文字式の利用(偶数・奇数や連続する整数の説明)
「連続する3つの整数の和はいつでも3の倍数」のような性質を、文字式で説明(証明)する方法をやさしく解説。偶数2n・奇数2n+1の表し方から、文字でおく→計算→◯×整数の形にする、という説明の型まで、図と例題でしっかりわかります。
◎このページのゴール
整数の性質(偶数・奇数、連続する整数、2けたの数など)を文字で表し、文字式を使って「いつでも成り立つ理由」を説明できるようになる。
「連続する3つの整数の和は、いつも3の倍数になる」——これ、本当でしょうか。1+2+3=6、10+11+12=33… たしかに全部3の倍数。でも「いくつか試した」だけでは「いつでも」とは言えません。そこで活躍するのが文字式。数を文字でおいてしまえば、たった1本の式で「どんな数でも成り立つ」ことを説明できます。
どこでつまずいた?
あてはまるものをタップ。そこから読むと近道です。
まず「数を文字で表す」
説明の出発点は、調べたい数を文字で表すこと。いちばん大事なのは「n は整数とことわる」ことです。
→やり方
- 偶数は 2n(2でわり切れる=2の倍数だから)。
- 奇数は 2n+1(偶数より1大きい。2n−1 でもよい)。
- 連続する3つの整数は n, n+1, n+2(1ずつ大きくなる)。
- 2けたの自然数は 10a+b(a が十の位、b が一の位)。
たとえば n=3 なら、偶数 2n=6、奇数 2n+1=7。n=10 なら 2n=20、2n+1=21。n にどんな整数を入れても、ちゃんと偶数・奇数になります。
✓コツ
かならず「n は整数」とことわること。これを書かないと、n=1.5 のとき 2n=3(奇数)になってしまい、「偶数」とは言えなくなります。「n は整数」と決めるから、2n が偶数だと言いきれるのです。
説明(証明)の「型」を覚える
文字式の説明には、いつも同じ**型(流れ)**があります。この4ステップに沿って書けば、論理が飛びません。
→やり方
- 文字でおく(「n は整数とする」など、何を文字にしたか宣言)。
- 式を作って計算する(たし算・分配法則などで整理)。
- 「◯×整数」などの形に変形する(3( )、2( )、11( ) のように、くくり出す)。
- 「だから〜が言える」と結ぶ(◯の倍数・偶数 などの結論)。
ポイントは③です。3n+3 で止めず、3×(整数) の形まで変形しきること。3(n+1) まで書いて、はじめて「3の倍数」と言えます。
例題1:連続する3つの整数の和は3の倍数
「連続する3つの整数の和は、いつでも3の倍数になる」ことを説明しましょう。
?どうして?
①文字でおく:いちばん小さい整数を n とすると、連続する3つの整数は n, n+1, n+2(n は整数)。
②式を計算:その和は
n+(n+1)+(n+2)=3n+3
③「◯×整数」の形にする:3n+3 を 3 でくくると、
3n+3=3(n+1)
④結論:n は整数だから n+1 も整数。3×(整数) なので、この和はいつでも3の倍数です。
なぜ「3×整数」になると3の倍数?(図で見る)
下の図のように、3つの数 n, n+1, n+2 は、まん中の n+1 を基準にすると「−1」「ぴったり」「+1」。−1 と +1 が打ち消し合うので、和は (n+1) がちょうど3つ分= 3(n+1) になります。
✓コツ
具体的な数で確かめると安心です。n=10 なら 10+11+12=33=3×11。n=4 なら 4+5+6=15=3×5。たしかにいつも「3×整数」になっています。
✓理解チェック①
例題2:偶数+偶数、奇数+奇数
つぎは偶数・奇数の和。2つの数は別べつなので、文字も別べつ(m と n)にするのがコツです。
偶数+偶数=偶数
?どうして?
