も速さが一定なので、距離が2倍になると、どちらの波も着くまでの時間が2倍かかり、2つの時間の差(初期微動継続時間)も2倍になるからです。つまり初期微動継続時間は、震源からの距離に比例します。だから継続時間を測れば、逆に震源までの距離を求めることもできます。

震源までの距離や地震の発生時刻は、どうやって計算するの?

算数の速さの式「時間=距離÷速さ」を使います。たとえばP波の速さが秒速8kmで震源から120kmなら、着くまでの時間は120÷8=15秒。発生時刻は「P波の到達時刻−P波が着くまでにかかった時間」で求められます。地震の計算は、速さ(道のり÷時間)の考え方そのものです。

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