中学理科中学2年生化学
分解とは|炭酸水素ナトリウムの熱分解・水の電気分解の実験【中2理科】
分解とは、1種類の物質が2種類以上の別の物質に分かれる化学変化です。中2理科の炭酸水素ナトリウムの熱分解(3つの生成物の確かめ方・試験管の口を下げる理由)と水の電気分解(陰極に水素・陽極に酸素、体積比2:1)を、装置の図解と記述対策・練習問題つきでやさしく解説します。
分解とは、 種類の物質が 種類以上の別の物質に分かれる化学変化で、化合とは逆向きです。炭酸水素ナトリウムの熱分解は で、石灰水が白くにごれば二酸化炭素、塩化コバルト紙が青色から桃色に変われば水が確かめられます。試験管の口を底より少し下げるのは、できた水が加熱部に流れて割れるのを防ぐためです。
◎このページのゴール
分解が「1種類の物質が2種類以上の別の物質に分かれる化学変化」であることを理解し、炭酸水素ナトリウムの熱分解と水の電気分解の実験結果・操作の理由を説明できるようになる。
1種類の白い粉を加熱しただけで、気体・液体・固体の3つの物質に分かれる——それが今回の主役、分解です。 このページでは、分解の意味から、炭酸水素ナトリウムの熱分解と水の電気分解の2大実験、テストに出る「操作の理由」の記述対策までまとめて整理します。 物質を粒で見る感覚があやしい人は原子と分子を、化学反応式の書き方に不安がある人は化学反応式のつくり方を先に見ておくとスムーズです。
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分解とは——1種類の物質が2種類以上に分かれる化学変化
→やり方
- 分解=1種類の物質が、2種類以上の別の物質に分かれる化学変化
- 加熱で分けるのが熱分解(例:炭酸水素ナトリウム・酸化銀)
- 電流で分けるのが電気分解(例:水)
逆に、2種類以上の物質が結びついて1種類の物質ができる変化が化合です(例:鉄+硫黄→硫化鉄)。 分解と化合は、ちょうど逆向きの関係になっています。
注意したいのは、状態変化とのちがいです。 氷がとけて水になっても、水蒸気になっても、同じ「水」のまま。 別の物質に変わっていないので、状態変化は分解ではありません。
✓理解チェック1
炭酸水素ナトリウムの熱分解——白い粉から3つの物質
炭酸水素ナトリウムは、ホットケーキをふくらませる重曹のこと。 これを加熱すると、**炭酸ナトリウム(固体)・二酸化炭素(気体)・水(液体)**の3つに分かれます。
→やり方
- 炭酸水素ナトリウムを乾いた試験管に入れ、口を底より少し下げてスタンドに固定する
- ガスバーナーで加熱し、出てきた気体を石灰水に通す → 白くにごる(=二酸化炭素)
- 試験管の口もとについた液体に塩化コバルト紙をつける → 青色→桃色(=水)
- あとに残った白い粉を水にとかし、フェノールフタレイン液で調べる → 濃い赤色(=炭酸ナトリウム)
3つの生成物と確かめ方は、組み合わせで覚えるのがコツです。
| 調べる場所 | 使うもの | 結果 | わかること |
|---|---|---|---|
| 出てきた気体 | 石灰水 | 白くにごる | 二酸化炭素 |
| 口もとの液体 | 塩化コバルト紙 | 青色→桃色 | 水 |
| 残った白い粉 | 水にとかしてフェノールフタレイン液 | 濃い赤色 | 炭酸ナトリウム |
加熱前の炭酸水素ナトリウムと、残った炭酸ナトリウム。 どちらも白い粉ですが、性質がはっきりちがう別の物質です。
| 炭酸水素ナトリウム(加熱前) | 炭酸ナトリウム(加熱後) | |
|---|---|---|
| 水へのとけ方 | 少ししかとけない | よくとける |
| フェノールフタレイン液 | うすい赤色(弱いアルカリ性) | 濃い赤色(強いアルカリ性) |
この「白い粉が別の物質に変わった」ことこそ、分解が起きた証拠です。 化学反応式にすると、次のようになります。
左右とも Na 2個・H 2個・C 2個・O 6個で、原子の数はそろっています。 分解でも原子が増えたり消えたりしないことは、質量保存の法則とそのままつながっています。 係数「2」のつけ方(左右の原子の数のそろえ方)は、化学反応式のつくり方でくわしく練習できます。
「なぜ?」の記述対策——口を下げる理由・ガラス管を抜く理由
この実験の記述問題は、まずこれが出ます。
?なぜ、試験管の口を底より少し下げるの?
