中学理科中学2年生生物

維管束とは|道管・師管のちがいと蒸散を図解【中2理科】

維管束とは、根から吸い上げた水が通る道管と、葉でつくられた養分が通る師管が束になったものです。中2理科「葉・茎・根のつくり」を図解でやさしく。道管と師管のちがい、双子葉類と単子葉類の維管束の並び方、気孔と孔辺細胞、蒸散のはたらき、ワセリンを使う蒸散量の計算と記述対策までわかります。

先に答え

維管束は道管と師管が束になったもので、葉では葉脈にあたります。道管は根から吸い上げた水と養分の通り道で茎の内側・葉の表側師管は葉でつくられた養分の通り道で茎の外側・葉の裏側です。双子葉類は維管束が輪のように並び根は主根と側根、単子葉類は散らばっていて根はひげ根になります。水が水蒸気として出ていくことを蒸散といいます。

このページのゴール

道管と師管のちがいを説明でき、双子葉類と単子葉類の維管束を図で見分け、蒸散量を調べる実験の計算と記述問題に答えられるようになる。

「道管と師管、どっちが水だっけ?」——植物のからだは、名前が似ていて混ざりやすいところです。 でも、通っているものと場所さえ図でつかめば、テストで問われる形はほとんど決まっています。 小学校で習った「水の通り道と蒸散」(小6 植物のつくりとはたらき)を、中2ではもう少しくわしく見ていきましょう。

道管と師管——「水の道」か「養分の道」か

やり方

  1. 道管=根から吸い上げた水と養分(肥料分)の通り道。茎の内側
  2. 師管=葉でつくられた養分の通り道。茎の外側
  3. この2つが束になったものが維管束。葉の中を通る維管束が葉脈
  4. 根・茎・葉の維管束はぜんぶつながっている(1本のパイプライン)

ちがいを表で整理します。 「何が」「どこを」「どちら向きに」通るのかがポイントです。

道管師管
通るもの根から吸い上げた水と養分(肥料分)葉でつくられた養分(デンプンが変化したもの)
向き根 → 茎 → 葉(おもに上へ)葉 → 茎・根(体全体へ)
茎での位置内側外側
葉での位置表側裏側
細胞のようす死んだ細胞が上下につながった管生きた細胞がつながった管

取りちがえない覚え方

「水道(すいどう)の『道』=道管は水」。 残ったほうが師管(葉でできた養分)です。

位置は 「内が道管・外が師管」。 茎の内側を通って水が上がっていくとイメージすると、葉の表側に道管が来る理由(後述)ともつながります。

なお、道管を通る「養分」は、肥料にふくまれる水にとけた無機養分のこと。 師管を通る「養分」は、葉の光合成でつくられたデンプンが水にとけやすい形に変わったものです。 同じ「養分」でも中身がちがう、というのがテストのねらい目です。

理解チェック1

茎の断面——双子葉類は「輪」、単子葉類は「散らばり」

維管束の並び方は、双子葉類か単子葉類かで決まります。 断面の図を見ると、一目でちがいがわかります。

2本の茎を輪切りにした実物写真。左の太い茎は維管束が輪のように並び、右の細い茎は維管束が断面全体に散らばっている
左は維管束が輪に並ぶ双子葉類、右は全体に散らばる単子葉類
双子葉類ホウセンカ・アブラナ単子葉類トウモロコシ・ユリ維管束が輪のように並ぶ維管束が散らばっている主根と側根ひげ根道管(内側・水)師管(外側・養分)

表にすると、こうなります。 子葉の枚数・葉脈・根とセットで覚えると、どれか1つ見えれば残りもわかります。

双子葉類単子葉類
茎の維管束輪のように並ぶ全体に散らばっている
主根と側根(太い根+枝分かれ)ひげ根(細い根の束)
葉脈網目状(網状脈)平行(平行脈)
子葉2枚1枚
ホウセンカ・アブラナ・タンポポトウモロコシ・イネ・ユリ
セナちゃんのアイコン
セナ

散らばってるほうが弱そうに見えるけど、トウモロコシってすごく背が高いよね。だいじょうぶなの?

