中学理科中学3年生化学

塩の種類と中和の化学反応式|名前のつけ方と反応式の書き方【中3理科】

中3理科の「塩(えん)」を図解します。中和でできる塩の名前のつけ方(酸の名前+金属の名前)、塩酸・硫酸・硝酸と水酸化ナトリウム・水酸化カリウム・水酸化カルシウムなど、組み合わせごとの中和の化学反応式の書き方(係数合わせ)、水にとける塩ととけない塩(硫酸バリウムなど)の見分け方まで、図と例題でやさしく解説します。

先に答え

塩(えん)とは、酸の陰イオンとアルカリの陽イオンが結びついた物質で、中和のときに水といっしょにできます。名前は「酸の名前」+「金属の名前」の順です(塩酸+水酸化ナトリウム→塩化ナトリウム)。中和の化学反応式は酸+アルカリ→塩+水の形で、HCl+NaOHNaCl+H2O\mathrm{HCl} + \mathrm{NaOH} \rightarrow \mathrm{NaCl} + \mathrm{H_2O} のように H+\mathrm{H^+}OH\mathrm{OH^-} の数がつり合うよう係数をつけます。

このページのゴール

中和でできる塩の名前のつけ方を理解し、酸とアルカリの組み合わせから中和の化学反応式を係数までかけるようになる。塩が水にとけるかとけないかを見分けられるようになる。

塩化ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸カルシウム——中和でできる塩(えん)には、いろいろな名前があります。じつは名前のつけ方には規則があり、反応式の係数にも決まった求め方があります。酸・アルカリと中和とはで「酸+アルカリ→塩+水」の形は確認ずみという前提で、このページでは塩の名前のつけ方いろいろな組み合わせの反応式に絞って整理します。

塩(えん)とは(まず結論)

やり方

  1. 塩(えん)酸の陰イオンアルカリの陽イオンが結びついた物質。
  2. 酸とアルカリが中和すると、水といっしょにできる酸 + アルカリ → 塩 + 水
  3. 組み合わせる酸・アルカリが変われば、できる塩の種類も変わる

たとえば塩酸と水酸化ナトリウムが中和すると、水といっしょに塩化ナトリウムができます。この「塩化ナトリウム」が塩の一例です。塩は食卓の塩(しお)だけを指す言葉ではなく、中和でできる物質全体の名前である点は、酸・アルカリと中和とはで確認したとおりです。

塩の名前のつけ方

塩の名前は、**「酸に由来する部分」+「金属(アルカリの陽イオン)の名前」**の順で決まります。

塩の名前 = 「酸に由来する部分」+「金属の名前」例:塩酸→「塩化」/硫酸→「硫酸」/硝酸→「硝酸」塩酸 + 水酸化カリウム→ 塩化カリウム硫酸 + 水酸化カリウム→ 硫酸カリウム硝酸 + 水酸化カルシウム→ 硝酸カルシウム酸のもとの陰イオン名がそのまま塩の前半に、金属の名前が後半になる酸と陰イオン名の対応:塩酸→塩化物イオン(塩化)/硫酸→硫酸イオン(硫酸)硝酸→硝酸イオン(硝酸) ※陰イオンの名前は電離の一覧表で確認できる

酸の名前と、できる陰イオンの名前は、電離とは(陽イオン・陰イオン一覧)で確認した「塩酸→塩化物イオン」「硫酸→硫酸イオン」「硝酸→硝酸イオン」という対応がそのまま使えます。金属の名前はイオンの名前と同じ(ナトリウム・カリウム・カルシウムなど)なので、覚えることは実質**「陰イオンの名前」の側だけ**です。

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セナ

「硫酸カリウム」って名前を見ても、硫酸と水酸化カリウムが中和してできたなんて、パッと思いつかないよ……。

ホクト先生のアイコン
ホクト先生

慣れないうちはそう感じるよね。でも名前を分解して読むクセをつけると簡単だよ。「硫酸カリウム」=「硫酸」+「カリウム」。だから「硫酸のもと(陰イオン)」と「カリウムのもと(陽イオン)」が結びついた塩、と読み解ける。逆に、酸とアルカリの名前がわかれば、組み合わせるだけで塩の名前が作れるんだ。

理解チェック1

中和の反応式の書き方(係数合わせ)

反応式の骨組みは、いつも同じです。

やり方

  1. 左に酸+アルカリ、右に塩+水を書く。
  2. 酸が出すH⁺の数アルカリが出すOH⁻の数が等しくなるように、係数をつける。
  3. 最後に、左右で原子の数が合っているかを確認する。

塩酸 HCl\mathrm{HCl} と水酸化ナトリウム NaOH\mathrm{NaOH} のように、どちらも1個で H⁺・OH⁻ を1個ずつ出す組み合わせは係数なしでつり合います。

