直角三角形の合同条件(斜辺と鋭角・斜辺と他の1辺)
直角三角形の合同条件とは、直角三角形どうしが合同といえるための2つの条件のこと。中2数学のこの単元では「斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい」「斜辺と他の1辺がそれぞれ等しい」の2つを、ふつうの三角形の合同条件3つとの使い分けや、なぜ2つの情報だけで決まるのかを図でやさしく解説。証明での書き方まで身につきます。
直角三角形の合同条件は、1斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい、2斜辺と他の1辺がそれぞれ等しいの2つです。どちらも斜辺(直角の向かい側の、いちばん長い辺)が等しいことが必要で、そこにもう1つ「鋭角」か「他の1辺」が加われば合同といえます。ふつうの三角形なら3つの情報が必要ですが、直角三角形は「直角が で等しい」という情報を最初から1つ持っているため、2つで足ります。
◎このページのゴール
直角三角形の合同条件2つを理解し、ふつうの合同条件と使い分けて証明に使えるようになる。
三角形の合同条件は3つありましたが、直角三角形のときだけ使える特別な条件が2つあります。情報が少なくてすむので、証明がぐっと短くなります。
どこでつまずいた?
あてはまるものをタップ。そこから読むと近道です。
直角三角形の合同条件(2つ)
2つの直角三角形が合同といえるのは、次のどちらか1つが成り立つときです。
→直角三角形の合同条件
① 斜辺と1つの鋭角が、それぞれ等しい
② 斜辺と他の1辺が、それぞれ等しい
どちらにも「斜辺」が入っていることに注目してください。斜辺が等しくないときは、この2つの条件は使えません。
斜辺はどこの辺?
斜辺とは、直角の向かい側にある辺のことです。直角三角形の3つの辺の中で、いちばん長い辺になります。
✓理解チェック1
なぜ2つの条件だけで合同といえるの?
ふつうの三角形は、形と大きさが1つに決まるのに3つの情報が必要でした。ところが直角三角形は、「直角が で等しい」という情報を最初から1つ持っています。
つまり直角三角形の合同条件は、**「1つ分をすでに持っているから、2つで足りる」**というだけのことです。新しい難しい決まりが増えたわけではありません。
条件①「斜辺と1つの鋭角」は、じつは**「1組の辺とその両端の角」の言いかえです。直角が とわかっていて、鋭角も1つわかれば、三角形の内角の和 から3つ目の角も自動的に決まる**からです。
いっぽう条件②「斜辺と他の1辺」は、ふつうの条件では言いかえられません。この2辺がはさむ角は直角ではないので、「2組の辺とその間の角」にはあてはまらないからです。だからこそ、直角三角形だけの特別な条件として用意されています。
✓理解チェック2
ふつうの合同条件との使い分け
直角三角形も三角形の仲間なので、ふつうの合同条件3つもそのまま使えます。どちらを使ってもよいので、そろっている情報で選びます。
| 見えている情報 | 使う条件 |
|---|---|
| 斜辺 + 鋭角1つ | 直角三角形①(斜辺と1つの鋭角) |
| 斜辺 + 斜辺以外の辺1つ | 直角三角形②(斜辺と他の1辺) |
| 直角をはさむ2辺 | ふつう②(2組の辺とその間の角) |
| 3つの辺すべて | ふつう①(3組の辺) |
斜辺が出てきたら直角三角形の条件、斜辺が出てこないならふつうの条件、と覚えると迷いません。
直角をはさむ2辺が等しいときは、直角三角形の条件は使えないんですか?