ホクト先生のアイコン
ホクト先生

いい観察だね。 輪に並ぶ双子葉類は、その輪の部分が太くなって木のように太い幹をつくれる。 いっぽう単子葉類は、細い維管束を全体に散らしてしなやかに立つタイプなんだ。 どちらも生き方に合ったつくり。テストでは「並び方」と「根の形」がセットで問われるから、図でセットにして覚えよう。

理解チェック2

葉のつくり——葉脈は「葉の中の維管束」

葉を横から切ると、上下を表皮がおおい、その間に葉緑体をもつ細胞がぎっしり並んでいます。 その細胞のあいだを通っているすじが葉脈、つまり葉の中の維管束です。

左は葉を切った断面の実物写真で、上下の表皮の間に緑の細胞がぎっしり詰まっている。右は葉の表面を拡大した写真で、葉脈が枝分かれして広がっている
葉の断面と、葉全体に広がる葉脈(=葉の中の維管束)
葉の断面(上が表・下が裏)葉緑体をもつ細胞上の表皮下の表皮道管師管葉脈(維管束)気孔から水蒸気が出る茎とつながっているので、表側が道管・裏側が師管

葉の中で道管が表側、師管が裏側にあるのは、覚えるものではなく茎からたどれば決まることです。 茎では道管が内側を通っていましたね。 その内側だった面が、葉になるとそのまま表側を向く——だから葉でも道管が上、師管が下になります。

iメモ

葉のつくりの三点セット

  • 表皮…葉の表面をおおう細胞の層。ここに気孔がある(とくに裏側に多い)
  • 葉緑体をもつ細胞…表皮の内側にぎっしり。ここで光合成が行われる
  • 葉脈…葉の中を通る維管束(道管+師管)。網目状なら双子葉類、平行なら単子葉類

気孔と蒸散——葉の裏から水蒸気が出ていく

気孔とは、三日月形をした2つの孔辺細胞にはさまれた小さなすきまのことです。 ふつう葉の裏側に多くあり、ここから水蒸気が出ていったり、二酸化炭素・酸素が出入りしたりします。

葉の表面を拡大した写真。三日月形をした2つの孔辺細胞にはさまれた気孔がいくつも開いていて、そのひとつから水蒸気が立ちのぼっている
三日月形の孔辺細胞にはさまれたすきまが気孔。ここから水蒸気が出ていく
気孔と孔辺細胞(葉の裏の表皮を上から見た図)孔辺細胞孔辺細胞葉緑体気孔(すきま)気孔は葉の裏側に多い。ここから水蒸気が出ていく

根から吸い上げた水が、水蒸気になって気孔から空気中へ出ていくことを蒸散といいます。 葉にポリエチレンの袋をかぶせておくと内側に水滴がつくのは、蒸散の証拠です。

?なぜ、植物はせっかく吸った水を蒸散させるの?

理由は大きく2つあります。

  1. 葉から水が出ていくと、その分だけ根からの水の吸い上げがさかんになるから(ストローの先から水が出れば、後ろから水が引っぱられるのと同じ)。
  2. 水が水蒸気に変わるときにまわりの熱をうばうので、植物の体の温度が上がりすぎるのを防げるから(人の汗と同じはたらき)。

模範解答:「根からの水の吸い上げをさかんにするはたらきと、植物の体の温度が上がりすぎるのを防ぐはたらきがある。」

孔辺細胞の形が変わることで、気孔は開いたり閉じたりします。 昼は開いて蒸散や光合成がさかんになり、夜や水が足りないときは閉じて水を守ります。

理解チェック3

蒸散量を調べる実験——ワセリンと引き算

「葉の表・裏・茎から、それぞれどれだけ蒸散したか」を求める実験です。 ワセリンをぬった面は気孔がふさがれて蒸散できない——これだけ分かれば、あとは引き算で解けます。

同じ枝をさした4本の試験管が横一列に並んだ実験の写真。ワセリンをぬる場所を変えたことで、試験管ごとに水の減り方がちがっている
ワセリンでふさぐ場所を変えると、水の減り方に差が出る
Aワセリンをぬらない12.0 cm³B葉の表にワセリン10.5 cm³C葉の裏にワセリン4.5 cm³D葉の表と裏にワセリン3.0 cm³オレンジの線=ワセリンをぬった面(気孔がふさがれる)※どの試験管も水面に油を浮かべ、水面からの蒸発を防いでいる

まず「どこから蒸散できるか」を書き出します。 ここを表にしてしまえば、もう半分終わりです。

試験管ワセリンをぬった場所蒸散できる場所水の減少量
Aぬらない葉の表+葉の裏+茎12.0 cm³
B葉の表葉の裏+茎10.5 cm³
C葉の裏葉の表+茎4.5 cm³
D葉の表と裏3.0 cm³

