中学理科中学2年生地学
前線の通過と天気の変化|気温・風向・気圧グラフの読み取り【中2理科】
前線の通過とは、前線が観測地点を通りすぎて気温・風向・気圧が急に変わることです。中2理科で頻出の「グラフから前線通過の時刻と種類を読み取る問題」を図解。寒冷前線は気温が急に下がり風向が南寄りから北寄りへ、温暖前線は気温が上がり東寄りから南寄りへ変わります。判断した理由を書く記述の型と練習問題つき。
前線が通過した合図は つで、気温の急変・風向の変化・気圧が下がりきって上がることです。寒冷前線が通ると気温が急に下がり風向が南寄りから北寄りに変わり、温暖前線が通ると気温が上がり風向が東寄りから南寄りに変わります。記述は「〇時ごろ、気温が急に下がり風向が南寄りから北寄りに変わっているから、寒冷前線が通過した」の型で書きます。
◎このページのゴール
グラフや観測データから前線が通過した時刻と前線の種類を読み取り、そう判断した理由を記述で書けるようになる。
「グラフを渡されて、前線が通った時刻を答えなさい——どこを見ればいいの?」。 中2理科の天気で、いちばん差がつくのがこのタイプの問題です。 このページでは、気温・気圧・風向のグラフから前線の通過を読み取る手順と、その理由を書く記述の型だけにしぼって練習します。 前線そのもののでき方や種類は天気図と前線(気団と4種類の前線)で確認できます。
どこでつまずいた?
あてはまるものをタップ。そこから読むと近道です。
前線の通過を見抜く3つのサイン
読み取りのコツは、たった3つを順番に確かめるだけです。
→やり方
- 気温が急に変わった時刻をさがす(寒冷前線なら急降下/温暖前線なら上昇)
- 風向が変わった時刻をさがす(寒冷前線なら南寄り→北寄り/温暖前線なら東寄り→南寄り)
- 気圧が下がりきって、上がりはじめる時刻をさがす
大切なのは、3つが同じ時刻でそろっていることです。 気温だけ、風向だけの変化なら、前線と関係のない理由(日射や夜の冷えこみ)でも起こります。 3つがそろった時刻こそ、空気のかたまりが入れかわった時刻=前線が通過した時刻です。
でもグラフの気温って、1日じゅうずっと上がったり下がったりしてるよ。どれが「急」なのか自信がない…。
いい着眼点だね。晴れた日のふつうの気温は、朝がいちばん低くて昼過ぎに最高になる、なめらかな山の形になるんだ。 前線が通ると、そのなめらかさが一気に折れる。「山のとちゅうでポキッと折れて落ちる」ような形になったら、まず前線を疑おう。 そして折れた時刻の風向を見る。気温の折れ曲がりと風向の変化が同じ時刻で重なったら、ほぼ確定だよ。
寒冷前線の通過——通過前・通過時・通過後
出題のほとんどは寒冷前線です。 時間の流れで3つに分けて整理します。
| いつ | 空のようす | 雨 | 気温 | 風向 |
|---|---|---|---|---|
| 通過前 | 少しずつ雲が増える | 降らないことが多い | 高め | 南寄り |
| 通過時 | 積乱雲が近づく | せまい範囲に短時間の強い雨(雷や突風をともなうことも) | 下がりはじめる | 変わる途中 |
| 通過後 | 雲が切れて回復 | やむ | 急に下がる | 北寄り |
雨が降る範囲がせまいので、強い雨は長くは続きません。 「ザッと降って、そのあと急に涼しくなった」という夏の夕方の変化が、まさに寒冷前線の通過です。
✓理解チェック1
温暖前線の通過——長く降ってから晴れる
温暖前線は、雨が先に長く降り、通過したあとに晴れて暖かくなるのが特徴です。
| いつ | 空のようす | 雨 | 気温 | 風向 |
|---|---|---|---|---|
| 通過前 | 乱層雲が広がる | 広い範囲に長時間のおだやかな雨 | 低め | 東寄り |
| 通過後 | 雲が切れて晴れることが多い | やむ | 上がる | 南寄り |
寒冷前線とくらべると、変化はどれもゆるやかです。 グラフでも、気温の折れ曲がりは寒冷前線ほど鋭くありません。 それでも「雨がやんだ・気温が上がった・風向が南寄りになった」の3点がそろえば、温暖前線の通過と判断できます。
グラフを読む——このページの本番
では、実際のグラフを読んでみましょう。 気温・気圧・風向を、同じ時刻の目盛りでたてに並べたものです。
3つのグラフをたてにそろえて見るのがコツです。 15時のところに1本の線を引くと、気温の折れ曲がり・気圧の底・風向の切りかわりが、きれいに縦にそろいます。 これが「前線が通過した」という動かぬ証拠です。
「そう判断した理由を書け」の型
入試や定期テストでは、時刻や前線名だけでなく理由の記述が問われます。 書き方には決まった型があるので、そのまま覚えてしまいましょう。
| 書く順番 | 何を書くか | 例 |
|---|---|---|
| ① いつ | 時刻を数字で | 15時ごろ、 |
| ② 根拠1 | 気温の変化 | 気温が急に下がり、 |
| ③ 根拠2 | 風向の変化 | 風向が南寄りから北寄りに変わっているから、 |
| ④ 結論 | 前線の名前 | 寒冷前線が通過したと考えられる。 |
つなげると、こうなります。
✓模範解答(寒冷前線の場合)
15時ごろ、気温が急に下がり、風向が南寄りから北寄りに変わっているから、寒冷前線が通過したと考えられる。
温暖前線ならこう書きます。 10時ごろ、気温が急に上がり、風向が東寄りから南寄りに変わっているから、温暖前線が通過したと考えられる。
?なぜ、風向の変化まで書く必要があるの?
