中学理科中学2年生化学
鉄と硫黄の化合|硫化鉄の実験・磁石と塩酸での見分け方【中2理科】
化合とは、2種類以上の物質が結びついて別の1つの物質ができる化学変化です。中2理科の定番、鉄と硫黄を混ぜて加熱し硫化鉄をつくる実験を図解。上部を加熱する理由・加熱をやめても反応が続く理由の記述対策、反応前後を磁石・うすい塩酸・においで見分ける方法、Fe+S→FeSまでやさしく解説します。
鉄と硫黄の化合は (係数はいりません)で、できた硫化鉄はもとの鉄とは別の性質になります。見分け方は つで、磁石(反応前はつく/後はつかない)、うすい塩酸(前はにおいのない水素/後は卵のくさったにおいの硫化水素)、色(前は黒っぽい灰色/後は黒色)です。加熱は上部から始め、赤くなったら加熱をやめます(反応の熱で最後まで進むため)。
◎このページのゴール
鉄と硫黄の化合の実験の手順と操作の理由を自分の言葉で説明でき、反応前の混合物と反応後の硫化鉄を磁石・うすい塩酸・においで見分けられるようになる。
「鉄が入っているのに、どうして磁石につかなくなるの?」——鉄と硫黄の実験でいちばん多いつまずきです。 答えはかんたんで、加熱後にできた硫化鉄は、もう鉄でも硫黄でもない別の物質だから。 このページでは、化合の意味・実験の手順・「なぜ?」の記述対策・反応前後の見分け方を、図でまとめて整理します。 化学式や反応式の書き方があやしい人は、化学反応式のつくり方を先に見ておくとスムーズです。
どこでつまずいた?
あてはまるものをタップ。そこから読むと近道です。
化合とは——結びついて「別の1つの物質」になる変化
→やり方
- 2種類以上の物質が結びつく
- できるのは、もとの物質とは性質のちがう別の1つの物質(これを化合物という)
- 1つの物質が2つ以上に分かれる分解の、ちょうど逆向きの変化
鉄と硫黄の場合はこうです。
鉄 + 硫黄 → 硫化鉄
ポイントは、できた硫化鉄が「鉄のかたまりに硫黄がくっついたもの」ではないこと。 鉄の性質も硫黄の性質も消えて、まったく別の1つの物質になっています。
でも、鉄の粒はまだ中に入ってるんだよね? それなら磁石につきそうだけど……。
いい疑問だね。 「鉄の粒がそのまま入っている」のは混ぜただけのとき。 加熱して結びついたあとは、鉄の粒はもう単独では存在せず、硫化鉄という別の物質の一部になっているんだ。 だから磁石には引きつけられないよ。
✓理解チェック1
実験の手順——鉄粉と硫黄の粉末を加熱する
→やり方
- 鉄粉と硫黄の粉末をよく混ぜて、試験管に入れる
- 試験管を立てて持ち、混合物の上部をガスバーナーで加熱する
- 上部が赤くなったら、加熱をやめる(そのあとも反応は下へ進んでいく)
- 反応が終わって冷えてから、できた物質を取り出して調べる
ここから先が、定期テストで記述問題になるところです。 理由を2つとも、自分の言葉で言えるようにしておきましょう。
?なぜ、加熱をやめても反応が続くの?
鉄と硫黄が結びつく反応が、**熱を出す反応(発熱反応)**だからです。 反応が始まると、その熱がとなりのまだ反応していない部分をあたため、そこがまた反応して熱を出す——というくり返しで、反応が次々に広がっていきます。
模範解答:「この反応は熱を出す発熱反応で、その熱によって次々に反応が進むから。」
?なぜ、加熱するのは混合物の上部なの?
