中学理科中学1年生地学

火山災害と地震災害|火砕流・津波・液状化のしくみ【中1理科】

火山災害と地震災害とは、噴火や地震によって起こる被害のことです。中1理科の自然の恵みと災害を図でやさしく。火砕流と溶岩流のちがい、火山灰・火山ガス・火山泥流、津波が海底の変動で起こるしくみ、液状化で建物が沈み軽い物が浮く理由、温泉や地熱という恵み、噴火警戒レベルとハザードマップの読み方まで整理できます。

先に答え

火山の災害は何がふき出すかで決まります。いちばん危険なのは火砕流(高温の火山灰・岩石・ガスが時速 100100 km をこえて流れ下る)で、ほかに溶岩流・噴石・降灰・火山ガス・火山泥流があります。地震の災害は、ゆれによる建物の倒壊に加えて、津波(海底が上下にずれて海水全体が動く)・液状化(砂のつぶがばらばらになって水にういた状態になる)・土砂くずれ・火災が起こります。

このページのゴール

火山の噴出物と災害の種類を結びつけて説明でき、津波・液状化のしくみを図で説明できるようになる。火山と地震がもたらす恵みも知り、ハザードマップと噴火警戒レベルを使って備えを考えられるようになる。

ニュースで「火砕流」「液状化」「津波警報」という言葉を聞いても、何が起きているのかまではわかりにくいものです。

でも、この単元は暗記ではありません。

火山の災害は「何がふき出すか」、地震の災害は「地面と海がどう動くか」——このたった2つの見方で、ほとんど説明がついてしまいます。

そして災害を学ぶことは、こわがるためではなく、自分が何をすればよいかを決められるようになるためです。

火山の災害は「何がふき出すか」で決まる

噴火のとき、火口から出てくるものを火山噴出物といいます。

災害の種類は、この噴出物の種類とそのまま対応しています。

噴煙と火山灰が風下へ広がり、火砕流と溶岩流が別々の斜面を流れ下る噴火中の火山
1回の噴火で、さまざまな災害が同時に起こります。噴煙・火山灰は風下へ、火砕流と溶岩流は谷や斜面に沿って広がります。

それぞれの特徴を、危険度とセットで整理します。

噴出物何が起きるか特徴
火砕流高温の火山灰・岩石・ガスが
一体となって流れ下る
数百℃・時速100km超。
逃げきれない
溶岩流とけた岩石が斜面を流れる進むのはおそい。
通り道はすべて失われる
噴石大きな岩が空を飛んでくる火口から数km。
建物の屋根をつきぬける
火山灰細かい灰が風に乗って広がるいちばん遠くまで届く
停電・断水・交通まひ
火山ガス二酸化硫黄・硫化水素など空気より重く、
くぼ地にたまる
火山泥流火山灰が雨や雪どけ水と
混ざって流れ下る
噴火の何年もあとでも
大雨のたびに起こる

ここで、火山と火成岩で学んだマグマのねばりけを思い出してください。

ねばりけがわかると、その火山でどの災害に気をつければよいかまで決まります。

マグマのねばりけ噴火のようすとくに注意する災害
強い(白っぽい)爆発的火砕流・噴石・降灰
弱い(黒っぽい)おだやか溶岩流
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セナ

火砕流って、溶岩よりこわいの? どろどろの溶岩のほうが熱そうだけど…

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ホクト先生

いい疑問だね。決め手は温度じゃなくて速さなんだ。

溶岩流は、ねばりけのある液体が坂を流れるだけだから、歩くよりおそいことも多い。だから避難する時間がある。

でも火砕流は、灰や岩のかけらがガスにういた状態で流れてくる。地面とほとんどこすれないから、時速100kmをこえることもある。

車でも逃げきれない速さで、しかも数百℃。だから火山の災害の中でいちばん警戒されているんだよ。

理解チェック1

地震の災害は、ゆれだけではない

地震というと建物のゆれを思いうかべますが、被害を大きくするのはそのあとに起こることです。

分類災害何が起きているか
ゆれそのもの建物の倒壊・家具の転倒S波(主要動)の大きなゆれ
地面の変化液状化砂と地下水の地面が支える力を失う
地面の変化土砂くずれ・落石斜面がゆれでくずれる
海の変化津波海底が上下にずれ、海水全体が動く
そのあと火災・停電・断水倒れた建物や、こわれた設備から