①文字でおく:2つの偶数を 2m, 2n とする(m, n は整数)。
②計算→③くくる:
2m+2n=2(m+n)
m+n は整数だから、2×(整数)。だから偶数+偶数は、いつでも偶数です。確かめ:m=3, n=5 で 6+10=16=2×8 ◎。
奇数+奇数=偶数
?どうして?
①文字でおく:2つの奇数を 2m+1, 2n+1 とする(m, n は整数)。
②計算→③くくる:
(2m+1)+(2n+1)=2m+2n+2=2(m+n+1)
m+n+1 は整数だから、2×(整数)。だから奇数+奇数は、いつでも偶数になります。確かめ:m=2, n=3 で 5+7=12=2×6 ◎。
✕よくある間違い
ここで両方を同じ文字 n にしてはいけません。2n+2n=4n だと「同じ偶数どうしの和」になってしまい、「ちがう2つの偶数」を説明したことになりません。ちがう数は、ちがう文字でおきます。
例題3:2けたの数と入れかえた数の和
2けたの自然数は、十の位を a、一の位を b として 10a+b と表します(位ごとに分けるのがコツ)。たとえば 27 なら a=2, b=7 で 10×2+7=27 です。
この2けたの数と、十の位と一の位を入れかえた数 10b+a の和は、いつでも11の倍数になります。
?どうして?
①文字でおく:もとの数を 10a+b、入れかえた数を 10b+a とする(a, b は1けたの自然数)。
②計算→③くくる:
(10a+b)+(10b+a)=11a+11b=11(a+b)
a+b は整数だから、11×(整数)。だから、この和はいつでも11の倍数です。確かめ:27+72=99=11×9、13+31=44=11×4 ◎。
セナ 例題1〜3って、ぜんぶ似てる気がする…! やってること同じ?
ホクト先生 いいところに気づいたね。どれも「①文字でおく→②計算→③◯×整数の形にする→④だから〜」の同じ型なんだ。3の倍数なら 3( )、偶数なら 2( )、11の倍数なら 11( )。くくり出す数が結論を決めるんだよ。
セナ なるほど! ③でくくりきるのが大事なんだね。3n+3 で止めたら、まだ「3の倍数」って言えないんだ。
ホクト先生 そのとおり。3n+3 だと見た目は3の倍数っぽくないでしょ? 3(n+1) まで変形して、はじめて「3が3つ分くくり出せた=3の倍数」とハッキリ言えるんだ。
✓理解チェック②
✕よくある間違い
説明問題でよくある3つのミスを先回りします。
❌ 「n は整数」と書かない → n=1.5 なら 2n=3 で奇数になってしまう。⭕ かならず「n は整数とする」とことわる。
❌ 奇数を 2n と書く → 2n は偶数。⭕ 奇数は 2n+1(または 2n−1)。
❌ 3n+3 で答えを止める → これでは3の倍数と言いきれない。⭕ 3(n+1) まで変形して「3×整数」の形にする。
やってみよう(練習問題)
✏️ やってみよう①(基本:数を文字で表す)
n は整数とします。次の数を文字で表しましょう。
- 偶数
- 奇数
- 連続する3つの整数(いちばん小さい数を n とする)
- 十の位が a、一の位が b の2けたの自然数
答えと解説を見る
- 2n(2の倍数だから。確かめ:n=4 で 2n=8 =偶数 ◎)
- 2n+1(偶数より1大きい。2n−1 でも正解。確かめ:n=4 で 2n+1=9 =奇数 ◎)
- n, n+1, n+2(1ずつ増える。確かめ:n=4 で 4, 5, 6 =連続 ◎)
- 10a+b(位ごとに分ける。確かめ:a=3, b=6 で 36 ◎)
✏️ やってみよう②(標準:偶数・奇数の和の説明)
「奇数と奇数の和は、いつでも偶数になる」ことを、文字式を使って説明しましょう。型(①文字でおく→②計算→③くくる→④結論)に沿って書いてください。
答えと解説を見る
①文字でおく:2つの奇数を 2m+1, 2n+1 とする(m, n は整数)。
②計算する:
(2m+1)+(2n+1)=2m+2n+2
③くくる:
2m+2n+2=2(m+n+1)
④結論:m+n+1 は整数だから、和は 2×(整数)。だから奇数と奇数の和は、いつでも偶数である。
確かめ:m=1, n=4 で 3+9=12=2×6 ◎/m=0, n=2 で 1+5=6=2×3 ◎
✏️ やってみよう③(応用:連続する整数・2けたの数の説明)
次の2つを、文字式を使って説明しましょう。
- 連続する2つの整数の和は奇数である。
- 2けたの自然数と、その十の位・一の位を入れかえた数の和は、11の倍数である。
答えと解説を見る
1. 連続する2つの整数の和は奇数
①連続する2つの整数を n, n+1 とする(n は整数)。
②③和は
n+(n+1)=2n+1
④2×(整数)+1 の形なので、いつでも奇数。確かめ:6+7=13、10+11=21 で奇数 ◎
2. 2けたの数と入れかえた数の和は11の倍数
①もとの数を 10a+b、入れかえた数を 10b+a とする(a, b は1けたの自然数)。
②③和は
(10a+b)+(10b+a)=11a+11b=11(a+b)
④a+b は整数だから 11×(整数)。だから11の倍数。確かめ:48+84=132=11×12、15+51=66=11×6 ◎
家おうちの方へ
ここでつまずく一番の原因は「説明の型が身についていない」ことです。3n+3 まで書けても、3(n+1) までくくり出さないと「3の倍数」と言いきれない——この最後のひと押しが抜けがちです。お子さんが説明を書いたら、①「n は整数と書いたか」②「最後に 3×整数 や 2×整数 の形になっているか」の2点だけチェックしてあげてください。あとは具体的な数(n=5 など)を入れて成り立つか一緒に確かめると、自信を持って書けるようになります。
文字式を使えば「いつでも成り立つ理由」を1本の式で示せます。この「説明する力」を土台に、次は中2のもう一つの大きな単元、連立方程式へ進みましょう。
📌 1分まとめ(声に出して読もう)
- 偶数は 2n、奇数は 2n+1(n は整数)と表す。
- 連続する3つの整数は n, n+1, n+2、2けたの自然数は 10a+b。
- 説明の型は「①文字でおく→②式を計算→③◯×整数の形にする→④だから〜と言える」。
- 例:連続3整数の和 n+(n+1)+(n+2)=3(n+1) なのでいつでも3の倍数。
よくある質問
文字式を使った説明(証明)はどうやって書きますか?
「①数を文字でおく → ②式を計算する → ③◯×整数の形にくくり出す → ④だから〜といえる、と結ぶ」の4ステップの型で書きます。たとえば連続する3つの整数を n、n+1、n+2 とおくと、和は 3n+3=3(n+1) となり、3×整数の形なので、いつでも3の倍数だと説明できます。
偶数と奇数は、文字でどう表すの?
n を整数として、偶数は 2n、奇数は 2n+1(2n−1 でもよい)と表します。かならず「n は整数」とことわるのが大切で、これを書かないと n=1.5 のとき 2n=3 となり、偶数といえなくなってしまいます。
なぜ 3(n+1) の形にすると、3の倍数といえるの?
n が整数なら n+1 も整数なので、3(n+1) は「3×整数」の形になっているからです。3n+3 のままでは3の倍数と言いきれないので、3でくくり出すところまで変形するのがポイント。図で見ると、連続する3つの整数は、まん中の n+1 を基準に −1 と +1 が打ち消し合い、和がちょうど n+1 の3つ分になっています。
2つの奇数の和を説明するとき、両方とも 2n+1 とおいていいの?
いけません。同じ文字 n を使うと「同じ奇数どうしの和」の説明になってしまうので、ちがう数はちがう文字で 2m+1、2n+1 とおきます。和は 2m+2n+2=2(m+n+1) で、2×整数の形になるので、いつでも偶数だといえます。
#式の計算#文字式の利用#中2数学