HCl+NaOHNaCl+H2O\mathrm{HCl} + \mathrm{NaOH} \rightarrow \mathrm{NaCl} + \mathrm{H_2O}

問題は、硫酸のように H⁺ を2個出す酸が出てくるときです。硫酸 H2SO4\mathrm{H_2SO_4} 1個は H⁺ を2個出すので、水酸化カリウム KOH\mathrm{KOH}(OH⁻ を1個ずつ出す)は2個必要になります。

硫酸 H₂SO₄ 1個H⁺ が 2個ぶん(電離:2H⁺ + SO₄²⁻)水酸化カリウム KOH2個で OH⁻ が2個ぶん(1個につきOH⁻ 1個)H₂SO₄ + 2KOH → K₂SO₄ + 2H₂OH⁺2個 と OH⁻2個が過不足なく結びつく

同じように、水酸化カルシウム Ca(OH)2\mathrm{Ca(OH)_2} のようにOH⁻を2個出すアルカリでは、酸のほうを2個そろえます。

2HCl+Ca(OH)2CaCl2+2H2O2\mathrm{HCl} + \mathrm{Ca(OH)_2} \rightarrow \mathrm{CaCl_2} + 2\mathrm{H_2O}

コツ

係数を決めるコツは1つだけ。「H⁺の合計」と「OH⁻の合計」を、まず数で数えることです。硫酸やカルシウムの水酸化物のように、1個で2個ぶんのイオンを出す物質が出てきたら要注意。化学反応式のつくり方で練習した「左右で原子の数をそろえる」考え方が、そのままここでも使えます。

理解チェック2

塩は全部水にとける?(沈殿する塩)

多くの塩は水にとけたままですが、一部の塩は水にとけずに白い沈殿になります。

コツ

化学式水へのとけ方
塩化ナトリウムNaCl\mathrm{NaCl}とける
塩化カリウムKCl\mathrm{KCl}とける
硝酸ナトリウムNaNO3\mathrm{NaNO_3}とける
硫酸カリウムK2SO4\mathrm{K_2SO_4}とける
塩化カルシウムCaCl2\mathrm{CaCl_2}とける
硫酸バリウムBaSO4\mathrm{BaSO_4}とけない(白い沈殿)

中学理科で登場する塩のほとんどは水にとけますが、硫酸バリウムは代表的な例外です。硫酸と水酸化バリウムを中和すると、水にとけない硫酸バリウムがその場で白くにごって出てきます。とける塩ととけない塩のちがいが、水溶液中の電流にどう関わるかは、中和の計算とグラフの実験例でくわしく確かめられます。

理解チェック3

よくある間違い

よくある間違い

まちがい

硫酸 H2SO4\mathrm{H_2SO_4} と水酸化カリウム KOH\mathrm{KOH} の反応式を、係数なしで H₂SO₄ + KOH → K₂SO₄ + H₂O と書いてしまう

正しい

硫酸は H⁺を2個 出すので、KOHは2個必要。H₂SO₄ + 2KOH → K₂SO₄ + 2H₂O

もう1つ多いのが、塩の名前を「金属の名前が先」と思いこみ、「カリウム硫酸」のように語順を逆にしてしまうミスです。日本語の塩の名前は、「酸に由来する部分」が先、「金属の名前」があと——硫酸カリウム、塩化ナトリウムのように、この順番で固定です。

やってみよう(練習問題)

やってみよう①(基本:塩の名前)

次の酸とアルカリが中和してできる塩の名前を答えましょう。

  1. 硝酸 と 水酸化ナトリウム
  2. 塩酸 と 水酸化カルシウム
答えと解説を見る
  1. 硝酸ナトリウム(硝酸イオン+ナトリウムイオン)。
  2. 塩化カルシウム(塩化物イオン+カルシウムイオン)。

やってみよう②(標準:反応式を書く)

次の中和の化学反応式を、係数までふくめて書きましょう。

  1. 塩酸 HCl\mathrm{HCl} と 水酸化カルシウム Ca(OH)2\mathrm{Ca(OH)_2}
  2. 硝酸 HNO3\mathrm{HNO_3} と 水酸化ナトリウム NaOH\mathrm{NaOH}
答えと解説を見る
  1. 2HCl+Ca(OH)2CaCl2+2H2O2\mathrm{HCl} + \mathrm{Ca(OH)_2} \rightarrow \mathrm{CaCl_2} + 2\mathrm{H_2O}(Ca(OH)₂はOH⁻を2個出すので、HClを2個そろえる)。
  2. HNO3+NaOHNaNO3+H2O\mathrm{HNO_3} + \mathrm{NaOH} \rightarrow \mathrm{NaNO_3} + \mathrm{H_2O}(どちらもH⁺・OH⁻を1個ずつ出すので係数なし)。