そのとおり。直角三角形の条件はどちらも斜辺が必要だからね。でもそのときは、はさんでいる角がちょうど直角で等しいから、ふつうの「2組の辺とその間の角」がぴったり使えるよ。どちらかの条件が必ず使えるようになっているんだ。
証明での書き方
書き方はふつうの合同の証明と同じで、最後に使った条件の名前を書くところだけが変わります。
→証明の型(3ステップ)
① 「ABC と DEF において」と、比べる2つを宣言する
② 直角であること・斜辺が等しいこと・もう1つの条件を順に書く
③ 「直角三角形の斜辺と他の1辺がそれぞれ等しいので ABC DEF」と結ぶ
②で**「直角三角形である」とはっきり書くのを忘れない**でください。直角三角形だと示していないのに直角三角形の条件を使うと、証明として認められません。
✓理解チェック3
✕よくある間違い
いちばん多いのは、斜辺かどうかを確かめずに使ってしまうことです。「2つの辺が等しいから直角三角形の条件が使える」としてしまうと、その2辺が両方とも直角をはさむ辺だったときに成り立ちません。必ず片方が斜辺である必要があります。
次に多いのが、「斜辺と他の1辺」を「2組の辺とその間の角」と書いてしまうミスです。斜辺と他の1辺がはさむ角は直角ではないので、この言いかえはできません。
もう1つ、証明で「直角三角形である」と書き忘れるのも減点されやすいところです。直角であることを示してから条件の名前を出しましょう。
やってみよう
問1 直角三角形の合同条件を2つ、正しく書きましょう。
答えと解説を見る
①斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい ②斜辺と他の1辺がそれぞれ等しい
どちらにも「斜辺」が入っている点がポイントです。
問2 C F の ABC と DEF があり、AB DE、A D です。合同といえますか。使った条件も書きましょう。
答えと解説を見る
合同といえる。 条件は「直角三角形の斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい」。
AB は C(直角)の向かい側なので斜辺です。斜辺 AB DE と、鋭角 A D がそれぞれ等しいので、条件①にあてはまります。
問3 C F で、AC DF、BC EF のとき、どの条件を使いますか。
答えと解説を見る
「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい」(ふつうの合同条件) を使います。
AC と BC はどちらも直角をはさむ辺で、斜辺が出てきていないので直角三角形の条件は使えません。かわりに、この2辺がはさむ角がちょうど C F で等しいので、ふつうの条件がそのまま使えます。
家おうちの方へ
直角三角形の合同条件は、ふつうの3条件を覚えたあとに出てくるので「また増えた」と負担に感じがちですが、**新しい決まりではなく「直角のぶんを1つ差し引いた省略形」**だと伝えると納得しやすくなります。つまずきの定番は2つで、①斜辺かどうかを確かめずに使ってしまう、②「斜辺と他の1辺」をふつうの「2組の辺とその間の角」と混同する、です。「斜辺が出てきたら直角三角形の条件、出てこなければふつうの条件」という選び方を口に出して確認させると、証明の書き出しで迷わなくなります。
これで、三角形の合同はふつうの3条件と直角三角形の2条件がそろいました。次は四角形——平行四辺形の性質を、この合同を使って証明していきます。
📌 1分まとめ(声に出して読もう)
- 直角三角形の合同条件は2つ(ふつうの三角形は3つ)。
- ①斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい。
- ②斜辺と他の1辺がそれぞれ等しい。
- どちらも斜辺が等しいことが必ず要る。斜辺=直角の向かい側の辺。
- 使えるのは2つとも直角三角形のときだけ。ふつうの合同条件3つも引き続き使える。
よくある質問
直角三角形の合同条件は何ですか?
①斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい、②斜辺と他の1辺がそれぞれ等しい、の2つです。どちらも斜辺が等しいことが必要で、斜辺とは直角の向かい側にある、いちばん長い辺のことです。
なぜ直角三角形だけ2つの条件で合同といえるの?
直角三角形は「直角が90°で等しい」という情報をはじめから1つ持っているからです。ふつうの三角形は3つの情報がそろって形が1つに決まりますが、直角三角形はそのうち1つがすでに決まっているので、残り2つで足ります。
斜辺とはどこの辺ですか?
直角の向かい側にある辺のことで、直角三角形の3辺の中でいちばん長い辺です。直角をはさむ2つの辺は斜辺ではありません。直角三角形の合同条件はどちらも斜辺を使うので、まず斜辺がどこかを確かめるのが第一歩です。
「斜辺と他の1辺」は、ふつうの合同条件の「2組の辺とその間の角」と同じですか?
ちがいます。斜辺と他の1辺がはさむ角は直角ではないので、「2組の辺とその間の角」にはあてはまりません。だからこそ直角三角形だけの特別な条件として用意されています。ここを混同して、ふつうの合同条件で証明を書いてしまうのがよくある間違いです。
直角三角形でも、ふつうの合同条件3つを使っていいですか?
使えます。直角三角形もふつうの三角形の仲間なので、3組の辺/2組の辺とその間の角/1組の辺とその両端の角のどれでも使えます。ただし条件がそろっているなら、直角三角形の合同条件のほうが必要な情報が少なくてすむので、証明が短くなります。
「斜辺と1つの鋭角」の鋭角は、どちらの角でもいいですか?
どちらでもかまいませんが、2つの三角形で対応する位置の鋭角どうしを比べます。直角三角形は直角が90°で、残り2つの角の和も90°なので、片方の鋭角が決まればもう片方も自動的に決まります。
この単元でつまずいたとき、家庭でできること
- 三角形の合同条件に戻るつまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
- 説明役を、外部にまかせる教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。