中学理科中学3年生物理
水中の物体にはたらく力の作図|浮力と重力を矢印でかく【中3理科】
中3理科「水中の物体にはたらく力の作図」を図でやさしく。水に入れても重力の矢印が短くならない理由、重力・浮力・糸が引く力・垂直抗力の作用点の打ち方、糸でつるす/底に沈む/浮いて静止/沈んでいく途中の4場面の描き分け、水圧の矢印を面に垂直・深いほど長くかくルールまで、減点されない作図の手順が身につきます。
水中の物体にはたらく力は、まず重力(下向き)と浮力(上向き)の 本で、作用点はどちらも物体の中心です。水に入れても重力は変わらないので矢印を短くしてはいけません。上向きの浮力が加わるだけです。さらに糸でつるすなら糸が引く力(作用点は糸のつけ根)、底に沈むなら垂直抗力(作用点はふれている面)を足します。静止しているときは上向きと下向きの矢印の長さの合計が等しくなります。
◎このページのゴール
水中の物体にはたらく力を、作用点・向き・長さをそろえて矢印でかけるようになり、糸でつるす・底に沈む・浮いて静止・沈んでいく途中の4つの場面を描き分けられるようになる。
浮力の大きさは計算できるのに、「力を矢印でかきなさい」と言われたとたんに手が止まる——中3理科でとても多いつまずきです。
でも作図は、覚えることがいちばん少ない問題です。
決まっているのは「どの力をかくか」「どこから引くか」「どれだけの長さにするか」の3つだけ。
この3つを場面ごとに整理すれば、水中の作図はすべて同じ手順で解けます。
どこでつまずいた?
あてはまるものをタップ。そこから読むと近道です。
作図の手順は3ステップ(まず結論)
水中の物体の作図は、次の3ステップで必ず解けます。
→やり方
- はたらく力を書き出す。 水中の物体には、重力(下)と浮力(上)が必ずはたらく。そのうえで、ふれているものがあれば1本足す(糸なら糸が引く力、水そうの底なら垂直抗力)。
- 作用点に点(●)を打つ。 重力と浮力は物体の中心。糸が引く力は糸のつけ根、垂直抗力はふれている面。
- 長さをそろえる。 「1目もり=◯N」と決めて、その比のとおりに長さをかく。静止しているなら、上向きの矢印の長さの合計=下向きの矢印の長さ。
いちばん大事なのはステップ1です。
「何本かくか」を先に決めてしまえば、あとは向きと長さを当てはめるだけになります。
矢印の「作用点・向き・大きさ」という三要素そのものは中1で学びます。
書き方があやふやなら、力のはたらきと2力のつり合い(中1理科)に一度戻ると早いです。
✓長さをそろえるのは算数の「縮尺」と同じ
「1目もり= N」と決めたら、 N の力は で3目もり分。
地図で「1cmが2km」と決めて長さを写しとるのと、まったく同じ考え方です。
比の感覚があやしいときは、縮尺(小6算数)に戻ると、作図の長さで迷わなくなります。
✓理解チェック1
水に入れても、重力の矢印は短くならない
このページでいちばん減点されるのがここです。
水に入れた物体は軽く感じます。
そのため「水中では重力が小さくなる」と思いこみ、重力の矢印を短くかいてしまう答案がとても多いのです。
?どうして?
重力は、地球が物体を引く力です。
物体が空気中にあっても水中にあっても、地球が引く力の大きさは変わりません。
つまり、重力の矢印の長さは、空気中でかいたときと同じ。
水中で軽く感じるのは、重力が減ったからではなく、上向きの浮力が新しく加わったからです。

ばねばかりの目もりが N から N に減っても、減ったのは「糸が引く力」であって、重力ではありません。
作図では、重力の矢印はそのままの長さで残し、上向きの矢印を足す——この順番を守れば間違えません。
でも、水の中だと軽いんだから、重力も小さくなってる気がする…!