加熱すると水(液体)が発生し、試験管の口のほうにたまります。 もし口が上がっていると、その水滴が加熱している部分へ流れ、熱い試験管が急に冷えて割れるおそれがあります。
模範解答:「発生した液体(水)が加熱部分に流れて、試験管が割れるのを防ぐため。」
「気体を集めやすくするため」ではない点に注意。 防ぐ相手は**水(液体)**です。
もう1問、実験の終わり方でも理由が問われます。
?なぜ、火を消す前にガラス管を石灰水から抜くの?
先に火を消してしまうと、試験管の中の気体が冷えて体積が小さくなり、石灰水がガラス管を通って逆流してきます。 逆流した石灰水が熱い試験管にふれると、ここでも試験管が割れるおそれがあります。 だから終わり方は①ガラス管を抜く → ②火を消すの順です。
模範解答:「石灰水が試験管に逆流して、試験管が割れるのを防ぐため。」
✓コツ
2つの理由は、防ぐ相手で区別すると混ざりません。 口を下げる=中でできた水のため。 ガラス管を先に抜く=外にある石灰水のため。 同じ終わり方の記述は酸化銅の還元|実験の手順と記述対策でも問われます。
✓理解チェック2
水の電気分解——陰極に水素・陽極に酸素
今度は、熱ではなく電流で分解します。 ただし、純粋な水は電流をほとんど流しません。
?なぜ、水酸化ナトリウムを少し溶かすの?
純粋な水のままでは、電流がほとんど流れないからです。
模範解答:「水に電流を流しやすくするため。」
電流を流すと、両方の電極から気体が発生します。
- 陰極(電源の−極側)…水素。マッチの火を近づけると、音を立てて燃える
- 陽極(電源の+極側)…酸素。火のついた線香を入れると、炎を上げて燃える
- 体積比は水素:酸素=2:1(水素のほうが2倍たまる)
✓「陰極=水素」の覚え方
「陰気な水素」と語呂で結びつけてしまいましょう。 もう1つ、たくさんたまるほうが水素という覚え方も強力です。 は H が2つ・O が1つ——化学式が、そのまま体積比 2:1 のヒントになっています。
気体では「粒の数の比=体積の比」になるので、係数の 2:1 が、そのまま体積比になります。
気体の確かめ方があやしいときは、気体の発生と性質(中1理科)で復習できます。 たとえば陰極側に気体が10cm³たまったら、陽極側は5cm³。 この「2:1」の使い方は、算数の比(小6算数)の考え方そのものです。
なぜ陰極に水素・陽極に酸素と決まって出てくるのか——そのしくみ(イオン)は、くわしくは中3のイオンとは(原子の成り立ちとイオン式)で学びます。
水素と酸素が出てくるってことは、水って水素と酸素が混ざった気体だったの?
混ざっているんじゃないんだ。 水素原子と酸素原子が結びついて、水というまったく別の1種類の物質になっている。
だから、ろ過や蒸留のような「混ざりものを分ける方法」では取り出せない。 電気の力で結びつきを切る——それが電気分解だよ。
逆に言うと、分解して2種類以上の物質が出てきたら、もとの物質は2種類以上の原子からできていた証拠になるんだ。
✓理解チェック3
よくある間違い
✕よくある間違い
「氷がとけて水になるのも分解」。 口を下げる理由を「石灰水の逆流を防ぐため」と書く。
氷→水は状態変化(同じ水のまま)。分解は別の物質に分かれる化学変化。 口を下げる=発生した水で試験管が割れるのを防ぐため。
もう1つは、陰極と陽極の取りちがえ。 「陰極(−)に水素、体積は水素が2倍」とセットで覚えましょう。 塩化コバルト紙の色の変化を「桃色→青色」と逆に書くミスも多いところです(正しくは青色→桃色)。
やってみよう(練習問題)
やってみよう①(基本:分解を見分ける)
次のア〜エから、分解にあたるものをすべて選びましょう。
- ア:炭酸水素ナトリウムを加熱すると、炭酸ナトリウムと二酸化炭素と水ができた。
- イ:鉄と硫黄の混合物を加熱すると、硫化鉄ができた。
- ウ:氷がとけて、水になった。
- エ:水に電流を流すと、水素と酸素が発生した。
答えと解説を見る
アとエ。 アは熱分解(1つ→3つ)、エは電気分解(1つ→2つ)。 イは2種類→1種類の化合、ウは物質が変わらない状態変化なので、どちらも分解ではありません。
やってみよう②(標準:操作の理由の記述)
次の操作の理由を、それぞれ簡潔に書きましょう。
- 炭酸水素ナトリウムを加熱するとき、試験管の口を底より少し下げる。
- 水の電気分解で、水に水酸化ナトリウムを少し溶かす。
答えと解説を見る