やり方

  1. 茎からの蒸散量 = D3.0 cm³(葉が両面ふさがれているので、残るのは茎だけ)
  2. 葉の表からA − B = 12.0 − 10.5 = 1.5 cm³(Bで減った分が「葉の表」)
  3. 葉の裏からA − C = 12.0 − 4.5 = 7.5 cm³(Cで減った分が「葉の裏」)
  4. 確かめ:1.5 + 7.5 + 3.0 = 12.0 = A ✔

「C − D = 4.5 − 3.0 = 1.5(葉の表)」「B − D = 10.5 − 3.0 = 7.5(葉の裏)」でも同じ答えになります。 引きたい場所だけがちがう2本を選んで引くのがコツです。

結果を見ると、葉の裏(7.5)は葉の表(1.5)の5倍。 気孔が葉の裏側に多いことが、数値からもはっきりわかります。

?なぜ、水面に油を浮かべるの?

油でふたをしないと、水面から水が直接蒸発してしまいます。 そうなると、減った水が「蒸散した分」なのか「蒸発した分」なのか区別できません。

模範解答:「水面からの水の蒸発を防ぎ、減った水の量が蒸散によるものだけになるようにするため。」

同じ理由で、4本は葉の枚数や大きさがそろった枝を使い、同じ場所に同じ時間置きます。 比べたい条件(ワセリンの位置)以外はそろえる——これが実験のきまりです。

算数につながる:数値の処理

この実験でやっているのは、表を読んで引き算することだけです。 実際の観察では条件をそろえても数値が少しずつばらつくので、同じ実験を数回くり返して平均をとると、より確からしい値になります。 平均の求め方があいまいなら、小5「平均」に戻ると計算の意味がすっきりします。

根のつくり——根毛が表面積を大きくする

根の先の少し上には、根毛という細かい毛がびっしり生えています。 この根毛から、水や水にとけた養分(肥料分)を吸収し、道管へ送っています。

?なぜ、根に根毛があるの?

細い毛がたくさんあると、土とふれる表面積が大きくなるからです。 面積が広いほど、水や養分をたくさん、すばやく吸収できます。

模範解答:「土とふれる表面積が大きくなり、水や水にとけた養分を効率よく吸収できるから。」

根毛は細いので、土のつぶのすきまにも入りこめます。 「体が地面から抜けにくくなる」ことも、根の大切なはたらきです。

根(根毛で吸収)→ 茎(道管を通る)→ 葉(気孔から蒸散)。 この一方通行の流れが、植物の「水の旅」です。 動物が心臓と血管で運ぶしくみは血液の循環で学びます。あわせて見ると、運び方のちがいがよくわかります。

よくある間違い

よくある間違い

まちがい

道管=養分、師管=水と逆に覚える。 茎の外側が道管、葉の裏側が道管としてしまう。

正しい

水道の「道」=道管は水。 位置は内が道管・外が師管、葉では表が道管・裏が師管

もう1つ多いのが、実験の引き算のまちがいです。 「葉の裏からの蒸散量」を聞かれてCの値(4.5)をそのまま答えてしまうミスに注意。 Cは葉の裏をふさいだ試験管なので、Cの値は「葉の表+茎」です。 求めたい場所 = ふさいでいない方の値 − ふさいだ方の値、と手順で押さえましょう。

やってみよう(練習問題)

やってみよう①(基本:道管と師管)

次の問いに答えましょう。

  1. 根から吸い上げた水が通る管の名前は?
  2. その管は、茎の内側・外側のどちらにありますか。
  3. 葉でつくられた養分が通る管の名前は?
  4. 道管と師管が束になったつくりを何といいますか。
答えと解説を見る
  1. 道管(「水道の道」で覚える)
  2. 内側(葉では表側になる)
  3. 師管(葉の光合成でできた養分が、体全体へ運ばれる)
  4. 維管束(葉の中では葉脈とよばれる)

やってみよう②(標準:記述)

次の問いに、文で答えましょう。

  1. 蒸散には、どのようなはたらきがありますか。2つ書きましょう。
  2. 根に根毛があると、なぜ都合がよいのですか。
  3. 双子葉類と単子葉類で、茎の維管束の並び方はどうちがいますか。
答えと解説を見る
  1. 根からの水の吸い上げをさかんにする。植物の体の温度が上がりすぎるのを防ぐ。
  2. 土とふれる表面積が大きくなり、水や水にとけた養分を効率よく吸収できるから。
  3. 双子葉類は輪のように並び、単子葉類は全体に散らばっている。

1は「吸い上げ」「温度が上がりすぎるのを防ぐ」、2は「表面積が大きくなる」がキーワードです。 このことばが入っていれば得点になります。

やってみよう③(応用:蒸散量の計算)