いい感覚だよ。でも「軽い」と感じているのは、手や糸にかかる力なんだ。
地球が物体を引く力そのものは、まわりが空気だろうと水だろうと変わらない。
水の中では、そこに上向きの浮力という別の力が加わるから、手や糸が受けもつぶんが減る。
つまり重力の矢印はそのまま、上向きの矢印が1本ふえる。作図はこう考えれば、ぜんぶ同じやり方でかけるよ。
✓理解チェック2
場面別の描き分け(4パターン)
かく矢印の本数は、物体が何にふれているかで決まります。
まずは、静止していて力が3本になる2つの場面から見ていきましょう。

①と②は、上を支えているものが「糸」から「水そうの底」に変わっただけです。
支える力の名前は変わっても、「上向きの合計=下向き」という関係は同じ。
だから作図の手順も、まったく同じでかまいません。
✓矢印が重なって見づらいときは
重力・浮力の作用点はどちらも物体の中心ですが、上向きの矢印どうしが重なって見にくくなることがあります。
そのときは、少し横にずらしてかいて大丈夫です(上の②の図でも、垂直抗力を右へずらしてあります)。
大事なのは向きと長さで、そこがそろっていれば作図として成立します。
次は、支えるものが無く、力が2本になる場面です。

静止しているかどうかを、矢印の長さで表す——これが作図の採点ポイントです。
浮いて静止しているのに矢印の長さがちがっていたら、その時点で不正解になります。
✓理解チェック3
水圧の矢印は「面に垂直・深いほど長く」
「物体にはたらく力」とは別に、水圧の矢印をかきなさいという問題もよく出ます。
こちらはルールが3つだけです。

水圧の矢印は、物体を外から押している力です。
ですから矢印は、水のほうから面に向かって引きます。
そして深いところほど水圧が大きいので、下の面の矢印がいちばん長くなります。
左右の面は同じ深さどうしで打ち消し合うため、残るのは下面と上面の差。
これが上向きの力=浮力の正体で、くわしくは水圧と浮力(中3理科)で扱っています。
✓理解チェック4
よくある間違い
✕よくある間違い
水に入れたら軽くなったので、重力の矢印を短くかく
重力は水中でも変わらないので同じ長さのまま。上向きの浮力の矢印を足す
作図でよく減点されるのは、あと3つあります。
① 作用点の●を打ち忘れる。 矢印の根もとに点がないと、「どこにはたらく力か」が示せていない答案になります。
② 浮力を水面や水そうの底から引く。 浮力は物体が受ける力なので、作用点は物体の中心です。水のほうから引かないようにしましょう。
③ 静止しているのに矢印の長さがバラバラ。 「上向きの合計=下向き」になっていない図は、静止していることを表せていません。かき終わったら、必ず長さを見直します。
やってみよう(練習問題)
やってみよう①(基本:何本かける?)
次の場面で、物体にはたらく力を矢印でかくと何本になりますか。力の名前も答えましょう。
- ばねばかりにつるした物体を、水中で静止させた。
- 物体が水そうの底に沈んで静止している。
- 発泡スチロールが水に浮いて静止している。
答えと解説を見る
- 3本(重力・浮力・糸が引く力)。
- 3本(重力・浮力・垂直抗力)。
- 2本(重力・浮力)。支えているものが無いので、この2本だけです。
水中の物体には重力と浮力が必ずはたらき、ふれているものがあれば1本ふえる、と考えます。
やってみよう②(標準:矢印の長さを決める)
空気中で N の物体があります。この物体を糸でつるして水中に入れると、ばねばかりは N を示しました。
- この物体にはたらく浮力は何 N ですか。
- 作図でかく重力の矢印は、何 N 分の長さにしますか。
- 1目もりを N とすると、糸が引く力の矢印は何目もり分になりますか。
答えと解説を見る
- → 3 N。ばねばかりの読みが減ったぶんが浮力です。
- 8 N 分。水に入れても重力は変わらないので、空気中と同じ長さでかきます。
- 糸が引く力=ばねばかりの読み= N なので、5目もり分。
確かめ:上向き(浮力 + 糸 )= = 下向き(重力 )。静止しているので、ちゃんとつり合っています。
やってみよう③(応用:記述で説明する)
授業で、次のような答案がありました。まちがいを指摘し、理由を説明しましょう。
- 「水中に入れると軽くなるので、重力の矢印を空気中より短くかいた。」
- 「浮力は水が押し上げる力なので、水そうの底から物体に向かって矢印をかいた。」
- 水そうの底に沈んで静止した物体(重力 N、浮力 N)について、「垂直抗力は重力と同じ N なので、 N 分の長さでかいた。」
答えと解説を見る
-
重力の矢印の長さは変えてはいけない。 (例)「重力は地球が物体を引く力で、水中でも大きさは変わらないから。軽く感じるのは、上向きの浮力が新しく加わったためである。」