津波は「海水全体」が動く

ふつうの波は、風が海の表面をゆらしているだけです。

でも津波は、海底から海面までの海水全体がまとめて動きます。

同じ高さに見えても、押してくる力がまったくちがうのはこのためです。

沖の深い海から浅い岸へ近づくにつれて、低かった波が高くなる海岸のようす
沖では低く見える波も、浅い岸に近づくと高くなります。水深が浅くなるほど波は遅くなり、後ろから来る水が追いつくためです。

津波の速さは、水深が深いほど速いという性質があります。

深さ4000mの沖では時速およそ700km(ジェット機なみ)、岸近くの浅い海では時速数十kmまで落ちます。

前がおそくなると後ろの波が追いつくので、岸に近づくほど高く盛り上がるわけです。

この「速い・おそい」を実感するには、単位をそろえてみるのがいちばんです。

秒速10mは時速36km——ここが自分で直せるようになると、津波の速さも風速のニュースも読めるようになります(速さの単位換算(小5算数))。

津波で覚えておく3つの事実

① 波長が長い。 ふつうの波は数十mですが、津波は数km〜数十kmあります。だから「ざぶんと1回」ではなく、水が押し寄せ続けます

② くり返し来る。 第1波でおさまったと思って戻るのがいちばん危険です。第2波・第3波のほうが高いこともあります。

③ 川をさかのぼる。 海から離れていても、川沿いは危険です。

液状化——重い物が沈み、軽い物が浮く

砂の地面は、つぶどうしがかみ合って建物を支えています。

そのすきまは、地下水で満たされています。

ここに強いゆれがくると、かみ合わせが外れて、砂のつぶが水の中にういた状態になります。

液状化で沈んで傾いた住宅と、地面から大きく浮き上がったマンホール
液状化の結果は、重い建物が沈み、軽いマンホールが浮くことで見分けられます。砂の粒どうしのかみ合わせが外れ、水にういた状態になるためです。

液状化が起こりやすいのは、次の3つがそろった場所です。

  1. 砂が多い(粒がそろっていて、かみ合いがゆるい)
  2. 地下水位が高い(すきまが水で満たされている)
  3. 地面がやわらかい(埋め立て地、昔の川・池・田をうめた土地)

自分の住む土地がもともとどんな場所だったかは、地層や古い地図からたどれます。

理解チェック2

火山と地震がくれる恵み

日本には火山も地震も多い——それは同時に、日本という土地そのものが火山と大地の変動でできたということでもあります。

火山を背景にした地熱発電所、湯けむりの立つ温泉、火山灰土の畑が広がる地域の風景
火山の熱は、温泉・地熱発電・畑作を支えています。災害をもたらす大地の力は、地域のくらしの恵みにもなります。

火山がくれるものは、思っているよりたくさんあります。

  • 温泉……地下水がマグマの熱であたためられ、地表にわき出したもの。
  • 地熱発電……地下の高温の蒸気でタービンを回す。天候に左右されず、二酸化炭素をほとんど出さない。
  • 水はけのよい土地……火山灰が積もった土地は水を通しやすく、さつまいもや茶などの畑作に向く。
  • 美しい景観……カルデラ湖・高原・湯けむりの風景は、観光と地域の産業を支えている。
  • 鉱物資源……地下の熱水から、金・銀・硫黄などがつくられる。

地震を起こすプレートの動きも、長い年月をかけて土地を持ち上げ(隆起)、山地や平野、良い港をつくってきました(プレートと大地の変動)。

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セナ

こわいものと、ありがたいもの。どうして同じところから出てくるの?

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ホクト先生

もとが同じだからなんだ。

地下のマグマは、たまれば噴火して災害になるけれど、その熱は温泉にも地熱発電にもなる。

プレートの動きは地震を起こすけれど、その動きがなければ日本列島の山も平野もできていない。

だから理科では「こわいから避ける」ではなく、性質を知って、つき合い方を決めるという学び方をするんだよ。

予測と備え——ハザードマップの読み方

火山と地震では、予測のしやすさがまるでちがいます

火山の噴火地震
前ぶれとらえやすい
(火山性地震・山のふくらみ・噴煙の変化)
ほとんどない
直前の予知ある程度できる現在の科学では難しい
そなえ方噴火警戒レベルに従ういつ起きても大丈夫な準備をしておく