反応を上から下へ順番に進めるためです。 上部に、反応を始めるためのきっかけの熱を与えれば、あとは②の発熱で下へ下へと反応が進みます。 下から加熱すると、下の気体や熱で混合物が飛び散ったり、反応の進み方が確かめにくくなったりします。
模範解答:「上部に反応が始まるのに必要な熱を与え、そのあと反応が上から下へ順に進むようにするため。」
✓安全のための3つの約束
- 換気をする。発生する気体(硫化水素)は有毒です。窓を開けて行います。
- においは直接かがない。試験管の口を顔から離し、手であおいで少量だけかぎます。
- 加熱後の試験管はとても熱い。冷めるまで手でさわらず、試験管ばさみを使います。
✓理解チェック2
反応前と反応後の見分け方(テスト頻出)
この実験でいちばん問われるのが、反応前(混合物)と反応後(硫化鉄)の判別です。 調べるのは3つ。**色・磁石・うすい塩酸(におい)**です。
| 調べ方 | 反応前(鉄+硫黄の混合物) | 反応後(硫化鉄) |
|---|---|---|
| 色 | 黒っぽい灰色(黄色い硫黄が混じって見える) | 黒色 |
| 磁石を近づける | 引きつけられる(鉄がそのままあるから) | 引きつけられない |
| うすい塩酸を加える | **においのない気体(水素)**が発生 | **卵のくさったようなにおいの気体(硫化水素)**が発生 |
この3つがそろって言いたいことは、たった1つです。 性質がちがうのだから、加熱後は別の物質になっている、ということ。 「化学変化が起きた」と言い切ってよい根拠が、この性質のちがいです。
気体の性質の復習は気体の発生と性質へ。 水素はにおいがなく、火を近づけると音を立てて燃える気体でしたね。
✓理解チェック3
化学反応式は Fe + S → FeS
ことばの式を化学式に置きかえるだけです。
→やり方
- ことばの式:鉄 + 硫黄 → 硫化鉄
- 化学式に置きかえる:鉄は 、硫黄は 、硫化鉄は
- 左右の原子の数を数える:左は Fe が1個・S が1個、右も同じ → 係数はいらない
という化学式は、鉄原子と硫黄原子が1:1で結びついた新しい物質を表しています。 と が並んで書いてあるからといって、「鉄と硫黄が別々に入っている」という意味ではありません。 化学式のしくみがあやしい人は、原子と分子に戻って確認しましょう。
混合物と化合物のちがい
この実験は、混合物と化合物のちがいを体験する実験でもあります。
| 混合物 | 化合物 | |
|---|---|---|
| つくり方 | 混ぜるだけ | 結びつく(化学変化) |
| もとの性質 | それぞれ残る | 残らない(別の性質になる) |
| 分け方 | ろ過や磁石などで分けられる | ふつうの方法では分けられない |
| この実験での例 | 加熱前の鉄粉+硫黄 | 加熱後の硫化鉄 |
加熱前なら、磁石を近づけるだけで鉄粉だけを取り出せます。 これは「鉄が鉄のまま入っている」から。 加熱後は磁石でも分けられません。 これが「もう鉄ではない」いちばんの証拠です。
この反応は「発熱反応」の代表例
化学変化では、熱が出るものと吸収されるものがあります。
- 発熱反応:熱を出し、まわりの温度が上がる反応。鉄と硫黄の化合はこの代表例。ほかに燃焼、鉄と酸素(使い捨てカイロ)、中和など。
- 吸熱反応:まわりから熱を吸収し、温度が下がる反応。塩化アンモニウムと水酸化バリウムを混ぜる反応など。
加熱をやめても反応が続くのは、この反応が発熱反応だからでした。 熱の出入りをもっとくわしく知りたい人は、化学変化と熱(発熱反応と吸熱反応)へ。
結びつく質量の比は 鉄:硫黄=7:4
鉄と硫黄は、どんな量で混ぜても全部が反応するわけではありません。 結びつく質量の比が鉄:硫黄=7:4と決まっていて、余った分はそのまま残ります。
- 鉄 g と硫黄 g → ちょうど反応して硫化鉄 g
- 鉄 g と硫黄 g → 硫黄が g 余る(余った硫黄はそのまま残る)
- 鉄 g と硫黄 g → 鉄が g 余る(残った鉄は磁石につく)
比の考え方そのものは算数で習ったとおりです。 の比を使って片方の量を求める練習は、比(小6算数)で復習できます。
✓「磁石についた」=失敗、とはかぎらない
加熱後に少しだけ磁石に引きつけられたときは、反応しきれなかった鉄が残っていると考えます。 「実験が失敗した」ではなく「鉄が多すぎた(または加熱が足りなかった)」という読み取りができると、応用問題に強くなります。
よくある間違い
✕よくある間違い
「硫化鉄の中にも鉄が入っているから、磁石につく」。 加熱をやめる理由を「反応が終わったから」と書く。
硫化鉄は別の物質なので磁石につかない。 加熱をやめてよいのは、発熱反応の熱で反応が続くから。
もう1つ多いのが、においの取りちがえです。 「卵のくさったようなにおい」は**反応後(硫化鉄+塩酸=硫化水素)**のほう。 反応前は鉄が塩酸と反応して、においのない水素が出ます。 「におうのはあと(硫化鉄)」と、順番でセットにして覚えましょう。
やってみよう(練習問題)
やってみよう①(基本:どちらの物質?)