-
作用点がまちがい。 (例)「浮力は物体が受ける力なので、作用点は物体の中心にとり、そこから真上向きにかく。水そうの底から引くのはまちがいである。」
-
垂直抗力は 4 N。 上向きは垂直抗力と浮力の2本で、静止しているので合計が N。よって で 4 N 分の長さになります。浮力を数え忘れると、この間違いが起こります。
家おうちの方へ
このページのつまずきは、ほぼ1点に集中します。「水に入れると重力が小さくなる」という思いこみです。ばねばかりの目もりが減るので無理もないのですが、減っているのは糸が引く力で、重力そのものは変わりません。ここは「重力の矢印は消しゴムで直さない。上向きの矢印を1本足すだけ」と、手の動きで覚えさせると定着します。
もう1つは、力の本数を数え落とすことです。「水中の物体には重力と浮力が必ずある。そのうえで、ふれているもの(糸・水そうの底)があれば1本ふえる」という順番を口に出させてください。底に沈んだ物体で浮力を数え忘れ、垂直抗力を重力と同じ大きさにしてしまう答案が非常に多いところです。
長さをそろえる作業は、算数の縮尺(小6算数)そのものです。「1目もりが何Nか」を先に決めてから長さを写しとる、という順番が身についていない場合は、そちらに一度戻ると作図が安定します。土台になる浮力のしくみは水圧と浮力、力の三要素とつり合いの条件は力のはたらきと2力のつり合い(中1理科)で確認できます。
水中の物体には、まず重力と浮力の2本。ふれているものがあれば1本ふえる。
重力の矢印は水に入れても短くしない。
静止しているなら、上向きの合計と下向きの長さをそろえる。
——この3つを守るだけで、水中の作図はすべて同じ手順でかけるようになります。
📌 1分まとめ(声に出して読もう)
- 水中の物体にはたらく力は、まず重力(下)と浮力(上)の2本。作用点はどちらも物体の中心。
- 水に入れても重力は変わらない。矢印を短くしてはいけない。上向きの浮力が加わるだけ。
- 糸でつるす→+糸が引く力(作用点は糸のつけ根)、底に沈む→+垂直抗力(作用点はふれている面)。
- 静止しているなら、上向きの矢印の長さの合計=下向きの矢印の長さになるようにかく。
- 浮いて静止=浮力と重力が同じ長さ。沈んでいく途中=重力のほうが長い。
- 水圧の矢印は面に垂直・深いほど長く。同じ深さの左右は同じ長さで打ち消し合う。
よくある質問
水中の物体にはたらく力の作図では、矢印を何本かけばよいですか?
場面で決まります。糸でつるして水中で静止しているときは、重力・浮力・糸が引く力の3本。水そうの底に沈んで静止しているときは、重力・浮力・垂直抗力の3本。水に浮いて静止しているときと、手をはなして沈んでいく途中は、重力・浮力の2本です。水中にある物体には、どの場面でも重力と浮力が必ずはたらくので、まずこの2本をかき、ふれているもの(糸・水そうの底)があればその力を足す、という順番で考えます。
水に入れると、重力の矢印は短くなりますか?
いいえ、短くなりません。重力は地球が物体を引く力で、水に入れても大きさは変わらないからです。作図では、空気中でかいた重力の矢印とまったく同じ長さのままにします。水中で軽く感じるのは、重力が小さくなったからではなく、上向きの浮力が新しく加わって重力の一部を打ち消しているためです。ばねばかりの目もりが減るのも同じ理由で、目もりが示しているのは重力ではなく、糸が引く力です。
重力と浮力の矢印は、どこを作用点にしてかきますか?
どちらも物体の中心を作用点にして、そこに黒い点を打ち、そこから矢印を引きます。重力は真下(鉛直下向き)、浮力は真上(鉛直上向き)です。浮力を水面や水そうの底から引くのはまちがいです。一方、糸が引く力の作用点は糸と物体がつながっている点、垂直抗力の作用点は物体がふれている面になります。物体全体にはたらく力は中心から、ふれてはたらく力はふれている場所から、と覚えると迷いません。
水圧の矢印はどうかけばよいですか?
物体の面に垂直に、面を押す向きにかきます。水圧は深いところほど大きいので、深い位置にある面の矢印ほど長くします。同じ深さにある左右の面の矢印は同じ長さになり、たがいに打ち消し合います。上面の下向きの矢印より、下面の上向きの矢印のほうが長くなり、その差が上向きの力として残ります。これが浮力の正体です。矢印を面に平行にかいたり、上面の矢印をかき忘れたりするのが、よくある減点の原因です。
この単元でつまずいたとき、家庭でできること
- 水圧と浮力(中3理科)に戻るつまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
- 説明役を、外部にまかせる教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。