火山では、気象庁が噴火警戒レベルを1〜5の5段階で発表します。

レベルが上がると、入山規制や避難の呼びかけが行われます。

いっぽう地震は、いつ起きるかを前もって知ることができません。

だからこそ役に立つのがハザードマップです。

過去の災害や地形の調査から、どこがどんな危険にさらされるかを色分けした地図で、市区町村が配布しています。

やり方

  1. 自分の家・学校・職場をさがす。 まず自分の生活の場所を地図の上で見つける。
  2. そこが何色に塗られているか見る。 津波の浸水域、火砕流や溶岩流の到達予想、ゆれやすさ、液状化のしやすさ、土砂災害の警戒区域。
  3. どこへ、どの道で逃げるかを決める。 津波は「より高い所へ」、土砂災害は「斜面から離れる」。逃げる先と道すじを決めておくことが、いちばんの備え。

理解チェック3

よくある間違い

よくある間違い

まちがい

火山でいちばん危険なのは溶岩流だと思う

正しい

いちばん危険なのは火砕流。速さが桁ちがいで逃げきれない

ほかにも、まぎらわしい間違いが3つあります。

① 津波と高潮を同じものだと思う。 津波は海底が動く(地震が原因)、高潮は気圧が下がり風がふき寄せる(台風が原因)。原因がまったくちがいます(気象災害(台風・大雨))。

② 「津波は必ず引いてから来る」と思う。 引き波から始まるとは限りません。いきなり押し寄せることもあります。海の水が引かなくても、警報が出たらすぐ高い所へ。

③ 液状化を「地面が液体になる」と覚える。 砂のつぶは消えません。つぶのかみ合わせが外れて、水にういた状態になるだけです。だから重い物は沈み、軽い物は浮きます。

なお、地震のニュースでよく混同される震度とマグニチュードのちがいは、プレートと大地の変動で整理しています。

やってみよう(練習問題)

やってみよう①(基本:災害と原因を結ぶ)

次の説明にあてはまる火山の災害の名前を答えましょう。

  1. 高温の火山灰・岩石・ガスが一体となって、時速100kmをこえる速さで流れ下る。
  2. 細かい灰が風に乗って遠くまで運ばれ、停電や交通のまひを起こす。
  3. 空気より重く、くぼ地にたまるため危険。
  4. 噴火から何年もあとでも、大雨のたびに起こることがある。
答えと解説を見る
  1. 火砕流。ガスにういた状態で流れるため摩擦が小さく、非常に速く広がります。
  2. 火山灰(降灰)。噴出物の中でいちばん遠くまで届くのが火山灰です。
  3. 火山ガス。二酸化硫黄や硫化水素などで、空気より重いため低い場所にたまります。
  4. 火山泥流。積もった火山灰が雨や雪どけ水と混ざって流れ下ります。

やってみよう②(標準:津波と液状化)

次の問いに答えましょう。

  1. 津波が岸に近づくにつれて高くなるのはなぜですか。
  2. 液状化が起こると、重い建物と軽いマンホールはそれぞれどうなりますか。
  3. 液状化が起こりやすい土地の条件を、2つ答えなさい。
答えと解説を見る
  1. 津波の速さは水深が深いほど速いので、浅くなると速さが落ちます。前がおそくなると後ろの波が追いついて重なるため、波が高くなります。

  2. 砂のつぶが水にういた状態になるので、重い建物は沈んでかたむき、軽いマンホールや地下タンクは浮き上がります

  3. 砂が多く、地下水位が高いこと、そして埋め立て地や昔の川・池をうめた、やわらかい土地であること(どちらか2つ書けていれば正解)。

やってみよう③(応用:記述で説明する)

次の問いに、文章で答えましょう。

  1. 火砕流が溶岩流よりも危険とされる理由を説明しなさい。
  2. 火山の近くに住む人が受けている恵みを、2つ挙げなさい。
  3. 地震の備えとして、火山とちがって「ふだんからの準備」が重視されるのはなぜか説明しなさい。
答えと解説を見る
  1. (例)「溶岩流は流れる速さがおそく避難する時間があるが、火砕流は高温の火山灰や岩石がガスにういた状態で流れるため摩擦が小さく、時速100kmをこえる速さで広がり、逃げきることができないから。」

  2. (例)マグマの熱であたためられた地下水がわき出る温泉。その熱を利用した地熱発電。/火山灰が積もった水はけのよい土地での畑作。/カルデラ湖などの景観を生かした観光。(2つ書けていれば正解)