鉄粉と硫黄の粉末を混ぜたもの(A)と、それを加熱してできた物質(B)があります。 次のア〜ウは、A・Bのどちらの特徴ですか。
- ア:磁石を近づけると引きつけられる
- イ:うすい塩酸を加えると、卵のくさったようなにおいの気体が出る
- ウ:全体が黒色をしている
答えと解説を見る
ア=A、イ=B、ウ=B。
アは鉄がそのまま残っているAだけの性質。 イの硫化水素が出るのは硫化鉄(B)。 ウは、黄色い硫黄が混じって見えるAに対し、Bは一様な黒色です。
やってみよう②(標準:理由の記述)
次の2つの問いに、それぞれ簡潔に答えましょう。
- 加熱をやめても反応が続くのはなぜですか。
- 加熱するのを混合物の上部にするのはなぜですか。
答えと解説を見る
- この反応は熱を出す発熱反応で、その熱によって次々に反応が進むから。
- 上部に反応が始まるのに必要な熱を与え、そのあと反応が上から下へ順に進むようにするため。
1は「発熱反応」、2は「上から下へ反応が進む」がキーワードです。 どちらか一方だけを覚えていると、もう一方で減点されます。
やってみよう③(応用:質量の比と判別)
鉄粉 g と硫黄の粉末 g をよく混ぜて試験管に入れ、上部を加熱して完全に反応させました。 鉄と硫黄は の質量の比で結びつくものとします。
- 硫黄 g とちょうど反応する鉄は何 g ですか。
- 反応後、試験管に残るのはどんな物質が何 g ですか。
- 反応後の物質に磁石を近づけると、どうなりますか。理由もあわせて書きましょう。
答えと解説を見る
- 鉄:硫黄= なので、鉄は より g。
- 反応した鉄は g なので、鉄は g 余ります。 できた硫化鉄は g。 よって硫化鉄 g と、反応しなかった鉄 g。
- 引きつけられる(鉄が g 残っているから)。 硫化鉄そのものは磁石につきませんが、余った鉄があるとその分だけ引きつけられます。
比の計算のしかたを忘れていたら、比(小6算数)で確認しましょう。
家おうちの方へ
この単元でお子さんがつまずくのは、ほぼ「硫化鉄の中にも鉄はあるのに、なぜ磁石につかないの?」の1点です。 ここは「材料としての鉄」と「物質としての鉄」を区別できるかがすべてで、粒のモデル図を見ながら「くっついたらもう別のものになる」と何度か言い直してあげると腑に落ちやすくなります。 テストで問われるのは、①加熱をやめても反応が続く理由(発熱反応)、②反応前後の判別3点(色・磁石・塩酸)、③、にほぼ集中します。 土台があやしいときは、化学反応式のつくり方に戻るのが近道です。 同じ「実験の操作理由を書かせる」型の単元として酸化銅の還元の実験もあるので、記述の練習をまとめてしておくと効率的です。
「結びつくと、別の物質になる」——この1行が、化合という言葉のすべてです。 次は酸化と還元|酸素の受けわたしへ進み、相手が硫黄ではなく酸素になったときの化合を見ていきましょう。
📌 1分まとめ(声に出して読もう)
- 化合=2種類以上の物質が結びついて、もとの物質とは性質のちがう別の1つの物質ができる化学変化。分解の逆。
- 化学反応式は (係数はいらない)。
- 手順は「よく混ぜる → 上部を加熱 → 赤くなったら加熱をやめる」。
- 見分け方3つ。磁石(前=つく/後=つかない)、うすい塩酸(前=においのない水素/後=卵のくさったにおいの硫化水素)、色(前=黒っぽい灰色/後=黒色)。
- 性質がちがう=別の物質ができた証拠。混ぜただけの混合物ではなく、結びついた化合物。
よくある質問
鉄と硫黄を混ぜて加熱するとき、加熱をやめても反応が続くのはなぜですか?
鉄と硫黄が結びつく反応が、熱を出す反応(発熱反応)だからです。反応が始まると、その反応自身が出した熱がとなりのまだ反応していない部分をあたためます。そのため加熱をやめても、出た熱で次々に反応が進み、混合物の上から下へと反応が広がっていきます。この「発熱反応だから」という言葉が記述問題のキーワードです。
硫化鉄は磁石につきますか?
硫化鉄は磁石に引きつけられません。反応前の混合物は鉄がそのまま残っているので磁石に引きつけられますが、加熱後にできた硫化鉄は鉄とはまったく別の物質なので、鉄のような磁石に引きつけられる性質を持たないからです。磁石につくかどうかは、反応が起きたかを確かめるいちばん手軽な方法です。
硫化鉄にうすい塩酸を加えると、どんな気体が発生しますか?
卵のくさったようなにおいのする硫化水素という気体が発生します。いっぽう反応前の混合物にうすい塩酸を加えると、中の鉄が反応してにおいのない水素が発生します。においの有無で反応前後を見分けられます。硫化水素は有毒なので、必ず換気をして、手であおいで少量のにおいをかぎます。
化合とは何ですか。混合物とどうちがいますか?
化合とは、2種類以上の物質が結びついて、もとの物質とは性質のちがう別の1つの物質(化合物)ができる化学変化のことです。混合物は物質をただ混ぜただけなので、鉄粉なら磁石につくというように、もとの物質の性質がそれぞれ残っています。化合物になると、もとの性質は消えて、まったく新しい性質になります。
この単元でつまずいたとき、家庭でできること
- 化学反応式のつくり方(中2理科)に戻るつまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
- 説明役を、外部にまかせる教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。