葉の枚数と大きさがそろった枝を4本用意し、水を入れた試験管にさして、水面に油を浮かべました。 ワセリンをぬる場所を変えて明るい場所に3時間置き、水の減少量を調べたところ、次のようになりました。

試験管ワセリンをぬった場所水の減少量
Aぬらない12.0 cm³
B葉の表10.5 cm³
C葉の裏4.5 cm³
D葉の表と裏3.0 cm³
  1. 茎からの蒸散量は何 cm³ ですか。
  2. 葉の表からの蒸散量は何 cm³ ですか。
  3. 葉の裏からの蒸散量は何 cm³ ですか。
  4. この結果から、気孔は葉のどちら側に多いといえますか。理由もあわせて書きましょう。
答えと解説を見る
  1. 3.0 cm³。Dは葉の表と裏がふさがれているので、蒸散できるのは茎だけです。
  2. 1.5 cm³。A − B = 12.0 − 10.5 = 1.5(Bでふさいだのは葉の表だけ)。C − D = 4.5 − 3.0 でも同じです。
  3. 7.5 cm³。A − C = 12.0 − 4.5 = 7.5。B − D = 10.5 − 3.0 でも同じです。
  4. 葉の裏側葉の裏からの蒸散量(7.5 cm³)が、葉の表からの蒸散量(1.5 cm³)よりずっと多いから。

確かめ算として、1.5 + 7.5 + 3.0 = 12.0 が A と一致することを見ておくと安心です。

おうちの方へ

この単元でつまずく原因は、ほぼ用語の取りちがえです。 まず「道管=水(水道の道)/師管=葉でできた養分」を口に出して言えるようにし、次に「内が道管・外が師管」「葉では表が道管・裏が師管」と位置を足すのが近道です。 双子葉類・単子葉類は中1の植物の分類の続きなので、あやしければそちらへ戻ってください。 蒸散の実験は、数値の暗記ではなく「ふさいだ場所を書き出して引く」という手順を紙に書かせると定着します。 ベランダの植物に袋をかぶせて水滴を見せると、蒸散が一気に実感に変わります。

道管と師管、輪と散らばり、そして気孔からの蒸散。 図でつながりが見えたら、次は血液の循環へ進んで、動物が「運ぶしくみ」と見くらべてみましょう。

📌 1分まとめ(声に出して読もう)

  • 維管束道管師管が束になったもの。葉では葉脈のこと。
  • 道管=根から吸い上げた水と養分(肥料分)の通り道。茎の内側、葉の表側
  • 師管=葉でつくられた養分の通り道。茎の外側、葉の裏側
  • 双子葉類=維管束が輪のように並ぶ・根は主根と側根単子葉類散らばる・根はひげ根
  • 蒸散=水が水蒸気になって気孔から出ていくこと。気孔は葉の裏側に多い。

よくある質問

維管束とは何ですか?

維管束とは、水の通り道である道管と、養分の通り道である師管が束になったつくりのことです。茎では双子葉類は輪のように並び、単子葉類は全体に散らばっています。葉の中を通る維管束が葉脈で、根・茎・葉の維管束はすべてつながっていて、1本のパイプラインとして体じゅうに水と養分を運んでいます。

道管と師管のちがいは何ですか?

道管は根から吸い上げた水と養分(肥料分)が通る管で、茎の内側・葉の表側にあります。師管は葉でつくられた養分(デンプンが変化したもの)が通る管で、茎の外側・葉の裏側にあります。「水道(すいどう)の道=道管は水」と覚えると取りちがえません。道管は死んだ細胞が上下につながった管である点もちがいです。

蒸散とは何ですか?何のために行うのですか?

蒸散とは、根から吸い上げた水が水蒸気になって、葉の気孔から空気中へ出ていくことです。はたらきは主に2つで、①根からの水の吸い上げをさかんにすること、②水が水蒸気になるときに熱をうばうので、植物の体の温度が上がりすぎるのを防ぐことです。記述問題ではこの2つをそのまま書けば得点になります。

気孔とは何ですか?葉の表と裏、どちらに多いですか?

気孔とは、三日月形をした2つの孔辺細胞にはさまれた小さなすきまのことです。ふつう葉の裏側に多くあります。ここから水蒸気が出ていき(蒸散)、光合成や呼吸で使う二酸化炭素・酸素も出入りします。孔辺細胞には葉緑体があり、細胞の形が変わることで気孔が開いたり閉じたりします。

この単元でつまずいたとき、家庭でできること

  1. 光合成と呼吸(中1理科)に戻る
    つまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
  2. 説明役を、外部にまかせる
    教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。
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