  3. (例)「火山は噴火の前に火山性地震が増えるなどの前ぶれをとらえやすいが、地震はいつ起こるかを直前に予知することが難しいため、起きてから備えることができないから。」

おうちの方へ

この単元は用語が多く見えますが、覚える軸は2本だけです。

1本目は「火山の災害=何がふき出すか」。火砕流・溶岩流・噴石・火山灰・火山ガス・火山泥流を、噴出物の名前とセットで並べれば、それがそのまま災害の一覧になります。ここでマグマのねばりけとつなげると、「ねばりけが強い火山は爆発的だから火砕流に注意」と理由から言えるようになります。

2本目は「地震の災害=地面と海がどう動くか」。津波は海水全体が動くこと、液状化は砂のつぶが水にういた状態になることを、図で一度つかめば記述問題まで書けます。液状化は、家の下の土地がもともと何だったかという話につながるので、古い地図を一緒に見ると強く印象に残ります。

仕上げに、お住まいの市区町村のハザードマップを一緒に開いてみてください。自分の家を見つけて、避難先と道すじを声に出して決める——それだけで、この単元は「テストの範囲」から「使える知識」に変わります。

火山の災害は、ふき出すものの種類で決まる。

地震の災害は、地面と海の動きで決まる。

そして同じ大地が、温泉も、肥えた土も、日本の地形もつくってきた。

——しくみがわかれば、災害のニュースは「こわい話」ではなく、自分が動くための情報として読めるようになります。

📌 1分まとめ(声に出して読もう)

  • 火山の災害はふき出すものの種類で決まる。最も危険なのは火砕流(高温・高速)。
  • ねばりけが強いマグマの火山は爆発的で火砕流・噴石弱い火山は溶岩流に注意。
  • 火山灰はいちばん遠くまで届き、停電・断水・交通まひを起こす。
  • 津波=海底が上下にずれ、海水全体が動く。沖では速く低く、岸ではおそく高くなる。
  • 液状化=砂のつぶのかみ合わせが外れ、重い建物は沈み、軽いマンホールは浮く
  • 火山は温泉・地熱・肥えた土という恵みもくれる。備えの中心はハザードマップ

よくある質問

火砕流と溶岩流のちがいは何ですか?

溶岩流はとけた岩石が流れ下るもので、進む速さは人が歩くよりおそいことが多く、逃げる時間があります。一方、火砕流は高温の火山灰・岩石のかけら・火山ガスが一体となって流れ下るもので、温度は数百℃、速さは時速100kmをこえることもあります。気体をふくんでいるため地面との摩擦が小さく、非常に速く広がります。逃げきることができないため、火山の災害の中でいちばん危険とされています。

津波はなぜ起こるのですか。高潮とはどうちがいますか?

海底で地震が起こり、断層に沿って海底が上下にずれると、その上にある海水全体が持ち上げられたり落ちこんだりします。この動きが四方に広がったものが津波です。ふつうの波は風が海の表面をゆらしているだけですが、津波は海底から海面までの海水全体が動くため、同じ高さでも力がまったくちがいます。一方、高潮は台風などの低気圧と強い風によって海面が持ち上げられる現象で、原因が気象である点が津波とちがいます。

液状化現象とは何ですか。どんな場所で起こりやすいですか?

液状化現象とは、地震のゆれによって砂の地面が液体のようにふるまう現象です。ふだんは砂のつぶどうしがかみ合って建物を支えていますが、強いゆれでかみ合わせが外れると、つぶが地下水の中にういた状態になります。すると重い建物は沈んでかたむき、軽いマンホールや地下タンクは逆に浮き上がり、地面から水と砂がふき出します。砂が多くて地下水位が高い場所、とくに埋め立て地や、昔の川・池を埋めた土地で起こりやすくなります。

火山は災害を起こすだけですか。恵みには何がありますか?

火山は多くの恵みももたらします。地下のマグマの熱であたためられた地下水がわき出るのが温泉で、その熱で発電するのが地熱発電です。火山灰が積もった土地は水はけがよく、畑作に向いています。カルデラ湖や高原などの美しい景観は観光資源になり、地下では金・銀・硫黄などの鉱物ができます。また、プレートの動きによる大地の変動そのものが、日本列島の山地や平野をつくってきました。

この単元でつまずいたとき、家庭でできること

  1. 火山と火成岩(中1理科)に戻る
    つまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
  2. 説明役を、外部にまかせる
    教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。
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