気温だけでは根拠になりません。 気温は日射や夜間の冷えこみでも下がるので、「気温が下がったから前線」とは言い切れないからです。 一方、風向が大きく変わることは、その地点の空気そのものが入れかわった証拠になります。 だから採点でも、気温と風向の2つがそろって初めて満点になります。
模範解答:「気温の変化だけでは日射や時刻による変化と区別できないが、風向が変わることは空気のかたまり(気団)が入れかわったことを示すから。」
✓理解チェック2
温帯低気圧と前線の位置関係
なぜ2つの前線が続けて通るのか。 その答えは、低気圧の形にあります。
温帯低気圧は、中心から南東に温暖前線、南西に寒冷前線がのびています。 低気圧全体が西から東へ進むので、地上のある地点では「温暖前線が通る → しばらく暖かい → 寒冷前線が通る」という順で天気が変わります。 2本の前線にはさまれた暖気の部分を暖域といい、ここでは南寄りの風が吹いて気温が高くなります。
寒冷前線は温暖前線より進む速さが速いため、やがて追いついてしまいます。 このとき重なってできる前線が閉塞前線です。 暖気がすべて地上から持ち上げられてしまうので、低気圧はエネルギー源を失い、おとろえて消えていきます。 前線の記号や種類は天気図と前線、天気図での記号の描き方は天気図の読み方で確認できます。
✓理解チェック3
よくある間違い
✕よくある間違い
理由を「気温が下がったから寒冷前線」とだけ書いて、風向にふれない
時刻+気温の変化+風向の変化+結論の4点セットで書く
もう1つ多いのが、風向の意味の取りちがえです。 「北寄りの風」とは、北から吹いてくる風のこと。北へ向かって吹く風ではありません。 また、気圧のグラフは「いちばん低い時刻」ではなく、「下がりきって上がりはじめた時刻」に注目します。
折れ線グラフを読む力=算数の力
このページでやったことは、理科の知識であると同時に算数・数学のグラフ読解そのものです。
- どこで急に変わったかを見る=**変化の割合(かたむき)**が大きく変わる点をさがすこと
- グラフの読み取り方の基本は小4「折れ線グラフの読み方」で身につきます
- かたむきを数と式で表す考え方は中2「一次関数」につながります
「折れ曲がり=何かが起きた合図」。 この見方は、理科でも数学でも、社会のグラフでも同じように使えます。
やってみよう(練習問題)
やってみよう①(基本:グラフを読む)
上のグラフ(ある地点の1日の記録)を見て答えましょう。
- 前線が通過したのは何時ごろですか。
- 通過したのは何前線ですか。
- 通過したあと、風向はどの向きに変わりましたか。
答えと解説を見る
- 15時ごろ。気温の折れ曲がり・気圧の底・風向の変化が、すべて15時でそろっています。
- 寒冷前線。気温が急に下がっているためです。
- 北寄り(南寄りから北寄りへ)。寒気におおわれたことを示しています。
やってみよう②(標準:データから読み取り、理由を書く)
ある日の観測記録です。
| 時刻 | 3時 | 6時 | 9時 | 12時 | 15時 | 18時 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 気温(℃) | 8.0 | 8.2 | 9.0 | 14.5 | 16.0 | 16.4 |
| 風向 | 東 | 東南東 | 南東 | 南 | 南南西 | 南西 |
| 天気 | 雨 | 雨 | 雨 | くもり | 晴れ | 晴れ |
- 前線が通過したのは、どの時刻とどの時刻の間ですか。
- 通過したのは何前線ですか。
- そう判断した理由を、1文で書きましょう。
答えと解説を見る
- 9時と12時の間。
- 温暖前線。
- 9時から12時の間に気温が急に上がり、風向が東寄りから南寄りに変わって雨がやんでいるから、温暖前線が通過したと考えられる。
気温が5℃以上も上がっていること、東寄りだった風が南寄りに変わっていること、長く降っていた雨がやんだこと——3つの根拠がそろっています。 理由は「時刻+気温+風向+結論」の型で書けば満点がねらえます。
やってみよう③(応用:低気圧の図から予想する)