- 発生した液体(水)が加熱部分に流れて、試験管が割れるのを防ぐため。
- 水に電流を流しやすくするため。 (1は「水(液体)」「割れる」、2は「電流を流しやすく」がキーワード。入っていれば満点がねらえます)
やってみよう③(応用:水の電気分解の総合問題)
水酸化ナトリウムを少し溶かした水に電流を流しました。
- この反応を化学反応式で書きましょう。
- 陰極側に気体が8cm³たまったとき、陽極側の気体は何cm³ですか。
- 陽極側にたまった気体が何であるかを確かめる方法を書きましょう。
答えと解説を見る
- 4cm³。水素:酸素=2:1 なので、。比の計算です。
- 火のついた線香を入れると、炎を上げて激しく燃える(=酸素だとわかる)。 陰極側なら「マッチの火を近づけると音を立てて燃える」(=水素)。確かめ方が逆にならないよう注意しましょう。
家おうちの方へ
この単元の定期テストの狙われどころは、①3つの生成物と確かめ方の組み合わせ(石灰水・塩化コバルト紙・フェノールフタレイン液のどれで何を確かめるか)、②「試験管の口を底より少し下げる理由」の記述、③水の電気分解の陰極・陽極と体積比2:1、の3点にほぼ集中します。 ①で組み合わせが混ざるお子さんには、「気体は石灰水、液体はコバルト紙、粉はフェノールフタレイン」と、生成物のすがた(気体・液体・固体)で仕分ける覚え方がおすすめです。 化学反応式が書けないときは、化学反応式のつくり方で係数の合わせ方に戻るのが近道です。
「1種類が2種類以上に分かれる」——定義と2つの実験がつながれば、分解は得点源になります。 次は酸化と還元(酸素の受けわたし)へ。 分解とは逆に、物質どうしが結びついたり酸素をやりとりしたりする変化を見ていきましょう。
📌 1分まとめ(声に出して読もう)
- 分解=1種類の物質が2種類以上の別の物質に分かれる化学変化。化合とは逆向き。
- 炭酸水素ナトリウムの熱分解:。
- 確かめ方:石灰水→白くにごる(二酸化炭素)/塩化コバルト紙→青色→桃色(水)/残った白い粉=炭酸ナトリウム。
- 試験管の口を底より少し下げる=発生した水が加熱部に流れて試験管が割れるのを防ぐ。
- 水の電気分解:陰極に水素・陽極に酸素。体積比は水素:酸素=2:1。
よくある質問
分解とは何ですか?
分解とは、1種類の物質が2種類以上の別の物質に分かれる化学変化のことです。加熱によって分ける熱分解(例:炭酸水素ナトリウム→炭酸ナトリウム+二酸化炭素+水)と、電流によって分ける電気分解(例:水→水素+酸素)があります。2種類以上の物質が結びついて1種類の物質になる化合とは、ちょうど逆向きの変化です。氷が水になるような状態変化は、別の物質に変わらないので分解ではありません。
炭酸水素ナトリウムを加熱すると何ができますか?
炭酸ナトリウム・二酸化炭素・水の3つができます。二酸化炭素は石灰水が白くにごることで、水は試験管の口についた液体に塩化コバルト紙をつけて青色から桃色に変わることで確かめます。あとに残った白い粉が炭酸ナトリウムで、炭酸水素ナトリウムより水によくとけ、フェノールフタレイン液を加えると濃い赤色になる(強いアルカリ性)ことで区別できます。
炭酸水素ナトリウムの熱分解で、試験管の口を底より少し下げるのはなぜですか?
加熱によって発生した水(液体)が口のほうにたまり、それが加熱している部分に流れると、熱い試験管が急に冷えて割れるおそれがあるからです。口を底より少し下げておけば、水滴は口のほうにたまったままで、加熱部分には流れません。模範解答は「発生した液体(水)が加熱部分に流れて、試験管が割れるのを防ぐため。」です。
水の電気分解で、陰極と陽極に発生する気体は何ですか?
電源の−極につないだ陰極に水素、+極につないだ陽極に酸素が発生します。体積比は水素:酸素=2:1で、水素のほうが2倍たまります。水素はマッチの火を近づけると音を立てて燃えること、酸素は火のついた線香が炎を上げて燃えることで確かめられます。純粋な水は電流をほとんど流さないので、水酸化ナトリウムを少し溶かしてから電流を流します。
この単元でつまずいたとき、家庭でできること
- 原子と分子に戻るつまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
- 説明役を、外部にまかせる教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。