やってみよう③(応用:とけ方を判断する)

塩化カルシウム CaCl2\mathrm{CaCl_2} について答えましょう。

  1. この塩は、塩酸と何のアルカリが中和してできますか。
  2. この塩は水にとけますか、とけずに沈殿しますか。理由もあわせて答えなさい。
答えと解説を見る
  1. 水酸化カルシウム(塩酸+水酸化カルシウム→塩化カルシウム+水)。
  2. 水にとける。 塩化カルシウムは硫酸バリウムのような例外にはあたらず、塩化ナトリウムなどと同じく水にとけたままの塩だから。

おうちの方へ

この単元でお子さんが止まりやすいのは、①塩の名前の語順(酸に由来する部分が先、金属の名前があと)、②係数のつけ方(H⁺とOH⁻の合計を先に数える)の2か所です。名前は「硫酸カリウム=硫酸+カリウム」のように分解して読むクセをつけさせると定着します。反応式は、硫酸や水酸化カルシウムのように1個で2個ぶんのイオンを出す物質が出てきたときにミスが集中するので、「H⁺は何個、OH⁻は何個」と声に出して数えさせるのが近道です。中和のしくみそのものがあやふやなら酸・アルカリと中和とはに、量やグラフの計算は中和の計算とグラフに、それぞれ一度戻ってあげてください。

塩の名前は「酸の名前+金属の名前」、反応式の係数は「H⁺とOH⁻の数をそろえる」——この2つのルールさえ押さえれば、どんな酸とアルカリの組み合わせでも、できる塩と反応式を自分で組み立てられます。

次はダニエル電池と金属のイオン化傾向で、金属がイオンに「なりやすさ」を電池のしくみに応用してみましょう。

📌 1分まとめ(声に出して読もう)

  • 塩(えん)=酸の陰イオンアルカリの陽イオンが結びついた物質。中和で水といっしょにできる。
  • 塩の名前は「酸の名前」+「金属の名前」の順(例:塩化ナトリウム、硫酸カリウム)。
  • 中和の化学反応式は酸+アルカリ→塩+水の形。H⁺とOH⁻の数がつり合うように係数をつける。
  • 塩の多くは水にとけるが、硫酸バリウムなど一部はとけずに白い沈殿になる。
  • 同じ酸・アルカリでも、組み合わせる相手がちがえばできる塩の名前も反応式の係数も変わる

よくある質問

塩(えん)とは何ですか?

塩とは、酸の陰イオンとアルカリの陽イオンが結びついてできる物質です。中和(酸+アルカリ→塩+水)が起きたとき、水といっしょにできます。たとえば塩酸と水酸化ナトリウムが中和すると、水と塩化ナトリウム(塩の一種)ができます。「塩」は食卓の塩(しお)だけを指す言葉ではなく、中和でできる物質全体を指す名前です。

塩の名前は、どうやって決まるのですか?

塩の名前は「酸に由来する部分」+「金属(アルカリの陽イオン)の名前」の順で決まります。塩酸(塩化物イオン)なら「塩化」、硫酸(硫酸イオン)なら「硫酸」、硝酸(硝酸イオン)なら「硝酸」が先に来て、そのあとにナトリウム・カリウム・カルシウムなど金属の名前が続きます。たとえば塩酸と水酸化カリウムが中和すると、塩化+カリウムで「塩化カリウム」になります。

中和の化学反応式で、係数はどうやって決めますか?

酸が出す水素イオンH⁺の数と、アルカリが出す水酸化物イオンOH⁻の数がぴったり等しくなるように係数を決めます。たとえば硫酸H2SO4は1つでH⁺を2個出すので、水酸化カリウムKOH(OH⁻を1個ずつ出す)は2個必要です。だから反応式はH2SO4+2KOH→K2SO4+2H2Oになります。書き終えたら、左右で原子の数が合っているかも必ず確認しましょう。

塩には、水にとけるものととけないものがあるのはなぜですか?

塩の種類によって、水の中でイオンのまま安定していられるか、イオンどうしが強く結びついて固体にもどってしまうかがちがうからです。塩化ナトリウムや塩化カリウムなど多くの塩は水にとけたままですが、硫酸バリウムのように水にとけにくい塩は、できた瞬間に白い沈殿として出てきます。どの塩がとけにくいかは、中学理科では代表的な例(硫酸バリウムなど)を覚えておくのが実用的です。

この単元でつまずいたとき、家庭でできること

  1. 酸・アルカリと中和とは(中3理科)に戻る
    つまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
  2. 説明役を、外部にまかせる
    教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。
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