上の温帯低気圧の図(A・B・Cの3地点)について答えましょう。
- 今、長時間の弱い雨が降っているのはどの地点ですか。
- 気温がもっとも高く、南寄りの風が吹いているのはどの地点ですか。
- 低気圧が東へ進むと、B地点の天気はこれからどう変わりますか。気温・風向・雨のようすを入れて説明しましょう。
答えと解説を見る
- A地点(温暖前線の前。乱層雲による広い範囲の弱い雨)。
- B地点(2本の前線にはさまれた暖域)。
- 寒冷前線が通過するため、積乱雲による短時間の強い雨が降り、そのあと気温が急に下がって風向が南寄りから北寄りに変わり、天気は回復する。
低気圧が東へ進むということは、地点から見れば「西にある寒冷前線が近づいてくる」ということです。 図の中で地点を右から左へ動かして考えると、順番がつかめます。
家おうちの方へ
このタイプの問題は、知識ではなく手順でほぼ解けます。 「気温の折れ曲がり」「風向の変化」「気圧の底」の3か所に印をつけてから答える、という順番を守るだけで正答率が大きく変わります。 つまずいているお子さんの多くは、グラフを見た瞬間に「わからない」と止まってしまうので、まず定規で縦線を引かせるのがおすすめです。 記述は「時刻+気温+風向+結論」の型を声に出して覚えると定着します。 前線そのものの意味があやしいときは天気図と前線へ、気圧という量の意味は中1の圧力へ、雲や雨のでき方は湿度と露点へ戻ると、土台から立て直せます。
グラフの3か所に線を引く。変化を2つ以上見つける。型どおりに書く。 この3ステップが身につけば、前線の通過は確実な得点源になります。 次は日本の天気(季節と気団)で、1年を通した天気の移り変わりへ進みましょう。
📌 1分まとめ(声に出して読もう)
- 前線通過の合図は3つ。気温の急変・風向の変化・気圧が下がりきって上がる。
- 寒冷前線が通ると気温が急に下がり、風向が南寄り→北寄りに変わる。
- 温暖前線が通ると気温が上がり、風向が東寄り→南寄りに変わる。
- 記述の型は「〇時ごろ、気温が…、風向が…に変わっているから、〇〇前線が通過した」。
- 温帯低気圧は中心の南東に温暖前線・南西に寒冷前線。追いつくと閉塞前線。
よくある質問
寒冷前線が通過すると、気温や風向はどうなりますか?
気温は急に下がり、風向は南寄りから北寄りに変わります。寒冷前線が通りすぎると、その地点が寒気におおわれるためです。通過するときは積乱雲によるせまい範囲の短時間の強い雨が降り、雷をともなうこともありますが、通過したあとは雨がやんで天気は回復に向かいます。気温の急降下と風向の変化が同じ時刻でそろうのが、寒冷前線通過の目印です。
グラフのどこを見れば、前線が通過した時刻がわかりますか?
気温・気圧・風向の3つが同じ時刻でそろって変わっているところを探します。気温のグラフが折れ曲がって急に下がる(または急に上がる)時刻、気圧のグラフが下がりきって上がりはじめる時刻、風向が南寄りから北寄りへ(または東寄りから南寄りへ)変わる時刻——この3つが重なった時刻が、前線が通過した時刻です。
温暖前線が通過すると天気はどう変わりますか?
通過する前は乱層雲によって広い範囲に弱い雨が長時間降り続き、通過したあとは雨がやんで晴れることが多くなります。気温は上がり、風向は東寄りから南寄りに変わります。暖気におおわれるためです。寒冷前線の「短くて激しい雨」に対して、温暖前線は「長くておだやかな雨」と対にして覚えると混同しません。
「前線が通過したと判断した理由を書け」はどう書けばよいですか?
「時刻」「気温の変化」「風向の変化」「結論」の4点を1文にまとめます。たとえば「15時ごろ、気温が急に下がり、風向が南寄りから北寄りに変わっているから、寒冷前線が通過したと考えられる。」のように書きます。気温だけでは日射や夜間の冷えでも下がるため、根拠は必ず2つ以上書くのが得点のコツです。
この単元でつまずいたとき、家庭でできること
- 天気図と前線(気団と4種類の前線)に戻るつまずきの原因は、たいてい1つ前の単元にあります。まずそこを確かめてください。
- 説明役を、外部にまかせる教える側が説明しきれないときは、無料体験のある外部のサービスで様子を見る方法もあります。